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 あれから数日。

「ああもう! 本当に可愛いなあ!」

「わあ! やめろーー!」

 弟を抱き締めながらほっぺを突っついて至福を噛み締めている、いつもの風景でいつものスキンシップ、溺愛しているからキスだってしたくなる。

「あらあら、まことさんがまた心ちゃんを苛めているわね」

「もうママったら、愛しの弟とのスキンシップだよ!」

「はなせーー! まことなんかキライだあ!」

「はう! 嫌いにならないで! あ、でも離したくない!」

「どっちかにしなさい」

 休日の早朝、騒がしく過ごす我が家はいつも通りの日常を謳歌していた、私以外だが。

 朝からハイテンションな私を演じてみると弟の心はそれに乗って来る、だがちょっかいを出し過ぎた所為で嫌がってしまい今のような場面となった。

 やり過ぎてしまったと反省して溺愛している我が弟のご機嫌取りをしなければならない。

「許してよ心ーー」

「まことなんかキライだもん! ふんだ!」

「今日のオヤツあげるから許して?」

「……そ、そんなことじゃカイジュウされないもん!」

 今落ち掛けたな、なら後一息。

「明日のオヤツもあげるからさ」

「ほんと! ならゆるしてあげる! まことだいすき!」

「うん、私も大好き!」

 こうして汚い手段で弟の機嫌を取るのだった。

「心ちゃんを買収するなんていやらしいわね、まことさん」

「買収なんて人聞きが悪いよママ、これは純粋なプレゼントなの」

「あらそう、なら最近はプレゼントに凝っているみたいですね?」

「え? なんの話?」

「もう惚けて。よく手作りのお弁当やお菓子を作っているようだけど、ふふっ、まことさんもそんな年頃ですものね? 好きな人が出来たんでしょう?」

「か、勘違いしないでよ! わ、私はお世話になっている人がいてそのお返しをしているだけだよ!」

 峻くんのねぐらって呼んでる廃墟のマンションにお弁当とかお菓子を届けているのは本当だけど変な勘違いをされては困る。

「男の子の家に? まことさんて意外に大胆ですね?」

「へ? ど、どうして男の家って……」

「ふふっ、それは今まことさんが白状したところですよ?」

「へ? ……あ、しまっ……たじゃなくて誤解だよ、もしかしたら女の子かもしれないよ?」

「まあそう言うことにしておきましょうか、反応が可愛いまことさんを堪能出来たからそんな風に納得しておきましょう」

 違うと反論しもママに論破されて落ち込む、やはり一筋縄ではいかないらしい。

 いつもの日常に私の心情は穏やかだと周囲に知らしめられただろうか、家族には心配をかけたくないから出来るだけいつもの皆川真として振舞う。

 ウェルミスと名乗った女に私は狙われている、理由は不明だけど実際に向こうがそう言ったのだから間違いは無い。

 峻くんとスミスちゃんと蒼葉先輩はウィルミスを探すため今も街中を捜索しているらしい、少しでも彼の負担にならないようにしたいと考えていてもどうすればいいのかも分からず申し訳ない気持ちから毎日お弁当を作ってねぐらに運んでいるけどそんなことしか出来ない。

 無力だな私って。

 それでも彼らが頑張ってくれているのに暗い顔で俯いているより明るい顔で前を向いていようと決めた、心配な顔は周りを同じ気持ちにするだけだ、心の中ならいくらでも落ち込めるから心配させなくて済む。

 出来るだけ明るく、負担を掛け続けているのだからせめて精神的な不安を取り除こう。

 だからいつもの私でいる。

 日常と化しているお弁当作りをしてねぐらに出掛けよう、もちろん狙われている訳だから一人ではない、護衛の為に荒川紅姫さんが付いて来てくれるから心強い。

お弁当を作りこれからねぐらに出掛けようと玄関に近付くとママと遭遇する。

「お出掛けですかまことさん」

「まあちょっとね、夕方までには戻るから」

「常識内で行動して下さいね、それくらい分かっていますよね?」

「もちろんそのつもりだから……」

 だから妙な勘違いをしないで欲しいな。

「行ってきます」

「はい、行ってらっしゃい」

 いつか誤解を解かなければと決心しつつ家を出ると見覚えのあるバイクが道の横に止まっていてそこには紅姫さんが待っていてくれた。

「こんにちは紅姫さん」

「こんにちは、今日も佐波峻のところへ行くのね? バイクで送るから乗って」

「ありがとうございます」

 いつも大人びてかっこいい私の憧れの人、こんな素敵な女性になりたいと思う。ただつり目と無口さから冷たい人だと勘違いされるけどそんなことはない、親切で慈悲深く優しい人だ、それに涙もろいしそれに可愛いものが大好き。

