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13-11 出撃

すみません遅れました。それでも待ってくれる皆さんに感謝です。


次からは最新話書いてから改稿しようかしら

 室内から出撃するので、ブースターを使う訳もいかない。更にカタパルトも無いため、歩行での出撃となる。何とも躍動感の無い出撃だろうか。だが歩行するときに感じる重い振動は懐かしく感じる。


 歩いて外に出ると、開けた平原が正面に広がる。まるで自然の滑走路のように真っ直ぐに森が切れている。

 ここで加速するようだな。


 9機の後続が着いてきているのを確認して地上で加速し、一気に空に上がる。後続の連中も初めてのHAWのはずだが、良く着いてきている。 

 器用だな、日本人は。


 空に上がると次々と戦況報告が入ってくる。


「地上部隊、奇襲成功。柳生大佐、奮起し敵魔法師部隊を撃破」


 師匠は大佐だったのか……それにしても流石だな。一人で魔法師を蹴散らすのか。やっぱり師匠は最強だ。

 ちょっと自分の事のように嬉しくなる。更に敬意を払わなくては。


 思ったより地上部隊の侵攻が早い。敵もHAWをそろそろ出してくるはずだ。こちらも間に合わせないといけない。


「全機、速度を上げるぞ。地上部隊を援護する!!」


 更に轟音を鳴らしてスピードを上げる。それにもかかわらず、後続は着いてくる。相当練習したんだな。


 それにしてもこのHAWーー雷鳴はこれだけの速度を出しても、まだ余力を残している。それにこの安定性の高さが凄まじい。大して機体が揺れていない。

 エルス国のエルピスと比べてその機体はスリムで、機動性に長けている。かといって火星のイルのような装甲が薄い訳では無い。

 セイバーのような、いやそれ以上の高性能機だ。それにこの新装備、レールガンがある。未だどこも試作品程度だろう。もしかしたら世界で1番高性能機に乗ってるかもしれない。

 そう思ったらプレッシャーを感じてしまい自爆した気分だ。


 高性能機に感動していると東京が見えてくる。所々で火と煙が見える。いきなり始まった戦いに民間人はどれだけ巻き込まれているのだろうか。民間人を避難させていたら奇襲にならない。俺に出来る事は出来るだけ巻き込まない事だ。


 東京はビル群が多く、隠れるには最適な場所だ。

 ビル群に着地すると遠くからイルが飛んでくるのが見える。


「全機、射撃用意……撃て!!」


 ビルに半身を隠して、マシンガンを連射する。多くの火線が敵に襲いかかる。敵は慌てて回避行動を取るが、間に合わない者は落ちていく。

 やっと立て直した敵は降下してビル群に隠れる。睨み合いはこちらが不利だ。さっさと勝負を決めて援護に行かないとならない。


「敵は寡兵だ。一気に殲滅するぞ」


 部隊を半数に分け、片方は上空から、残りは地上から挟撃する。


 俺は半数を連れて上空に上がる。敵もそれを防ぐために火線を張るが、雷鳴の高い機動性と防御力のおかげで余裕がある。この2つを両立する雷鳴は高性能過ぎる。


 その時、轟音が鳴り響くと同時に背部から火を噴いて落ちる味方が目に映る。

 装甲の薄い背部から撃ち抜かれたとはいえ、一撃で落ちるとはなんて火力だ!!


