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12-3 予期せぬ遭遇

今さらですがこの作品のテーマはご存じでしょうか?

この作品のテーマは「何のために戦うのか」


この世界では戦争がしたくてしている人は居ません(一部を除く)

彼らは何のために戦い、何を思って散るのか。そして幸せとは何か。そこについて考えながら書いて行きます。


固い話になりましたが、その世界をより身近に感じて貰う為、キャラクターの日常を描きます(閑話)

閑話に関してはほとんど本編に関係無いため、アイディアを募集しています。見たいキャラクターがいればお知らせ下さい



 

 外に出るとそこは異世界に来たようだった。見慣れている光景のはずなのだが、人が1人も居ない街は異常に感じる。これだけの避難を直ぐに行った軍と民間人に対して感心する。


 それはあの戦いーー第一次オークランド基地防衛戦の教訓からだった。あの戦いにおいて、後手に後手でエルス国は多くの民間人犠牲者を出した。俺の家族もその中に含まれる。

 初の戦争という事でいまいち避難が間に合わなかったのである。

 そして今日、戦争状態になって3年。エルス国の避難計画は大幅な改善がされていた。


 それが功を奏して今、人気の無い大通りを行軍している状況となっている。やけに大きく聞こえる靴音とAMAの金属音が不気味に感じる。

 そして地下に居た時よりも大きな爆発音と地響きが聞こえ、戦争をしているんだと再認識させる。


 小隊毎に固まり、行軍する俺らにグレンが手を上げて待てと指示する。


「ここから先は敵の索敵に入る。さて指示をくれ、指揮官さん」


 微笑を浮かべるグレンは俺の指示を待つ。


「ああ、まずはもう一度敵の状況を教えてくれ」


「分かった。……現在、敵はAMAを装備、建物内に潜伏している。そろそろ出てくる。敵の配置、装備が完全に分からない以上、敵が外に出て来た所を叩くのが最適だと思うが」


 グレンからの提案を考えてみる。

 確かに敵の大まかな戦力は判明したものの細かい戦力は把握出来ていない。例えば装備。AMAは確認したが銃火器はどうだろうか。


 そして次に建物内での戦闘は狭く、数の理を活かせない。なので個人技量が問われる。

 また待ち伏せされる可能性も考えなくてはいけない。

 これでは技量の劣るこちらが不利だ。

 それに対して外での戦闘は数の有利を活かせる。そして集団戦闘が出来る為、実力差は数で埋められるだろう。


 そう考えると外で戦うという提案は最適だと思える。


「そうだな。グレンの案が最適だ。敵が外に出て来た所を包囲して攻撃する。グレン、援軍には向こう側の包囲を頼めるか?」


 援軍がエルス軍では無い以上、命令では無く、お願いという形しかない。機嫌を損ねるのはマズイ。


 するとグレンは俺の考えを知ってか、俺の肩を叩いて安心させようとする。


「大丈夫、大丈夫。援軍は裏切ったりやしない。俺が保証するって」


 グレンの保証が信頼出来た試しがない。その証拠にグレンが保証すると言った瞬間、全員の視線がグレンに冷たく注がれていたのだ。

 ……まあグレンはこういう時には真面目になる。今もそのはず、だ。


 そもそもエルス軍では無い軍とは何者だろうか。傭兵部隊だろうか。金や物、女を報酬に動く兵士達だ。

 もちろん国際法で地球連合軍、火星独立軍、エルス軍等々、国に所属する軍ならば規律がしっかりしているが、傭兵部隊は何処にも所属しておらず無法者ばかりだ。

 しかしその戦力は侮れないものである。拮抗している戦場では決め手となることもある。


 また軍と違い、安価なのも消えない理由だ。軍では死亡したら手続きや遺族への支払い等手が掛かる。しかし傭兵部隊には前金だけしかかからない。もちろん成功後には後金を払うが、その総額は軍の半分以下だ。

 また物や女を報酬として貰う為、更に安上がりとなる。


 エルス軍は傭兵を雇わず、自国の軍のみで戦っている。傭兵への報酬の女を払うには防衛戦のみなので自国民の女となってしまう。そんなのは許されるはずもなく、傭兵部隊は雇われる事は無い。

 地球連合軍や火星独立軍は戦力の保持の為、黙認という事で見過ごしているのが現状だ。また止めようにも監視仕切れないというのも一因のようだ。


 もし援軍が傭兵部隊ならそれは止めないといけない。力は借りるが報酬は限定するしかない。もし断るなら俺はグレンと……


 必死に信じて貰おうと弁解しているグレンを横目に見ながら、少し曇ってきた空を見上げていた。






 -----


 前線に居る味方から攻撃要請が来たようだ。今、我々が後方から攻撃すれば戦前は直ぐに崩れ落ちるだろう。


 最前線は今総力戦となっていて、お互いに一進一退の状況となっているらしい。後ろに気を配る余裕等有りもしないだろう。いや有っても回す戦力は無い。精々、護衛部隊と代表、副代表だろうか。