「紅姫さんこの前欲しいって言っていたくまちゃんのキーホルダ見付けたのでよければどうぞ、いつもお世話になってますからプレゼントさせて下さい」

「くまちゃん!」

 瞳を輝かせデフォルメされたくまのキーホルダーを受け取るとあまりの嬉しさからか私を抱きしめて頭を撫で始めた。

「ありがとう、これは家宝にする」

「よろこんでくれて嬉しいですけど……ちょっと恥ずかしいです」

「お前はいい奴だ、大好き」

 大好きって言われると照れちゃうな。しばらく彼女に包まれていたが気が済んだらしく解放されると早速貰ったキーホルダーをバイクの鍵に取り付けて満足げだった。

「くまちゃん可愛い…………む、ごめんちょっと我を忘れていた、ほらヘルメット」

 ヘルメットを受け取って被り紅姫さんがバイクに跨ると後ろに促されて座る、しっかりと体に掴まるとバイクが走り出す。

 外界は雲が疎らに散らされその隙間から青色が覗く、少しだけ温かくなって来たから春らしいと思う。桜によって彩られる住宅街をバイクで進むと突き当たりに古い駄菓子屋が見えて来る、昭和時代の匂いを唯一香らせている場所で小さい頃は良く遊びに来ていた。当時は白髪のおばあちゃんが作ってくれるお好み焼きが美味しくて大好きだったっけ、現在はその娘さんが後を継いでいる、娘さんと言っても今年で多分五十代くらいだと思うけど。

 思い出の駄菓子屋を右に曲がって道沿いを進むと峻くんが住むねぐらが現れる、ちなみにこの道を更に直進すると商店街に辿り着く。

 私が行き来する場所は限られているけど実際は広くて色んなもので溢れている、この街に地獄からやって来た死神や街を守る門番がいるなんて誰が予想出来ただろうか。なんて興味深い、地獄の住人やら亀裂とか信じられない出来事を体験して胸が高鳴っている、だけどその好奇心が死に繋がろうとしたこともあった。

 私は愚か者だ。守ってもらう価値も無い。

「到着したぞ?」

 はっとして気が付いた頃にはバイクはねぐらの前で止まっていた。

「あ……ありがとうございました」

 いつもの私にならなきゃ。

「どうかしたのか? もしかして酔った?」

「い、いいえ、大丈夫ですから」

「そう? もし気分が悪かったら言って、病院に連れて行くから」

「私は健康そのものですから」

「無理してない?」

「はい、大丈夫です」

 心配かけちゃったな、そうさせないようにしていたはずなのに上手く行かない。

 二人で峻くんの部屋へと向かう、ここは廃墟だから瓦礫とか散乱していたけど少しずつ片付けて部屋までの道は綺麗にしている。峻くんが来る前ここは不良のたまり場だったけどルベスさんが人避けのおまじないをしたらしくてそれ以来誰も来ないらしい。

 外見はともかく住むと案外快適だと峻くんが言ってたっけ、ただ階段での上り下りが大変だけどね。

 五階の一番奥の部屋が彼の部屋だ、そこに辿り着いたからノックする。だけど反応なし、聞こえなかったのかと一度ノックするけどやはり出てこない。今日は留守かな、それとも疲れて眠っているとか?

「峻くんいないの? 入るよーー」

 好きに出入りを許可されてるからいつものようにドアノブを回し扉を開けて中へ。

「お邪魔します」

 初めて中で過ごした時とは違い完璧に整備され綺麗な内装になっている、靴を脱ぎ廊下を歩くとリビングに辿り着く前にバスルームから光が漏れているのに気が付く、そうかシャワーを浴びていたんだ、だから気が付いてなかったのだろう。このまま通り過ぎようとした時にバスルームの明かりが消えて扉が開き中の人と対面した瞬間、頭の中が真っ白になった。

 姿を現したのは銀髪の女の子、尖った耳がチャームポイントのスミスちゃんが生まれたままの姿で現れたのだ。

「おう皆川! それからえっと荒川だったな」

「ええ荒川紅姫よ……死神スミス、シャワーを浴びていたのね」

「おう、ちょっと汗かいたからな、佐波のねぐらにシャワーがあることを思い出して使ってみたんだぞ」

「そう……でも、もう少し気を使った方がいい」

「ん? どういうことだ?」

「あのねスミスちゃん……えっと、そんな刺激的な格好だと色々と問題があるんだよ」

「何を言っているのか良く分からん」

「ほら、裸だと峻くんとかここにはいるから……その、見られちゃうから」

「裸を見られて何かまずいのか? オレはいつも体を清めたら自然に乾くまで着ないんだぞ」

 私と紅姫さんは互いに顔を合わせると常識がズレていることを悟った、どうにかして峻くんが戻って来るまでに服を着せないといけない。今も恥じらいなく裸でリビングへと向かいそこにあるソファーで寛ぎ始める彼女を見ているだけでこちらが恥ずかしくなるよ、どうにかして着せたいけど難しそうだな。

