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11-9 戦略的撤退!!

逆に今週は送れるという……書き溜めするべきでした……


Twitterにて裏話公開中です。この作品は行き当たりばったりだった!?

 

 チームの部屋には俺とマヤだけが居た。アーロンはどこかへ。マナンとドリーは買い出しだ。

 これから祝勝会をやるらしい。


 最強の女子力を持つマナンと何か手伝いたいドリーが料理を作るのだ。

 因みに唯一の女性であるマヤは……


「……何よ?」


 いつの間にかにマヤを見つめていたのかマヤが不機嫌そうにしていた。マヤが不機嫌なのはマナンに手伝うのを断られたのもあるかもしれない。


 こちらが横に首を振るとマヤは手元の本に視線を戻す。




 さて、俺達の最初の試合は俺達の勝利で終わった。

 よくよく、トーナメント表を見ると俺達はシードになるブロックみたいだ。3戦勝てば優勝らしい。

 これは幸運と見るべきか、不運と見るべきか。


 アピールタイムは減るが、優勝が近い。


 一戦目はティナとの試合。そして二戦目はエドウィン達とだ。さっき向こうも試合が終わり、圧勝だったらしい。そしてあの3人組でそろってチームに居る。本当に抽選しているのか?


 いくら喚いてもチームメンバーは変わらない。ここは冷静に対処しなくては。


 エドウィン達、3人組。

 奴らは性格は悪いが力量は確かだ。

 エドウィンはこの中のリーダー的存在。前は俺が仕切ったが、あいつも指揮官科。更にあいつは家の帝王学と共に戦術も学んだと聞く。


 帝王学ーーリーダーシップ論や幅広い知識を教え込まれるという物。俺はこんな物は学んで無い。


 ふと紅茶を優雅に飲んでいるマヤと目が合う。マヤは帝王学を学んでいるのか?


