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5-4 HAWの試験



9/29改稿

 

 試験最終日。射撃試験が終わり、最後の試験となった。

 最後の試験はHAWの操縦。


 もちろん操縦すると言ってもいきなり本物のHAWを動かせと言われたら、暴走して街が破壊されてしまうだろう。


 なので今回使うのはシュミレーターだ。

 これは精度の良いシミュレーターで実際のHAWのコクピットと同じ構造で実戦に近い戦闘訓練が出来る物だ。


 今回のシュミレーターの相手は火星独立軍。

 こちらは全員が同時に共同出撃する。

 単純に考えて、火星独立軍vs新米100機。

 こんなこと実戦ではあり得ないがシュミレーターならではの編成である。


 ラインも小さなポットに入る。

 中は薄暗く、人一人入ったらもうスペースに余裕は無い。


 目の前には大型モニターと左右と上に小さなモニターがある。サブカメラで左右と後ろを映し出すらしい。


 座席に座り、位置を調整する。シートベルトを着用し、開始を待つ。このシュミレーターは揺れさえも表現する。もちろん逆さになったりはしないが揺れ、衝撃をある程度表現する。


 こんなリアルなシュミレーターなので、もちろん吐いてしまう人も出るのでフルヘルメットを装着し、機械に掛からないようにしている。ヘルメットの前面は透明だ。


 開始のブザーと共にコクピットの中にあった薄暗い照明は無くなり、モニターの光だけが辺りを照らす。


 ヘルメットから通信が入ると共にモニターが映る。

 どこかの市街地みたいだ。多くの高いビルが建て並び、市街地の全容は分からない。

 ヘルメットからは機械声が聞こえる。


「これより、シュミレーションを開始します。場所は市街地。敵戦力は不明。勝利条件は敵の全ての撃破です」


 感情の篭もってない声でシュミレーターの内容が知らされる。


(それにしても敵の戦力が不明ってどういう事だよ……)


 とラインは愚痴るが、誰も応えてくれない。


 そんなラインが周りを見渡しているとアラートが鳴り、正面モニターの下にあるレーダーが敵の感知を知らせる。


 レーダーを見ると広域レーダーとなっており、今回の戦場の全容が見えて来た。


 ここはどこかの海に接した発展都市。そして、赤い点で表示される敵は内陸から来るようだ。速度はかなり遅い。速度から見ると戦車だろうか。


 ふと他の所を見るとあちらこちらに青い点が表示されている。ほとんどが動いて居ないが、何機か敵に高速で向かっている。


 レーダーモニターに触れると青い点の詳細が表示される。


 速度、大きさ、敵味方識別コード、またデータベースから機体が割り出される。


 今回はエルス国のHAWーーエルピスだ。緑色の色をしたHAWだ。

 左手には大きな盾と右手には銃身の長いアサルトライフル。


 このように各国のHAWには特徴が出ている。

 エルス国ーーエルピスは高い防御力と長い射程と高い火力。


 地球連合国ーーセイバーは高性能な機体性能と多種多様な武装を取り付けられる汎用性。


 火星独立国ーーイルは高い機動力とコストパフォーマンスの良さ。


 という風に各国の特徴が表れている。これを見ると各国の求める物が分かる。


 エルス国は基本的には自国の防衛に徹しているので機動力は捨て、重装備化している。


 地球連合国は様々な戦場、パイロットの要望に応える為汎用性の高い機体にしようしている。


 火星独立国は資源が余り多く無く、その中で作って来た技術を生かしコストパフォーマンスの良い機体と高い機動力によって既存の兵器に対抗している。


 もちろんこれからも機体開発は進んで行くがこの特徴は変わらないだろう。






 -----


 さて、そんな重装備なエルピスたが、ある意味初心者向けの機体とも言えるだろう。


 高機動過ぎると制御出来ず暴走し、武装が多すぎると混乱するわけで、基本的な性能のエルピスは使い易い部類だろう。

 だが最初は慣れるのに苦労するだろう。




 隣の味方の機体の詳細を見るとマナンだった。通信の欄をタッチする。


「こちら、ラインだ。マナンだよな?」


 ラインの問いかけに向こうからゴソゴソと慌てる音が聞こえる。

 暫くするとやり方が分かったのか繋がる。


「うん、マナンだよ。ライン、会えて良かった……」


 まるで今生の別れからの再会みたいな感動をしているマナンに呆れるライン。


「別に、少し違う所に来ただけだろう……」


 と呆れるラインだったがさっきまで周りには誰も居なかったので少し寂しかった事は秘密だ。


「さて、目標に向かうか」


 ラインに追いつこうと頑張るマナンに見かねて、マナンに手を差し伸べる。


「ほら、急ぐぞ」

「ありがとう、ライン」


 二人はレーダーにあった赤い点に向かう。







 -----


 大きなビル群は抜け、HAWがギリギリ隠れるぐらいの住宅街に入る。

 赤い点の近くに来ると広域レーダーは通常に戻り、範囲は狭くなる。


 目視は出来ないが、目標は直ぐ近くだ。


「目標は戦車。住宅の影に隠れるてる為、視認は出来ない。マナン、挟み撃ちするぞ?」

「分かった」


 マナンはラインと反対方向に向かう。左右から同時攻撃だ。

 因みに左右から攻撃と言っても180度では無い。180度に別れてしまうと誤射の可能性が出てしまうから130度ぐらいだろうか。


 赤い点が直ぐ近くに来る。

 住宅街の角を曲がると戦車が見えたと同時にこちらに気付いたのか、発砲してくる。


 咄嗟に盾で防ぐが衝撃がラインを襲う。


(ぐっ……まだこのぐらいなら余裕はある)