「そうなんだ。でも峻くんが帰って来たら恥ずかしいじゃない?」

「ん? 裸を見られるのは恥ずかしいことなのか?」

 常識が完全にズレてる。

「恥ずかしいことだよ! お願いだから服を着て欲しい」

「ふーーん、皆川が言うなら服を着るぞ、裸が恥ずかしいって良く分かんないけどな」

 素直に着替えてくれたのは嬉しいけどこれから気を付けないと峻くんがいる前で裸でうろつかれたりしたらと思うと気が気ではない。

「ん? なんかいい匂いがするな」

 嗅覚が優れているのかお弁当から漏れる香りに気が付いたらしい。

「スミスちゃんお腹空いてるの? 良かったらお弁当食べない?」

「おお! 良いのか!」

「うん、今日は一緒に食べようと思っていっぱい作って来たから大丈夫だよ? 紅姫さんも食べましょう」

「あなたのお弁当なら大歓迎、頂くわ」

 バックからお弁当を取り出して包みを解くとスミスちゃんは鼻を近付けて匂いを嗅ぐ。すると瞳を輝かせ、唾を飲み込む。

「良い匂いがするぞ! 早く開けろ開けろ!」

 お弁当のフタを開けると卵焼きとウインナー、それからミニハンバーグとチキンライスなどの様々な品が並ぶ中身が晒された、一気に食欲を促進させる香りが広がる。

「旨そうだな! これ本当に食べて良いのか?」

「はい、どうぞ召し上がれ」

「やったぁ!」

 箸を出そうとしたけどその前にスミスちゃんは手掴みでお弁当を食べ始めた、すると頬を紅葉させて一目でテンションが上がった、だって嬉しそうに尖った耳がぴくぴく動いていたから。

「う、旨い! 皆川、お前は天才だな!」

「大げさだよ、私なんかまだまだ、ママにも及ばないし」

「自信持て! 不味いものは不味い、旨いものは旨いんだ! 分かったか!」

「は、はい!」

 スミスちゃんって女の子だけど男らしいところもあるんだなと感心する、こんなに美味しそうに食べてもらえるなら作った甲斐があったかな。

 と、不意にお弁当を食べていた手がピタリと止まる、彼女は難しそうな顔でお弁当の中を睨み付けている、もしかして嫌いな食べ物でもあったかな?

「……どうかしたんですか?」

「皆川、この黄色い食べ物はタマゴヤキだな?」

「そうだけど……もしかして卵苦手?」

「そうじゃない。だが、タマゴヤキは他の食べ物を不味くするんだろ?」

「へ? えっと、どうしてそう思うの?」

「佐波がそう言っていたんだ、だからこれは食べちゃダメだ」

 俊くんがそんなことを? もしかしていたずらで変なことを吹き込んだな? もう子供っぽいところがあるんだから、何も知らないからって嘘は教えちゃダメだよ。

「そんなことはないよ? それは峻くんの嘘、もし本当に他の食べ物を不味くするのだったならわざわざ卵を食べようとは思わないよ?」

「ぬ、言われてみれば確かに……」

「論より証拠だね。実際に食べてみれば分かるよ」

「そうだな……でも、もし本当だったらどうするんだ?」

「大丈夫、もし何かあったら責任を取るから」

「よ、良し、その言葉、信じるからな?」

 恐る恐る卵焼きを摘んで口に運ぶ、その第一声は旨いと叫ぶ、どうやら卵焼きは気に入って貰えたようだ。そしていよいよ他の食べ物を不味くするのか確かめるべくウインナーを口にする、すると笑顔が咲く。

「お! 旨い、旨いぞ!」

「でしょ? だからあれは大嘘だよ、もうしょうがないな峻くんは」

「佐波峻は子供を大きくしたような男だ」

 紅姫さんの言う通りだ。

「そうだったのか……つまり佐波の奴オレに嘘を言ったんだな? 許せん、騙すとは命が要らないという訳だな? 絶対に許さん!」

 あれ、もしかして地雷を踏んじゃった?