 代表と副代表がかなりの強者と聞くが、我々50人を相手出来るほど強くはないだろう。そう、かの昔の英雄かノエ特佐でも無い限り。

 と思うと、ノエ特佐は化け物だなと身内の自分でも思う。相手をしている地球連合軍が可哀想だなと少し思う。


 そんな事を考えていると先輩に背中を思いっきり叩かれる。AMAのプレート部分だったので痛くは無いが、その衝撃はよろめくほどだ。


「おい、ボサッとするな!! まさかチビった訳じゃ無いだろうな?」


 ガハハと朗らかに笑う先輩に溜息を付きながら返事をする。


「まさか……初めての戦闘でもないんですから……ここでは新人かもしれませんが他ではそこそこやってたのですからね」


 先輩は機嫌を損ねたと思ったのか悪い悪い、と肩を叩いて来る。それ誤魔化してるつもりですか……


 全員が外に出ると、もはや隠れているとは言えない。火星独立軍の階級証を付けているのが一目で分かる。


「もう隠れる必要は無い!! ここからはひとっ走りで行くぞ!! 我らの火星に自由を!!」


「「「我らの火星に自由を!!」」」


 掛け声と共に次々と肉体強化魔法で瞬時に最高速度に達して走り出していく仲間達。消えると言った方が正しく、直ぐに見えなくなっていく。






 -----


「ちょっと待った!!」


 魔力を消して、隠密移動中の俺らを止めるには十分な大声だった。


「どうした、グレン?」


 隠密移動中には相応しくない大声に怪訝に思う。


 次第に青ざめていくグレンの顔色に早く説明をしろと迫る。


「……報告によると、ターゲットがこちらに向かってくるらしい……」


「ーー何!?」


 気づかれたのか? いや俺らの居る道はウェリントン基地への道でもある。逆に待ち伏せが出来るな。


 だがグレンは顔色は悪いままだった。


「待ち伏せ出来るし、むしろこっち有利になるのでは?」


 推測を言ってみるが、グレンは首を横に振る。


「確かに待ち伏せ出来る分有利だが、そもそも援軍と共に包囲するのが前提だろう?」


「あっ……」


 そういえばそうだ。援軍が到着するまでの時間が伸びるという事か……クソッ、どのくらいだ?


「どのくらいで到着出来る?」


「……今から5分掛かる」


 5分か……ん!? マズイ!!


「ーーという事はその間に会敵(かいてき)するんだろ!?」


「……そうだ。後1分後だ」


 小さく頷くグレンを見ると事の重大性が分かる。

 直ぐに戦闘態勢を整えないと!!


「全員、戦闘配置!! 1分後に来るぞ!!」


 開けた大通りから建物に入って待ち伏せする。横っ腹から挟み撃ちだ。


 剣を抜いて柄を強く握りしめる。ここからは人と人の殺し合いだ。プライドも無い、生きるか死ぬかの戦い。俺達は明日を生きるために戦う。






 -----


 肉体強化魔法で走るのは爽快感がある。車や自転車でしか味わえない速度を自分の脚で出しているのだ。だがもちろん早い速度なので躓いただけで大怪我になる。AMAが発動するものの、そんな事で使っていたら戦闘ではヘトヘトだ。

 最新の注意を払って進む。


 まあ先輩方が先行しているので安全な道をなぞるだけだが。


 だが爽快感を楽しめたのは束の間、直ぐに先行している先輩が脚を止めた。


「全員、止まれ。……まさかバレているとはな……それに洒落てる物を置きやがって……」


 先輩は苛つきを隠さずに舌打ちする。他の先輩方も大通りを見て次々と溜息や舌打ちをしていく。


「何があったのですか?」


 状況の飲み込めない自分は先輩に質問する。すると先輩は腰からタバコを一つ取って遠くに投げる。


 するとタバコは綺麗に2つに切断されて地面に落ちる。


「……これは……」


 タバコの草が何かに付いて姿が見えてくる。見えて来たのは半透明のワイヤー。それも軽く触れただけで切れるワイヤーだ。


「ふう、全く敵もようやるよな。さて、来るぞ」


 先輩はタバコにライターで火を付けると口から煙を吐き出す。そして煙はワイヤーを避けながら空に霧散する。煙によって輪郭が露わになった無数にあるワイヤーの巣を見ると楽しそうに微笑んだ。




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