 盾の右側からアサルトライフルを出し、狙って引き金を引く。


 薬莢と轟音を出しながら、銃弾は戦車に命中する。

 戦車は穴だらけになり爆発する。


「ふう……何とか1台」

「ライン、お見事!!」


 マナンの仕事は無かったが、これで1台仕留められたのを見ると滑り出しは順調だ。


 広域レーダーにするともう赤い点は近くには残って居なかった。

 ライン達は少しの安息を得る。


 暫くすると通信が入る。

 また機械声だ。


「第1フェーズクリア。第2フェーズに入ります」


 その声が途絶えると共に広域レーダーに自動的に変わり、海からの赤い点が表示される。


「海から高速で接近する機体……戦闘機にしてはデカイーーHAWか」


 ラインは詳細からHAWと判断する。


「良し、マナン。マナン行くぞ」


 マナンを連れビル群に戻る。







 -----


 ビル群に到着すると敵のHAWはゆっくりと歩行していた。こちらの位置はバレて無いみたいだ。


「良し、今回も挟み撃ちするぞ」


 敵は十字路で辺りを見渡していた。死角からやれる。


 ビルの角から銃口だけを出して狙う。

 狙う先はコクピットだ。

 狙いを定め引き金を引くーー


 ーー直前、視界から敵が消える。


「なっ!? どこ行った!? マナン見えるか?」

「ダメ!! ロストした!!」


 頼みのマナンも敵をロストしていた。悔しさに余り舌打ちをする。


(どういう事だ? レーダーにも映ってない……可笑しいーー)


 と頭を捻っているとマナンの悲鳴が聞こえる。


「うあぁぁぁぁーー!! 来るな来るな!!」


 という声と共に多数の発砲音が聞こえる。


「ーーマナン!?」


 ラインがマナンの元に駆けつけると、マナンの機体の中央からは青い光の筋が出ていた。


「なっ!?」


 ラインはこの光景に開いた口が塞がらない。

 敵はラインを見つけるとマナンを離す。


 そして敵の全容が見える。

 右手には青い光の筋ーーレーザーブレード。機体は青い色。


(ーーっ!? これはセイバー!?)


 そうセイバー、地球連合軍の機体だ。


(敵は火星独立軍じゃなかったのかよ!!)


 とラインは愚痴るが敵は止まらない。


 ラインは引き金を引いてアサルトライフルを撃ちまくるが全く掠りもしない。相手はランダムに左右に動き、近づいて来る。


(何だこの動き!? 全く当たらない……なら接近戦で!!)


 ラインもレーザーブレードを抜いて敵に斬りかかるーー


 ーーが視界から敵が消える。


 ラインが敵が消えた事に驚いているとうるさく鳴るアラートがラインを現実に戻す。

 ラインはアラートの原因を探ると左腕が切断されていた。


 ラインが左腕が動かない事に気付くと同時に左腕が地面に落ち、ドスンと落下音を鳴らす。


 咄嗟に振り向くが敵は目の前。

 抵抗も出来ず、コクピットをやられる。


 画面が暗転し、GAMEOVERの文字が敗北を知らせてくれる。


 コクピットからヨロヨロと出ると目の前にはほとんどの人が待っていた。


(どういう事だ? まさか皆やられたのか?)


 と誰かに聞こうとした時、ガンッというコクピットのドアを蹴って出て来たティナに遮られる。


「もう!! 何なのよアイツ!!」


 ティナは相当ご立腹のようだ。


 ラインは原因を聞いてみる。


「なあ、どうしたんだ?」


 するとティナはキッと鋭い目を送って来る。スゴい不機嫌だ。


 暫くラインに鋭い視線を送るが、ため息を付いて止める。


「ごめんなさいね、ライン。八つ当たりしてしまったわね。……相手が強すぎて一方的だったわ」


 ティナが話すにはティナも何人かでチームを組んだらしいのだが、ビル群で狙撃に会い、為す術無くやられたらしい。


「そうか……俺も惨敗だ」


 ラインも負けた事を知って少し落ち着いたのかティナは戻って行く。


(それにしてもどういう事だ? 俺の相手とティナの相手は違った)


 その事から導き出されるのは相手が地球連合軍に強い部隊だったのでは? としか予想出来ない。


 答えを待って座っていると最後の一人が出てくる。


 グレンだ。


 こちらに顔を伏せてやってくる。

 相当ショックだったのだろうか。


 ラインの目の前まで来ると、顔を上げ笑顔になる。


「いやー、相手強いな。一太刀しか入れられ無かったわ」


 と悔しさ半分の笑顔になる。


 は? あの敵に一太刀入れたのか? 


 と皆が信じられない顔になった時、エマがやって来る。


「皆さん、お疲れさまでした。これで試験は終わりです」


 とエマは笑顔だが、生徒達からは不満が上がる。


 あの敵は何だったのか? と。


 それに笑顔で答えるエマ。


「あれは地球連合軍、セイバー小隊です」


 セイバー小隊!? 


 と驚愕するのは仕方ない。

 最初のセイバーの小隊。

 そして最強の小隊だったからだ。


 皆、負けた事に納得し始める。


(何で最強の奴らとやらせるんだよ)


 と内心ツッコミをいれたラインは呆れ顔だ。





 -----


 その後、解散を言い渡されたラインは足取りが軽い。


 明日は一日中休みなのだ!!


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