「お、落ち着いて、何か訳があるのかも!」

「そうか? 例えばどんな理由だ?」

「え? え、えっと……あっ、きっと峻くんも誰かに騙されているんだよ! そうでなければスミスちゃんに嘘を付く訳がないよ! うんうん!」

 と強引に理由付けをしてみたけど通用するかは不明、でも弁解しないと峻くんの命が危ない。

「……そうだな、佐波がオレを騙す訳ないか」

「そ、そうそう! 峻くんを信じましょう」

「そうだな皆川の言う通りだ、オレは佐波を疑わない!」

 地雷は不発に終わったようだ、あのまま爆発していたらきっと死屍累々となっていたに違いない、彼が戻って来る前に処理出来て良かった。

「……それにしても皆川、お前は何者だ? 一瞬で嘘と見抜く眼力、柔軟な思考力、只者ではないな?」

「はい? えっと、普通の学生だよ」

「そんな訳あるか、何かしているんじゃないのか? 隠すなよ」

「そう言われても……学校でクラス委員しているくらいで何も特別じゃないし……」

「クラスイイン? 聞いたこと無いぞ……それは称号か? 王と同義なのか、まさか王そのものとは言わないだろうな?」

 なにやら変な方向に転がりそうだった、紅姫さんが笑ってるし。

「え! お、王様って訳じゃないですよ!」

「ぬ、そうか……まさか騎士長クラスか! 少なくとも凡人なはずが無い!」

 ただの高校生が凄いことになって来たけど、まさか卵焼きの嘘でここまで話が肥大化するとは誰が予想出来ただろう。

 どうしよう、このままじゃ神様とかにされそう。

「とにかく落ち着いて、私はそんなに凄い人間じゃないから!」

「謙遜だな、きっとクラスイインとは名を馳せる高位な存在なのだろうな。旨いものを作れる上にクラスイインなのだ、尊敬するぞ皆川!」

 輝く瞳はまるで夢見る乙女か、憧れを抱く子供。どんなリアクションが相応しいのかと頭を悩ませる。

 そんな最中に部屋の主が帰って来た。

「お帰り峻くん、お邪魔してるよ?」

「遅かったな佐波、皆川を待たせるとは何事だ、恥を知れ!」

「いらっしゃいまこちゃん……で、どうしてでスミスがここにいやがる!」

「シャワー借りに来たぞ、そんなことも分からないとは皆川と違って低能だな佐波は、もっと皆川を見習え」

「……そこでまこちゃんの名前が出るのは何故だ?」

「良いか佐波良く聞けよ、皆川はなクラスイインなんだぞ!」

「クラス委員がどうしたんだよ、珍しくも無いぞ」

「な、何! 馬鹿な、珍しくないだと? 嘘を言うな!」

「嘘じゃねぇ!」

 仲良しだなと二人を眺めた、息ピッタリに言い合っている姿は漫才師に似ている。とは言え、二人に取っては真剣な言い争いなのだろうけど。口論が終わる頃にはクラス委員というものを峻くんが説明して、どうにか理解させていた。

「つまり学校でのまとめ役みたいなもんだ」

「そうだったのか……だが皆川の高い能力の説明が付かんじゃないか! 皆川、まとめ役でも何かあるんだろ?」

「そう言われても……」

 困っていると紅姫さんが助け舟を出した。

「死神スミス、クラス委員はまとめ役だけど別の言い方をしたらリーダーってことよ」

「……そうか、ようやく理解した。皆川は騎士長と同等だな? いかに学び舎での名称であったとしても並みの奴にリーダーは務まるものではない、クラスイインなのだから皆川は偉いんだ! だからオレの目に狂いはなかった!」

「駄目だこりゃ完全に勘違いしていやがる」

「佐波峻、貴方が嘘を教えているからこうなるのよ」

「嘘ってなんだよ」

「卵焼きの件、記憶にあるんじゃない?」

 紅姫さんの詰問に心当たりがあるらしく申し訳なさそうに小さくなる彼がちょっと可愛かった、それを知ってか知らずか峻くんの分のお弁当を平らげてしまうスミスちゃんだった。

「お、俺の昼飯が……」

「自業自得ね」

「紅姫さんの言う通りだよ、いたずらは駄目だからね」

「……反省するよ」

 騙されていたことを知らず黙々とお弁当を食べるスミスちゃんはリベンジを果たした結果となったけどさすがに昼食抜きは可哀想だから何か作ることにした、キッチンへと向かい冷蔵庫を開ける許可を貰い確認すると買い物されていて具材がたくさんあった、ちょっと豪華にお鍋にしてみようかな。

 大きな鮭やホタテにエビ、それから白菜や椎茸にネギを加えて塩味で整えてひと煮立ちさせて海鮮鍋の出来上がり。

「はいお待ちどうさま」

「すごっ、超旨そう! さすがまこちゃんだ!」

「旨そうだなそれ…」

「スミス、お前さっき弁当食ったんだろう? 卑しいんだよ、これは俺とまこちゃんとこうきちゃんのだ!」

「なんだと!」

「喧嘩しないで! お鍋はみんなで食べた方がおいしいよ?」

「そうだそうだ! 皆川がこう言ってるんだ、クラスイインの皆川が言っているんだぞ!」

「……分かった分かった、意地悪を言ったな」

「分かれば良いんだ、賢い選択だったぞ佐波!」

「食いしん坊め……太るぞ」

 あ、それって余計な一言じゃない?