 味方の背部の方向、そこにはHAWもどきーー拠点防衛用のアイギスが肩部の長い砲身から煙を出していた。


 続いて砲撃をするアイギスに俺らは混乱する。


「一撃なんて聞いてねぇよ!!」


「ちくしょう、山本ぉぉぉぉ」


 初めての実戦で味方がやられたら動揺するのは当然だ。だが戦場で動揺したら死ぬのはもう何度も聞かされ、見てきた。だから俺は迷わない。


 足のペダルを踏み込み、スロットルを全開にして操縦桿を変則的に動かす。この機体ならこの機動にも耐えられるはずだ。

 そして思った通り、機体は動いてくれて、敵の照準を合わせない。


 照準を合わせるのを敵は諦め、背中のミサイルランチャーで攻撃を始める。だがそれは精度の悪い対地用範囲攻撃。誘導ミサイルでは無い。

 難なくかわして近接戦に移るが、胸部のバルカン砲が火を噴く。


 余り近づいてここで機体を傷付けたくない。ふと脳裏にレールガンが過ぎる。


「いけるか? レールガン、射撃連動システムに接続……」


 自分の首の向きと共に動く腕の照準をレールガンと接続させる。これで俺の思うとおりに撃てる。


 視線をアイギスに合わせるとヘルメットのバイザーにアイギスが映る。中央に捉えて引き金を引くだけーー


 ーー引き金を引くと、銃口が光って低い音が鳴り響く。そしてその次の瞬間には敵を貫通して爆発させていた。


 立ち上がる炎と煙に呆然としてしまう。

 余りの威力に信じられないのだ。


「何だ、この威力……アイギスは装甲の塊で、キャノン砲すら一撃で仕留められないのに……レールガンは易々と貫くのか……」


 新装備の凄まじさに心が震える。これからの歴史の転換点に立ち会えた気がして、体の震えが止まらない。

 だがふと撃ったのは人だったことを思い出して、震えが止まる。

 俺は人を殺したんだ。喜びを覚えるのは可笑しい。

 自分の発想に恐怖を覚える。まるで自分がやっているのはゲームだと思っていたのだろうか。その油断がいつか大きな間違いを起こしそうで怖かった。


 その後は一方的だった。脅威のアイギスは1機だったらしく、後はイルだけだった。高性能機、雷鳴の前にイルは為す術は無かった。


 オペレーターに仕事が終わったことを知らせる。


「こちらHAW隊、敵の空中戦力の全排除を確認。これから地上部隊の援護に向かう」


「了解です。地上部隊は優勢です。6時方向に機甲部隊を確認しています。そこを叩いて下さい」


「了解した。行くぞ」


 と通信を切ろうとしたら、オペレーターが待って下さい、と大きな声を上げる。


「嘘でしょ……東京上空から……いや宇宙から突入してくる物体を複数確認……判明しました。火星軍、大気圏突入ポットです……」


 上を見上げると、10ぐらいだろうか、赤い閃光を引いてこちらに向かってくる大気圏突入ポットが見える。まさかの宇宙からの増援か……


 大気圏突入ポットの数は10。最大数搭載されていたらHAWの数は30。我々の3倍もの兵力で、それも援軍で送ってくる部隊だ。ここに居た予備兵や非番兵では無い。正規兵で、練度は十分な敵に数も実力も負けている我々は機体性能と作戦で勝たないといけない。


 宇宙から降ってくるポットに今の俺らが出来る事は無い。対空ミサイルも無い俺らには射程外だ。

 ただ敵が出てくるのを見守るしかなかった。


「オペレーター!! 援軍は無いのか!?」


 だが頼みの綱の援軍は無かった。むしろ北京からの援軍や行った部隊が引き返して来るだろう。


「……済まなかった」


 オペレーターを非難しても無駄だろう。これは分かっていた事なんだから。


「全機、ここからが正念場だ。俺達が負ければ地上部隊は危うくなる」


 地上部隊には師匠やアリサも居る。コイツらにも友達や家族が居るかもしれない。


「絶対負けられない戦いなんだ!! 良いか、お前らの命は皆の命だ。簡単に死ぬんじゃないぞ。お前らが1秒でも長く生きれば一人助かるかもしれないんだ」


 皆が息を飲むのを感じる。自分達の重要性を再認識したようだ。これで無謀に突っ込みまい。


 そして空から降ってくるポットの外側が外れる。そしてイルが3機ずつ降下を始める。合計30機。最悪の状況だ。更にその中に色違いが居る。あれは専用機の証だ……


 専用機は量産機をチューニングした機体だ。その性能は他の機体よりは高いがそこまで変わりは無い。むしろ問題なのはその腕。エースパイロットしか乗れない専用機に乗る腕はもはや天才と言っても良いだろう。


 幸いな事に機体性能は雷鳴の方が高い。それにレールガンもある。専用機だろうが、当たれば一撃だ。


 シミュレーターでやったセイバー部隊を思い出す。負けまくっていた。だが1度だけ勝ったことがある。それは正面から当たらずに周りから削っていった時だけだ。実力ではどうやっても勝てなかった。守りに徹して、その間に戦況を優勢にして最後に数で追い詰めれた。

 あの時と同じようにやれば勝てるはずだ。

 1度だけの奇跡をもう1度を!!


 とても厳しい戦況だったが不思議と勝てる気がした。

 それは根拠のない自信だった。負けられないという気持ちが生み出した虚像だったのかもしれない。




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