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13-2 刑事の勘

忙しくて短めです。


ラインの背後に迫る人物とは!?


キャラクター人気投票は来週から始めようかしら……

今のところ、2回目なのでお似合いのカップルを予定してますが、他にご希望があればお知らせ下さい

 

 厄介な事に日本の警察に目をつけられてしまった。……いやコイツ一人だろうか? 


 ボサボサの髪に無精髭。ヨレヨレのコートはかなり使い古しているようだ。だが鋭い眼光は歴戦の猛者を思い起こさせる。


「キミは留学生……かな? それにしては体もガッチリしてるねぇ」


 無精髭を撫でながら俺の全身を見渡す男。気が抜けたような声だが、男の体に隙は無い。荒事に慣れているようだ。


「ねぇ、そろそろ身分証出してくれない? おじさん、お腹空いちゃってさぁ……」


 お腹空いてるのは本当かもしれない。だがそれは隙をあえて見せている。俺がここで逃げ出せば、捕らえる理由を作れる。


 相手の意図は見えた。だがこのままでは……


 会話で話をずらそうと声を出そうとした瞬間、右腕に何かが密着する。


「もう駅前で待っててって言ったじゃん!!」


 右腕に密着してたのはTシャツ、ショートパンツの茶髪の女。活発そうな表情はティナを思い出させる。

 残暑が残る今、その恰好はラフで地元住民に見える。


「ダーリン、やっと会えたね!!」


 ダーリン? いきなり抱き付いてきた女は誰だ? 誰かと間違えているのか? 


 更に混乱している中、彼女は正面から俺に抱き付き、耳元で(ささや)く。


「……アナタ、火星独立軍じゃないでしょ?」


 ーーっ!? コイツ!? 何故分かったんだ!? いやそれよりも何故その事を俺にささやいたのだ?


 無言で答える俺に彼女は腕を更に力を込め、身体を密着させる。

 身長は俺と同じぐらいで高い。ヒールももちろん履いてない。細い身体だが、女性らしく柔らかい。


 そんな雑念が入ってきた頃に再度彼女は囁く。


「……なら、私に合わせなさい。ここから逃がしてあげる」


 目を見開いて彼女を見るとウインクしてくる。……ここは彼女を信じるしかないな。


「やぁ、ハニー。わざわざ日本までやってきたよ!! ハニーに会いたくてさ!!」


 精一杯の笑顔で彼女を抱きしめる。知らない女性を抱きしめるのは罪悪感が凄い。


「嬉しいわ、ダーリン!! ……で、こちらはどちら様?」


 彼女は今気づいたように男を見る。その表情は邪魔するなと言わんばかりだ。


「……二人は恋人関係で?」


 頭をボリボリ掻きながら彼女を観察する男。若干ながら焦りが見える。


「そうよ!! 悪い? もう良いでしょ。行こ!!」


 彼女は強引に俺の手を引っ張ってこの場から離れていく。目を細めてこちらを見送る男を残して。






 -----


 駅から十分に離れた裏路地。人気は無い。

 ここに入ってから彼女の雰囲気はがらりと変わる。


「ふぅ、危ない所だったわね。……それでアナタの名前は?」


 さっきのいちゃつくカップルの彼女ではなく、女刑事のように俺を観察している。

 助けてくれたのだから名前ぐらいなら教えても良いだろう。


「俺はラインだ。君の名前は?」


「私は下村アリサ。アリサで良いわ」


 屈託の無い笑みで笑う彼女に心を許したくなるが、ここは敵領内。失敗すればそのまま死に繋がる。


 俺が公人ならばやりようは有るかもしれないが、非公式、いや密入国している。

 エルス国は認めないし、交渉等しないだろう。


 ここは慎重に行くべきだ。


「それにしても俺が良く、火星独立軍じゃないと分かったな? なぜだ?」


 もし目立つのであれば改善しなければならない。

 するとアリサは少し自虐的に笑って俺の服装を指す。


「そうね……もし火星独立軍の兵士ならば小汚い軍服だろうし、火星独立軍の諜報員ならばさっさと連行されて隠れた場所で証明するだろうし。

 留学生を装って来る諜報員はおかしい、なら諜報ではなく、何かしらの大きな目的を持って来たのでしょう?」


 確かに普通なら諜報員は他国から来ました、なんてならないように日本に最初から居るように見せかけるし、日本人がほとんどの日本では日本人の諜報員の方が良い。

 明らかに外国人の俺は向かない。


 観光で潜入する工作員ならば外国人でも問題ないが、普通は観光ビザで来る。だがそれは元のデータベースの改ざんもする必要があるので国を上げての工作員だ。

 一方俺は今ただの浮浪者だ。国の支援は無く、データベースの改ざんも行われてないので見せかけの身分証明しかない。調べられたら一発アウトだ。


 的確な彼女の指摘に頷くしかなかった。


「そう……やっぱりね。この際、貴方が地球連合軍かエルス軍かはどうでも良い。でも火星独立軍に捕まるのはマズいでしょ?」


 確認するように俺の瞳を覗き込む。これは悔しいが向こうに主導権が握られている。俺の命は彼女の気分次第なのだ。

 そして弱みを握った者は握られた者に要求するのが普通だ。

 どんな要求をしようか楽しげに考えない者、切羽詰まっていて無理やり協力者に仕立てる者など様々だ。

 そして今回、彼女は後者だった。


「この事は誰にも言わない。だから協力して欲しいの」


「……協力?」


 どんな事を要求されるのだろうか? 強盗? テロ? それとも暗殺? 


 もはやどれも非常にヤバイ物だ。ふと脳裏に、コイツを消せば誰も俺の素性を知らないのでは? と黒い考えが浮かんだ時、彼女は頭を下げる。


「私と一緒に日本を解放して欲しい!!」


「ーー解放!?」


 火星独立軍に完全に占領されている日本を解放して欲しい、という彼女の要求は俺には訳が分からなかった。



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