「ほう、オレが太るだと?」

 案の定その言葉は女の子にとっては禁句だ、死神にもそのルールが適用されるみたい。とは言っても喧嘩させる訳にはいかないので話に割り込む。

「また喧嘩腰で、早く食べないと冷めて美味しくないよ?」

「それは困る! 佐波、今は休戦としようじゃないか!」

「……はあ、呆れを越して逆に感心するぞお前の食欲には」

「ほ、褒めても何もやらないぞ!」

「褒めてねえよ!」

 また言い争いに成り掛けたけど、二人共お腹が空いていたからか素直にお鍋に舌鼓を打って満腹を得た。私達も一緒に楽しく食べた、鍋にはまだスープが残っているからうどんの麺とか、ご飯を入れたりしたら残さずに食べれるし美味しいだろう。スープが残るだろうから夜ご飯はこれで大丈夫だ。

「いつもありがとうなまこちゃん、助かる」

「ううん、助けてもらってるのは私の方だから……」

「そんなことはない、本当に助かっているんだ」

「そうだぞ皆川、こんな馬鹿に甲斐甲斐しく世話出来る奴はそうはいないぞ」

「2人の言う通りよ皆川真、負い目に感じる必要は無い」

 確かに私は負い目に感じてばかりだ、自分は何も出来ないと。

「もしかして何も出来ないから駄目な自分とか考えていない?」

「そ、そんなことないですよ……」

「それならいいけど、もしそう思っているならそれは恥ずかしいことじゃない。だって貴女は貴女なりに私達を助けようとしてくれている、手段は違うかもしれないけどそれは仕方の無いこと、でも何かをしたいって思ってくれるだけで嬉しいものよ?」

「紅姫さん……」

「それに、頼られるのって嬉しいものなんだから負い目に感じるのは逆に困る、だから変な言い方だけど胸を張って頼って欲しい」

 彼女の言葉にどこか胸のつかえが取れたような、軽くなる感覚が心地良かった。

「……私、申し訳ないってずっと思ってて、でも周りに気を使わせないようにいつもの私でいようって思っていました……でも、それがかえって負担だったんだって思います。だから胸を張って頼りにします、どうか私を守ってください」

「ええ、命に代えても守るわ」

「おう、オレがいるんだから心配は要らないぞ!」

「俺達は君を守る、だから俺らを支えてくれ」

「はい!」

「それに俺は門番だ、この世界とヘルヴェルトを守る者。そんな番人が君を狙っている、申し訳ないのは俺達の方なんだよ。同じ門番として奴は必ず俺が捕らえて罪を償わせるから」

「同じ門番として皆川真に危害を加えさせない、蒼葉も同じ気持ちよ」

 私は幸福な女だったんだ、こうやって心配してくれる人達が笑顔で守ると誓ってくれるのだから。もうネガティブな考えを捨てるように努力する、この人達に恥じない心を持つと誓う。

 とても温かい。

 対称性は均衡を保つこと、ならこれは傾いた方向の逆になることと同じなのか、優しい日常から世界は一声で一変する。

『美しい友情とでも言えばいいのかしらね、ふふふっ』

 どこからか反響する声に全員が警戒する、だってこの声は脅威なのだから。

「くっ、ウェルミスの声か、どこにいやがる!」

『あらあら怖い怖いワタシのことは気にしないで、ただの声なのだから。ああ、それにしても一人の少女を守る騎士達って勇敢で澄んだ印象だわ。例えるなら清々しい大きく全てを包むあの青い青い空か、真っ青でどこまでもどこまでも深い海……だけどどちらかに定義するのならば海かしら。青い青い海、そして潜って行くと暗い暗い海底へと落ちて行く、暗闇に覆わ水圧に耐えられなくなって自ら崩壊を始める。とてもいいわねそれ、貴方達もそうやって潰れてしまえば面白いのに』

 クスクスと愉快そうに笑う。

「姿を現せウェルミス! 隠れているなんて卑怯者のすることだ!」

『ただの声だと言っているのに激昂して面白いわねサナミシュン、それに隠れるだけで卑怯だなんて偏見じゃない? 隠れなければならない者の気持ちを理解してない無知を知らしめる言葉よそれは……原始人から何一つ進化していないのかしら?』

「口論するつもりは無い」

『そう? それは残念ね。まあいいわ、泣きじゃくる子供をあやすように、転んだ子供に手を差し伸べるように、笑う子供の首をへし折るように要求しましょう。ミナガワマコト、ワタシは貴女をぐちゃぐちゃに掻き回したくてしかたがない、人間の葛藤する姿ってとても面白いものでそれが壊れるのを目撃するのはワタシのライフワークなの。ふふっ、壊しがいがありそうなお人形さんね』

