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6-A とある休日(閑話)前編

前回散々大口を叩いていましたが、今思うとハードル上げすぎでした。

今回は閑話です。ちょっとラインが暴走している気がしますが、作者の趣味が多少?出ているので、流して下さい。


これがラインの趣味とか決めてないのでよろしくお願いします。


それで今回もいつもの後編があります。やっぱり一回で書ききれる量じゃない……


次話の為秋葉原で本物を勉強してきます(*ゝω・*)ノ


これからの閑話ですが、何かやって欲しい事や見たい、知りたい事が有りましたら感想か、メッセージ、活動報告の読者意見板にお書き下さい。


 

 外に出ると暖かな日差しがラインを照らす。まるで退院したラインを祝福してるかのようだ。


 精密検査やら、何やらを受けさせられたライン。あの時、魔力も使用してないし、攻撃も受けてないのだが一応らしい。これで3日間も入院していた。


 ふとラインはティナの言ってた事を思い出す。


 ーー私の家に来いーー


 この言葉はラインの中に渦巻いていた。ラインも男だ。もしや……と甘い考えが浮かんでしまうのも仕方ない。


 悶々とする気持ちの中、寮に足を向ける。






 -----


 寮に戻るとマナンがものすごい速さで飛んで来る。

 その様子は主人の帰りを待っていた犬のようだ。


「ライン、お帰り!! 3日間も帰って来ないからどうしたのかと思っちゃったよ!!」


 と心配するマナンも1日入院していたらしいが問題は無さそうなのですぐ帰らされたらしい。


「マナン、ただいま。お前こそ大丈夫か?」


 ラインはむしろマナンが大丈夫か心配する。


「うん、大丈夫。……特に何もしてないからね……」


 マナンの表情に影を落とし、俯くマナン。

 彼は自分の無力感に(さいな)まれているのだろう。


「そうか? 俺と一緒に潜入するし、敵に襲われそうになるし、かなり危険な目にあっただろ?」


 この言葉にマナンは顔を上げ、喜ぶ。


「……そうかな? 僕でも少しは約に立てたかな?」

「ああ。マナンが居なければあの作戦は成り立たなかったぞ」


 するとマナンはすっかり上機嫌だ。

 そのまま一緒に部屋に戻る。






 -----


 次の日、授業に向かうとグレンが既に居た。もうあの事件が無かったようにいつも通り多くの人に囲まれていた。


 ラインと目が合うと手を挙げて、挨拶してくる。ラインも手を挙げて挨拶を返す。


 そしていつもの席に着くと、後ろから声が掛かる。

 振り向くとあの3人組だった。


「よお、雑魚は仮病で入院かぁ?」

「まだ入院してても良いんだぞぉ?」

「力無き者は黙って見てれば良い物を」


 3人は散々ラインを罵る。

 退院早々嫌な気分だ。


 ラインが反撃とばかりに睨みつけていると、3人組の後ろから声が聞こえる。


「ちょっと、どいてくれないかしら?」


 3人組とラインが視線がそちらに向く。そこにはティナが薄い胸の前で腕を組んでいた。その眼光は鋭く、ここに居た全員が冷や汗を掻いてしまうほどだ。


 ティナは3人組に視線を移す。

 すると3人組はビクリと肩を震わせ、捨て台詞を吐きながら去っていく。


 ティナはため息をついて、ラインの隣のいつもの席に座る。


 ラインはティナにお礼を言う。


「ティナ、ありがとう」


 するとティナはそっぽ向いて答える。


「別に良いのよ。あいつらが邪魔で座れなかっただけだし」


 と感謝は要らないという素っ気ない態度を示すティナ。


 その後、あの時についての会話は次の休日まで無かった。






 -----


 次の休日、ティナから指定された店に一人で行く。

 マナンは用事があるらしく、別行動だ。

 久しぶりに一人で少し寂しく感じる自分に苦笑いする。


 いつの間にか、マナンが隣にいるのが当たり前になってたな……


 後ろをチョコチョコ付いて来るマナンを懐かしく感じる。


 それを振り払うように足を早める。


 そして指定された時間5分前に着いてしまった。早く歩き過ぎた。

 5分前とはいえども、向こうも準備が有るだろう。時間まで店先で待たせて貰おうかな。


 店先で道行く人を眺める。

 ウェリントンセントラルの郊外といえども、休日だ。ここら辺は懐かしい商店街が立ち並んでいる。

 活気に溢れ、郊外とは思えない。


 そして、道行く人々の笑顔。自分が守った笑顔なのだと思うと心が震えて来る。


 破顔しそうな所を堪えてる時、いきなり後ろから何かが当たり、衝撃で前のめりになるがそこは鍛えた体で何とか堪える。


「一体……何なんだ?」


 後ろを振り向くと、130cmぐらいだろうか栗色のツインテールをしたメイドの少女が居た。


「……」


 ラインが目をパチクリしていると少女はあどけない笑顔でラインに飛びつく。


「お兄ちゃんはお姉ちゃんのお友達でしょ? なら私のお友達!!」


 次は正面だったから簡単に受け止められる。この小ささは子供だろう。

 そして少女の言葉で理解する。


「お姉ちゃん? 君はティナの妹かい?」

「うん!!」


 いっぱいの笑顔で頷く少女。


 なるほど。こんな可愛い妹が居るとはティナも見習う必要があるな。


 少女を連れられ、店に入ると客は誰もいない。そして目の前にはお姉様が居ました。

 ええ、妖しい微笑みの。


「あら、ラインはロリコンだったのね。でもウチのピナはやらないわよ?」


 そうそれは笑顔だけど、目は笑ってなかった。


「こ、これはピナちゃんが飛びついて来て……だから俺は……」


 慌ててフォローするがティナは聞く耳を持たない。


「こら、ピナ。勝手に飛びついたらダメでしょ。変な人だったらどうするの?」


 そう言いながら冷たい視線はラインに注がれる。


「俺は普通な……は……ず」


 俺は断じてロリコンでは無いと言いたい所だが、ピナちゃんは天使だった……はっ!?