「なあ、マヤ。お前は帝王学を学んだのか?」


 マヤはソーサー(紅茶やコーヒーの下に置く皿)にゆっくりカップを戻して髪を掻き上げて質問に答える。


「帝王学? ……私は教えられたというより独学で学んだわ。まあ、付け焼き刃だけど」


 独学で帝王学を学ぼうと思い至ったマヤは凄い。帝王学は幼少から家庭教師と共に時間を掛けて学ぶ物なのに、独りで短い時間で覚えたという事だろうか。


 付け焼き刃と言ってるが、マヤの付け焼き刃は当てにならない。


「凄いな!! 帝王学を学ぶのは時間が掛かるはずだろ?」


 するとマヤは少し口角を上げて答える。


「そうね。本来なら10年ぐらい掛けて覚えるべきだわ。私が覚えたのは大まかな思想だけよ。リーダーとはこう在りなさいーーという感じよ」


 要点だけをマヤは覚えたのだろうか? それでもあの量を前にやる気など起きない。


「なるほど。ならエドウィン達は一枚岩であると考えた方がいいな」


 もちろん帝王学を学べばチームをまとめられるという訳ではないが知っていると知らないのでは違う。


「そうね。それなりのリーダーシップを発揮すれば普通は付いてくるわ」


 人は集団になればリーダーシップを取ろうとする人がいれば付いていくのは普通だ。俺達のチームが個性的過ぎるだけだ。


 溜息を漏らすラインにマヤは可笑しいのか笑う。


「ふふっ、こんな個性的なチームの指揮官は、私は嫌よ」


 楽しそうに笑うマヤにラインは再度溜息を付く。


「ほんっとに大変だよ。分かってるなら最初から協力してくれればいいのに」


 マヤに視線を送るとマヤは含みを持った笑顔で応える。


「あなたの実力が頼りないのは事実よ? でもそれが今回は正解だったのよね……」


 ふうんと嘗め回すような視線を向けてくるマヤ。鑑賞物では無いからやめて欲しい。


 嫌がるラインに満足したのか手元の本に視線を戻すマヤ。女性の気持ちが分かった気がする。






 -----


 マナンとドリーが山盛りの食材と戦闘し始めた頃、アーロンが戻ってくる。


 一汗掻いたアーロンは頭をタオルで拭きながら部屋に入ってくる。


 そして山盛りの食材を見るとギョッとした表情になる。


「おい、何だそれは……」


 強ばった表情のアーロンにマナンはにこやかに答える。


「これから祝勝会をしようと思ったから、調理するんだよ。アーロンもゆっくりしてて」


 まるで主婦のようにテキパキ調理をし始めるマナンにアーロンは開いた口が塞がらない。


「何だコイツ、そんな特技があったとは……」


 信じられないような表情をしながら椅子に座るアーロン。知ってるのは俺だけだからな。


 そして同様にマヤも手元の本よりもマナンの調理が気になって仕方ないようだ。チラチラとチラ見している。


「マヤ、後学の為に見たらどうだ?」


 突然話し掛けられてビクリと体を震わすマヤ。


「えっ!? え、ええ。そうね、後学の為に必要よね」


 やはり女として男には料理を譲れない物が有るのだろう、また花嫁修業した自信がマヤをマナンに対抗させる。

 マナンの技を盗みに近寄る。

 そしてマナンと一緒にやり始めた。感嘆の声を何度も聞こえてくる。


 微笑ましい光景を眺めているとアーロンがその様子を見ている事が視界の端に入る。


「珍しいなアーロン。こういうのは苦手では無かったか?」


 すると少しばつの悪そうな表情をしながら答える。


「ああ、苦手だ。だけど腹は減ったし、そろそろ学食も飽きてきた頃だしな。量も多そうだから手伝ってやる」


 と言いつつも早くも戻ってきた事のは何かしらやると予想して戻ってきたのだろう。アーロンもこのチームに馴染んで来た事が嬉しい。


 そんな思いが顔に出ていたのかアーロンが怒りだす。


「てめぇ、俺を馬鹿にしてるなぁ!!」


 勢いよく立ち上がったアーロンを宥めるがなかなか収まらない。


 その時、アーロンの目の前にスープが横から置かれる。


 薄い茶色のスープの上には湯気が立っている。

 野菜をじっくり煮込んだスープは見た者の食欲をそそらせる。


 この場に居た誰もが唾を飲み込む。


 怒りも何処かへ行き、目の前のスープに釘付けのアーロン。


 そんなアーロンにマナンが食べたように勧める。


「良かったら味見してくれないかな? まだ未完成だけど1回チェックしときたいからさ」


 そう言われたアーロンは渋々と席について、スープを黙々と飲み始める。


 スープを調理したマナンを見るとこちらにウィンクしている。GJ、マナン。






 -----


 アーロンが魔法のスープで落ち着き、マナンの調理が終わった頃、

 祝勝会が始まる。


 酒を片手にマナンの料理に舌鼓を打つ。


 たわいもない事で盛り上げるのが学生だ。アーロンも一緒に盛り上げる事は無いがここに居るので少しは楽しそうだ。


 そうして祝勝会も落ち着いて来た頃、酔っぱらいが続出する。

 俺はあんまり酔わない体質で、程よい心地良さだ。


 最初に絡んできたのはマヤだった。明らかに酔っぱらいで暑いのか胸元を開けてる。青色の下着が見えてるぞ!!

 本人は酔っぱらっているのか気付かない。いや自分で開けたのか。


 腕にしだれて来る。


「……ねぇ、私って魅力無いかな?」


 甘ったるい声で上目づかいで俺を攻撃してくる。


「い、いや、そんな事無いと思うぞ」


 とりあえず当たり障りの無い答えで誤魔化す。


 するとマヤは大きな溜息を付く。


「はぁ……やっぱりこんな毒舌家の嫌な女はお呼ばれじゃないわね……」


 今度は女々しく泣き出しそうになる。コロコロと感情が動くな。


「まあ毒舌家なのは確かだが、それは心配する思いからだろう? その強い言い方を辞めれば良いと思うぞ」


 アドバイスで何とかフォローしたら笑顔になり、マヤがこちらを見つめて来る。


「……フォローありがとう。こんな女にも優しいのね。……ねぇ、良かったらキスしてあげようか?」


 突然爆弾発言をしたマヤに酒を口から噴き出す。マヤが変な事言ったから肺に入ったぞ!!


「ゴホッ……ゴホッ……な、何を言い出すんだ!!」


 マヤの瞳を見ると視線はやや虚ろだ。酔って思考も飛んでいるな。これは素面になったマヤに恥ずかしさで殺されるぞ。


 戸惑っているとマヤから動いて来る。強い力で首を押さつけられてるから動けない。


 ドンドン迫る艶めかしいマヤの顔に思考が停止するーー


「ーーダメぇーー!!」


 大きな声を上げて間に入って来たのはマナン。助かった!!


 突然入ってきたマナンに頬を膨らませて不機嫌になるマヤ。


「別に良いでしょ。減るもんじゃないし」


 いや、減りますよ私の精神が。そして明日の命が。


「こ、こんな所でそんな事して良いと思ってるの!!」


 マナンの追撃にマヤは整然と反撃する。


「あら、じゃあここじゃければ良いのかしら?」


 マナンの反論に的確に攻撃するマヤ。このままじゃマズいですよマナンさん!!


「とにかく、駄目な物はダメェ!!」


 と理論も無茶苦茶な意見にマヤは勝ちを確信して笑みを浮かべる。


 これはもう無理だっ!!わが軍の敗北だ!!


 起死回生の一計を案じるしかない。


 そしてラインは指揮官科で学んだ一計をここで使う。


 ラインはマヤに背を向けてーー逃げ出した!!


 これが指揮官科で学んだ、戦略的撤退だ!!


 扉から出たラインをさすがに追ってくる者はいなかった。



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