「ふざけるな!」

 彼が感情を高めた、眉間を狭め空を睨む。

「まこちゃんは人形なんかじゃない!」

『本当にそう思う?』

 疑問を投げかけられた瞬間にどうしてだろう背を刺すような不快感が走る、耳鳴りがうるさい、喉が渇く、頭痛が煩わしい、ここは嫌だ、ここには居たくない。

 ココカラデヨウ。

 声が聞こえた気がした。

「…………あれ、何これ……」

 足が勝手に動く、幻聴に突き動かされるように外に向かう。

「まこちゃん? どこに行くんだ!」

「ち、違う、足が勝手に……」

『ふふふっ、あはははははは!』

 ハシッテイコウ。

 従って駆け出した、私の体が私を拒む。

「まこちゃん!」

 みんなが私を追って来るけど止まることが出来ない。

「佐波オレが捕まえる!」

 死神の跳躍力は人間を凌駕していることを利用すれば捕まえてくれる、早く止めて。

 しかしそれは叶わない、だって彼らの前に落ちたものが阻むのだから。白い球体、名前は閃光球だったそれは三人の視界を潰す。

「峻くん! スミスちゃん! 紅姫さん!」

 届かない声、慈悲すら忘れて体はある場所を目指す。

 この廃墟であるマンションの屋上、待ち構えていたのはウェルミスだった。

「ほらね? 貴女はお人形さんだったのよ……はい、ここまでこれたご褒美にこれをあげる」

 近付くウェルミスから逃れようと必死に足掻くけど体は一ミリたりとも微動だにしない、やれることは悪足掻きのみ。

 吐息の掛かる距離に三日月を模倣したような歪な口が印象的で怖い、彼女は私の手に何かを握らせた。

「まこちゃん!」

 聞き覚えのある声、守ると約束してくれた峻くんが現れた。

「あ、峻くん……」

「あら、意外にも早かったわね、あの男」

 後から続いてスミスちゃんと紅姫さんもやって来てウェルミスを視認する。

「いらっしゃい三人様のお着きね」

「この変態女め、ふざけたことしてくれたなオレの鎌で真っ二つにしてやる!」

 死神の鎌を構えて対峙する。

「リヒトリーニエ」

 紅姫さんは光の帯らしきものを腕に巻きつけて戦闘態勢に入り、俊くんも結晶の蒼を起動させて構える。

「まあこれは大ピンチね、ワタシ怖い。だから美しいワタシを守って貰いましょう、ほらミナガワマコト助けて?」

 手に持たされたものを持ち上げる、そしてそれを自分の首筋に近付けて静止、心臓の音が巨大になって冷や汗が出て来る。

 だって手には鋭利な銀のナイフが握られているから動揺しない方がおかしい。

「ミナガワマコト、あの三人が近付いたら刺すのよ? もちろん自分自身をね?」

「ぐっ、お前まこちゃんに何をしたんだ!」

「あらあらそんなに大事? 独占欲全開で困っちゃう」

「うるさい、質問に答えろ!」

「ふふっ、そんなにこの子が心配? 妬いちゃいそう。でも質問に答えてもいいわよ、だって貴方の焦った顔が素敵だからね。ミナガワマコトにちょっとした暗示をしてあるの、それは彼女がランクBの住人に襲われた日、そうこの場所でサナミシュンとミナガワマコトが出会ったあの夜から作用している暗示……ねえミナガワマコトあなた初めて住人に襲われた時の記憶はあるかしら?」

襲われた日の記憶、残っているのは学校が終わって下校して気が付くと虚無の世界で漂う部屋で目覚めた記憶だけ、その間はごっそりと削ぎ落ちている。

「覚えてないでしょう? だって学校から帰る貴女を襲って気絶させたのはワタシだから」

 え?

「ある理由でまずミナガワマコトを気絶させて記憶を覗かせて貰ったわ、素敵な日常を謳歌しているごく普通の人間、記憶には知りたいことを得るに至らない、しかしワタシの推測が正しければ何かが起きると思った。それには異常性を育んだ方が都合が良かった、だから暗示を掛けてあげたわ。記憶の中でこの子は好奇心が強くて自分の知らないものを見るのが大好きだってね、魅了されてしまう……そうなった時に自分の危険や命を忘れて魅入ってしまうようにしてあげたわ。目論見通り危なっかしい場面がいくつかあったでしょう?」

 じゃあ私がおかしくなったのはウェルミスの所為だったってこと?