 気付いたらティナとの距離はかなり離れていた。シッシッと追い払う仕草にラインは苦笑いする。


 ーーこれはティナを褒め落とす作戦しか無い!!


 手を揉み揉みしながら近づいて行く。まるでゴマすりの商人だ。


 えーと、ティナのどこを褒めれば良いのかな?


 頭の中で選択肢を並べる。


 1.平たい胸

 2.まな板

 3.更地


 ーーってどれ選んでも殺されるわ!!


 頭をブンブン振ってクソ選択肢を振り払う。


 見事な程、平坦な胸はピナちゃんにすら負けてるのだ。ちなみにピナちゃんは小学生らしい。


 頭を切り替え、服装を褒める事にする。


 ティナに目線を向けると、今更気付く。ティナもメイド服着ている事に。引き締まった肉体を包み込むフリフリの服。フリル付きの短いスカートからは健康的な足が惜しげも無く出ている。

 そして白いニーソックスと短いスカートは絶対領域を醸し出していた。あの見えそうで見えない……残された太ももが貴重だ……


 絶対領域最高!!


 ーーはっ!? 


 自分の顔が凄く緩んでいることに気付いて、慌てて顔を引き締めるがもう既に遅い。

 既にティナは自分の体を抱いて、距離を開けていた。


「人の体をなめ回すように見る変態はお帰り下さい」


 凄い棒読みで言われた台詞がラインの心に突き刺さる。


 グフッ……


 ラインがやっちまったと頭を悩ませている所に誰かからのフォローが入る。


「その子はティナの体を見てたんじゃない。メイド服を見ていたんだ」


 振り返るとカウンターの向こう側に居たマスターぽい人がフォローしてくれたのだろうか。

 このお店は分かってるな。


 するとティナが不機嫌になる。


「それでも不快だわ。こんなヒラヒラな服は私には似合わないわよ、お父さん」


 ーーお父さん!? 


 ラインは驚愕で目を見開く。


 するとお父さんと言われたマスターはニッコリ笑う。


「ふむ、それにしても我が娘ながら見事なメイドさんだ。これは良い……」


 と次第に鼻の下が伸びてくるお父さん。


 そこに賛同する者が現れる。


「良いもんだなあ、メイド服も。彼女にメイドさん一人ぐらい居ても良いかもな。ティナ、どう?」


 聞き覚えのある声に振り向くとそこにはふかふかの座席にどっかり座り込んでいるグレンと行儀良くちょこんと座っているマナンが居た。


 ーーグレンとマナンが何故ここに!?


 とラインが驚いているとティナが怒り出す。


「変態!! バカ、死ね!!」


 と怒って奥に引っ込んでしまった。


「あらら、誉めたつもりなんだが」


 とグレンは言うが絶対にからかってる。証拠に笑いが漏れて来てる。


 ラインはグレン達のいる、まだ余裕のあるソファに座る。

 座ろうと思えば、対面で3人ずつ座れそうだな。


 そこにムスッとしたティナがやって来る。


「……ご注文は?」


 明らかに不機嫌だ。

 でもそこはメイド。注文を聞いて来る。

 グレンとマナンには既に飲み物が来ているのでラインだけだ。


「ああ、えーと、ゴー「スマイル下さい」」


 滅多に飲めない炭酸飲料ゴーラを頼もうとしたらグレンのふざけた声に遮られてしまう。


 恐る恐るティナを見ると、ニコニコしていた。しかし目は笑っていない。


「これで宜しいでしょうか、ごゆるりと」


 とだけ言って奥に引っ込んでしまった。ちょっと俺のゴーラ……


 10分後、さっさとティナがやって来てやっとゴーラをテーブルに置いて行く。

 何で10分も掛かってるんだ? と疑問に思いながら一口飲むと……炭酸が抜けていた。


 ティナ、思い切り振ったな?






 -----


 その後炭酸の抜けたゴーラと共に、グレンとマナンとの会話になる。


「何で2人はここに?」


 と質問するとグレンがコーヒーをスプーンを使って物凄いスピードでかき混ぜながら答える。

 何でそんなにかき混ぜるんだ。コーヒーで遊んでいるのか。


「そりゃあ、ティナに呼ばれたからだよ」


 え? 呼ばれた? 俺だけかと思ってた。


 マナンも同様に頷いている。


 マナンもか。


 やっと2人が居た理由に納得したラインはお腹が空いてる事に気付く。


「そういえば、2人は昼飯食ったか? 俺まだなんだよ」


 するとグレンとマナンはにやつく。

 なんか嫌な予感がするぞ……


 グレンは手を挙げ、注文する。


「ティナ、あれを頼むわ」


 その言葉を聞いたティナは顔を青ざめる。動かないティナにグレンは急かす。


「ティナさーん。ご注文が入りましたよー?」


 とグレンは煽る。

 ティナはプルプル震えながら奥に戻って行く。


「おい、一体何を頼んだんだ?」


 ラインは小声でグレンに尋ねる。


 するとグレンは楽しい事だよとだけ言ってコーヒーを飲む。


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