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8-B 平和な元旦(閑話)

 

「「「ハツモウデ?」」」


 ここに居るライン以外のーーユーリ、アンジェリカ、クリフ、ランス、サイオン、ルーカス、アイリーン、ライル、グレン、ティナ、マナンの頭の上にハテナマークを浮かべる。


 そんな彼らにラインは得意げに語る。


「ええ、初詣です。初詣は日本の正月に行う行事でーー」


 元々は「年籠り(としこもり)」と言い、家長が祈願のために大晦日の夜から元日の朝にかけて氏神の社に籠る習慣であった。やがて年籠りは、大晦日の夜の「除夜詣」と元日の朝の「元日詣」との2つに分かれ、元日詣が今日の初詣の原形となったらしい。

 現在は主に三が日までに行くのが「初詣」という事らしい。


「ーーという事らしいですよ」


 と自慢気に日本通を見せびらかすラインに他の面々は素直に感心する。


「へえ、ラインがここまで日本に詳しいとは思わなかったぜ」


 とグレン。


「日本か……私も行きたいです」


 とルーカスの横顔に物欲しそうな視線を送るアイリーン。


 冷や汗を掻いたルーカスは決断する。


「良し、次の休みに行こうじゃないか、日本へ!!」







 -----


 1月1日元旦、ライン達は明治神宮に来ていた。


「スゴい人だかりね……」


 目の前の群衆に圧倒されたティナの呟きに面々は頷く。

 昇ったばかりの朝日に照らされた境内はどこもかしこも人であった。

 その中をカランカランと乾いた足音を鳴らしながら歩く女性陣。草履と石畳が当たる音だ。


 黒の下地に梅の花柄が刺繍された着物を着ているアイリーン。長い金髪はトップをゆるく編み込みサイドでシニヨンに。最後にトップの毛をふんわり引き出す。何とも大人の色気に満ちた雰囲気を醸し出しており、周りの人もチラチラと男女共に目線を送ってしまうのだ。


 その横を歩くルーカスには男から妬みの視線を送られる。視線に敏感なルーカスは苦笑いする。


「……ここもアイリーンの人気者だな。俺なんかでは釣り合わないな」


 するとアイリーンはルーカスを睨む。ルーカスは一瞬たじろぐが何故彼女がこちらを睨むのか分からない。

 ルーカスが察するのを諦めたアイリーンはため息を付いて、


「……もう!!」


 と強引に自身の腕とルーカスの腕を絡ませる。


 驚いたルーカスは離れようとするが、アイリーンの力には敵わない。


「ど、どうしたんだ、アイリーン?」


 戸惑うルーカスにアイリーンは下を向きながら答える。


「……人が一杯いますからはぐれないようにです!!」


 何だがまた不機嫌になったアイリーンにルーカスは女心は分からん……と呟きながらアイリーンの歩く速度に合わせて歩いて行く。






 ----- 


 その様子を眺めていた他の面々はニヤニヤと頬を緩ませていた。


「いやー青春してるねぇ」


 とライルとグレン。


「やっぱり大人はカッコイイですよね」


 とティナとアンジェリカは頷く。その視線はユーリに向く。


 何故か視線を感じるユーリはキョロキョロと探す。


 ティナはアンジェリカの背中を叩いて応援する。


「アンジェリカ、あなたも頑張りなさい!!」

「はい!!」


 背中を押されたアンジェリカはユーリの元に草履を鳴らしながら行く。

 長い栗色の髪は低めのアップスタイルのシンプルシニヨンでうなじも見えている。

 薄いオレンジ色の下地に色とりどりの花柄が刺繍された着物を着たアンジェリカは可愛いらしい。


「ユーリさん、私達も行きましょう!!」


 と言ってユーリの手を取るアンジェリカ。引っ込み思案の彼女にとっては手を握る事すら恥ずかしいはずだ。

 アンジェリカは顔を真っ赤にしながらユーリを引っ張って行く。






 -----


 若い青春に年老いた者達は微笑ましく感じる。


「うむうむ。初々しいのう」


 と満足そうに頷くクリフにサイオンも頷く。


「ええ、彼らは幸せになって欲しいです」


 幸せそうなユーリ達を見てグレンは何かを思いつく。

 クルッとティナの方に向く。

 そのいやらしい表情にティナは身じろぐ。


「なあ、ティナさん、俺と腕組まねぇ?」

「嫌よ」


 即答かよっ!?

 即答で断られたグレンは何だが面白そうだ。分かってやってたか。


 2人のコントにマナンは笑う。


「ふふっ、こういう雰囲気が来年も続いたら良いね」

「ああ、今年(・・)も俺達は友達さ」

「あっ……」


 既に年が変わっている事を思い出したマナンは恥ずかしそうに笑う。


 暖かな陽射しの太陽はとても輝いて見えた。


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