「そうやって経過観察をしようとしたら近くで亀裂の波動を感じて思った、地獄の住人に襲わせれば手っ取りばやいとね……ワニに似たあの住人に暗示を掛けた、まあサナミシュンのご活躍が無駄にさせたけどね」

 峻くんが言ってた、あのワニは肉食では無かったってことを。

 またウェルミスの策略で私を襲わせたんだ。

「後はずっとミナガワマコトを見ていたわ、時折視線に気が付いてきょろきょろする姿は可愛かったわよ?」

 誰かに見られていた感覚は気の所為じゃなかったんだ。

 そこまでして、私の何を知りたかったの? どうして私だったの? 疑問に押し潰されそう。

「観察していく内に刺激がなければ露呈しないことを悟った、ただ知りたいだけなのに凄く遠回り……でもサナミシュンが気が付いてくれたから堂々と表に出てこれた、だから遠慮する必要は無いのよ……さあミナガワマコト、ワタシのために実験に付き合ってね?」

 そう言うとおもむろに屋上を囲っていたフェンスを取り除く、面白いことに彼女が触れただけで飴細工のようにぐにゃりと曲がり、紙を裂くように引き千切れた。

「何をする気だ!」

「ふふっ、言ったじゃない実験だって……ほらゆっくりとこっちに歩いて来て?」

「あ……やめて…………」

 意思とは関係なく私の両足は少しずつフェンスの消えた屋上の端へと向かう。

「もう少しで落ちちゃうね? 頭から落ちたらもう終りね? ふふっ」

「まこちゃん!」

「あら動いたらこの子自分で自分を刺しちゃうんだよ? それでもこちらに来る?」

「くっ、卑怯者め」

「素敵ね怒りに震える顔って……でも今はミナガワマコトの方が面白い」

 絶壁に到着すると両足が淵で整列し視線が下へ、不安定な足場と自由を奪われた体では震えることも出来なくて恐怖に耐えるしかなかった。

 落ちたら死ぬ、私はここで死んでしまうの?

「ほらぁ、素晴らしい景色でしょう? ここから地面に真っ逆様に落ちて脳しょうをぶちまけて汚らしく惨めにぐちゃぐちゃになる、創造してよ」

 天使のように微笑み、慈悲深く見詰め、悪魔の内容を述べた。

「原形なんて留めていない、きっと中身が飛び散って元々誰だったかすら分からなくなる、めちゃくちゃな顔にサナミシュンは顔をしかめて嫌悪する、ここにいる死神も門番の女も気味悪がって近付こうともしない、貴女は惨めな最後で忘れられていく可哀相な子なのよ?」

「私は……可哀相なんかじゃ……」

「強がっても駄目、自分を偽っても真実は変わらない、どうして貴女みたいな子がこの世に生まれて来たのかしらね? みんなに迷惑を掛けてまで生きていたい?」

 絶望とショックで涙が頬を伝う。

「泣いたって駄目だよ? それじゃ卑怯者じゃない。涙を見せれば誰でも許してくれるのかしら? 本当に駄目ね貴女……」

 もうやめて。

「ほら、早く飛んじゃってよ美しいワタシにまで迷惑を掛ける気?」

 小さく体が傾いて行く、落ちる、落ちてしまう。

 嫌だ、私はまだ死にたくない。

「嫌だ、嫌だよ、死になくない!」

「あはははははは! 良い声で鳴いてくれるじゃない、ああ良いわ、人が絶望から漏らす声、その姿はいつ見ても心癒される。でも駄目ぇ、バイバイ、楽しませて貰ったわミナガワマコト、その絶望の続きは地獄の底で楽しんでね?」

 そして重力に体を引っ張られた。

 絶対の死から逃れようと足掻いてみたけど意味はない、もう身を任せるしか出来ない。

 嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!

「嫌ああああああああああああああああああああああああ!」

 落下する最中にあの日学校で感じた胸の苦しさが更なる苦痛を与える、熱い胸が熱い。

 熱さは痛みに変換して体中を駆け巡る、体中を焼かれている感覚に気がおかしくなりそうで恐怖は痛みに支配されそれしか考えられない。

「皆川!」

 地面に激突する前に体はふわりと空に舞い上がる、私を助けたのは漆黒の翼を羽ばたかせたスミスちゃんだった。

 だけど体中が燃やされている、外ではなく内側から。

「もう大丈夫だぞ、オレが守って……」

 優しい声を聞く前に苦痛を吐き出す。

「ぐっ、ああああ、がああっ! ああああああああああああ!」

「み、皆川? どうしたんだよ皆川!」

「熱い、体が……熱いよ……あああああああああああああああああ!」

 熱いとしか考えられなくて体が自由になっていることすら気が付かずに彼女の腕の中で暴れまわる、スミスちゃんが屋上に戻るが痛みが支配して何も考えられない。

「あっははははははは! どうやらワタシの実験は成功みたいね! 周りを見なさい門番達、亀裂がこのマンションに発生していく姿を!」

 ひびが入るように景色に亀裂が生まれていく、一箇所だけではなく所々に。

「やっぱりそうなのね! ミナガワマコトはただの人間ではなかった、ヘルズゲートを開けることが出来る力を内包していた! ほらあもう直ぐ正式な門が開こうとしているのよ! あはははは! これが見たかった、これでワタシは……」

「まこちゃん!」

 峻くんの声が聞こえる。

「佐波どうしよう皆川が!」

「あははははは! 長年の夢がこれで叶うわ!」

「分かっている! こうきちゃんあの馬鹿を黙らせてくれ!」

「分かった!」

「まこちゃん俺が分かるか? ごめん胸に触れるからな!」

 彼は私の胸に手をやると瞼を閉じる。

「頼む、俺が輪廻の外だと言うのなら出来るはずだ、まこちゃんを助けてくれ!」

 誰に言った言葉なのだろう、ここにはいない誰かか自分自身を奮い立たせる言葉なのか。理由は分からないけどおそらく後者だと思った。

 一生懸命な彼から視線が外せない。

 だけど良く観察し冷静にそれが出来る余裕があると言うことは症状が緩和している証拠、気が付くと全身を駆け巡っていた熱は奥に逃げ込んで行き苦痛から解放された。

 熱くない、痛くない、自由だ。

「……あれ、私……どうして」

「皆川大丈夫か!」

「う、うん、もう大丈夫みたい……」

「そっか、そっか! 心配したぞこの野郎!」

 スミスちゃんが抱き締めてくれたけど力が強いから気が遠くなりそう。

「ばっ、馬鹿野郎力入れ過ぎだスミス! まこちゃんの顔色が青くなってるぞ!」

「わ、悪い!」

「ぷはぁ! はぁ、はぁ……助かった……」

「まこちゃん大丈夫か!」

「う、うん、もうなんともないよ……峻くん私に何をしたの?」

「それは後で説明する、今はあの野郎をぶっ飛ばしたいんだ」

 立ち上がり敵を認識すると彼はここから去る、怒りが空気を伝わるように私に届く、それは私のための怒りだと知る。

 紅姫さんと戦うウェルミスは上機嫌で愉快に逃げ回っている、欲しいものを貰った子供のように。光る帯を纏う腕から放たれる拳はコンクリートを軽々と砕く、それを余裕だと交わす。

「なんて素晴らしい日なのでしょうねこれから灰色の日々が虹色で輝くわ!」

「この、まじめに私と戦え! 皆川真をよくも傷付けたわね!」

「ふふふっ、怒るが素敵なのね貴女は、でも門番にはやらなければならないことがあるんじゃない? ほらそこらじゅうから貴女の仕事が来るわよ?」

 数は三つ、亀裂が同時に発生している。その中の一つから何かが這い出た、姿は蟻とほぼ一緒で体の色が赤い、だが大型犬並みの大きさをしている地獄の住人がわらわらと湧き出た。

「くっ、地獄の住人! こんな時に……」

「ほらほら早くあっちをどうにかしないと外に逃げ出しちゃうんじゃない? ミナガワマコトの所為で亀裂が生まれちゃったんだからねぇ」

 私の所為?

「私が……亀裂を作っていたってこと?」

「ふふっ、そういうことね。ああなんて罪深い女なのでしょうね」

「わ、私……」

「まこちゃん!」

 大きな声が負の感情に呑まれそうな私を掴む。

「言っただろ胸を張って頼れ!」

「胸を張って……頼る……」

 そうだった、私はみんなに教えられたんだ。

 もうネガティブな考えをしないように努力するって。

「私を……助けて!」

「ああ、任せておけ! スミス、こうきちゃんお前達は住人を頼む、俺はウェルミスをぶっ飛ばす!」

「分かった、住人一匹たりとも逃しはしない」

「仕方ないな、美味しいところは佐波に譲ってやるよ! だからきっちりやれよ!」

「ありがとうな二人共……まこちゃん待っててくれ」

「うん!」

 信じて待つ、それが今の私に出来ることだ。何も出来ないことは恥ずかしいことじゃない、恥ずかしいのはそれを悔やんで自分の殻に閉じ篭ること、その行為は周りに心配を掛けるだけなのだから。

 みんなの気持ちを踏み躙るに等しい。

「熱い熱い展開にワタシも参っちゃいそうだよ、ふふっ」

「お前だけは許さない!」

「あら怖い、でも貴方と遊ぶのは楽しそうね……ほらおいで、ワタシはこっちだよ」

 マンションの中へと消えて行く、それを追う彼の姿を見送る。

 無事に帰って来て欲しい、そう望むことは許されるはずだから。

 胸を張って彼に頼る。


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