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4-9 魔力量測定器




9/29改稿


 

 -エルス国 アカデミー内医務室-


 ラインの目の前にはまだ目覚めてないのかクラスメート達がすやすやと穏やかに寝ている。


 あの3人組も寝ている姿からはいつものウザさは想像出来ない。


 黙ってればいいのに。




 ふと隣のベッドを見るとマナンが寝ていた。ヨダレまで出てる情けない姿だ。


「ムニャムニャ……まだ食べるの? ライン……」


 と寝言を言ってる始末だ。


 夢の中の俺はどんな大食漢なんだよと心の中で突っ込みを入れておく。


 ふと思い当たり、ティナを探すがどこにも居ない。

 そういえば、グレンも居ない。


 ーーっ!? まさか!?


 ラインはあの時のグレンと女性が濃厚な密会をしていた校舎裏を思い出してしまう。


 頭を振って頭から煩悩を振り払う。


 エマ先生に聞いてみるか。


「エマ先生、ティナとグレンはどうしたんですか?」


 するとエマ先生は腕を組んで悩む。


「うーん、多分此処に来てないという事はまだ走ってるじゃないのかな?」

「……はぁ!?」


 間抜け声が出てしまうがエマ先生はニコニコしていて気にして無いようだ。


 先生に対してこんな返事してしまったが大丈夫みたいだ。






 窓からグラウンドを見るとグレンとティナが抜いたり、抜かれたりと競い合っているのが見える。

 お互いに先を譲らない。


 あの2人がまだ走っている事に驚きだ。


 ライン達が走り終わるというか倒れ始めたのは走り始めてから1時間後。

 でラインが目覚めたのは倒れてから4時間後。

 計5時間ずっと走っているのだ。


 途中水分と塩分は補給しているものの、2人の体力は化け物だろうか。もちろんグダグダ走っていれば5時間走っていても大丈夫だろうが、ゴリがそんなこと許すはずが無い。


 2人はマラソンとは思えない速度で走り抜けていく。


 流石のゴリも2人が倒れるのを諦めたのか、終わりにする。


 さっきエマ先生に聞いたのだが、このテスト、全員ぶっ倒れるまでやる予定だったらしい。


 じゃあ早めにぶっ倒れて正解だったのか。


 これは毎年行われる儀式みたいな物らしい。


 そして今日は体力テストだけで終了だ。元々ぶっ倒すつもりだったのか。


 ぶっ倒れているのにテスト再開はキツいからな。







 -----


 翌日、2つめのテストーー魔力量の測定。


 一体何をやるのだろうか。


 昨日のマラソンでまだ疲れのとれてない身体を少しでも休ませる為に、皆机に突っ伏している。


 そんな頃にエマ先生がやって来る。


 手には何も持っていない。

 その様子に気付いた生徒が質問する。


「すみません、今日は魔力量の測定ですよね?」

「ええ、そうよ」

「あの魔力量測定器は?」


 そう魔力量は魔力量測定器で測るのが常識だーーという概念がある。


 しかしエマ先生はニコニコと笑顔だ。


「そうね、確かに魔力量測定器が必要と思うよね」


 この言葉に皆頷く。

 だが、エマの答えは逆だった。


「あれはね、嘘なの」

「「「えっ!?」」」


 嘘!? どの話も魔力量測定器が出てくるのに!?


 ラインのどの話とはマンガやドラマに出てくる魔法師が出てくる話の事である。

 色々な話に魔法師は出てくるほど魔法師の存在は馴染み深い。

 魔法師が出てくる話の中で、魔法師が魔力量測定するのに使うのが魔力量測定器なのであった。

 既に常識と言われてるぐらい、広く浸透していたのであった。


 驚いて開いた口が塞がらない生徒達にエマ先生は説明を始める。


「これから私がどうやって測定するかというと手を私に出すだけです」


 ふとこの言葉にラインはエマ先生に躾られている想像をしてしまった。


 エマ先生の前にお座りするライン。


 ーーライン、お手。

 ーーワン!


 ーー馬鹿らしい!!


 ラインは自分でボケて、自分で突っ込むという馬鹿らしい邪念を頭を思いっきり横に振って振り払う。


 いきなり変な行動をしたラインをマナンは心配する。


「ライン、大丈夫?」


 本気で心配するマナンの目線が痛い。


「ああ、大丈夫だ。少し眠かっただけだ」


 と誤魔化し、事なきを得る。




 エマ先生の説明は続く。


「人間には誰しも魔力が存在します。これは精神力と言っても過言では有りません。人間は精神力によって自我を保ち、理性を保てます」


 魔力=精神力なので基本的には誰しも魔法は使えるという事なのだが、それ以前魔法には謎が多い。


 科学技術がこれだけ発展したが魔法の理論は以前、不確かだ。


 また魔法が公になってからまだ短い。やっと軍事利用が確立してきた所なのだ。


 そして魔力が高いほど幻術などの精神攻撃に対しての対抗力が強いと言われている。(必ずしもそうとは限らない)


「そして魔力が多いほど対精神攻撃が強いと言われているので、私が魔力を流し、その対抗力を測ります」


 精神攻撃は魔力を相手に流し込み、狂わせるという仕組みだ。


 この仕組みと同じように魔力を流すのだ。もちろん幻術はかけない。


「では、1人ずつ来て下さい」


 エマの呼びかけに生徒達は半信半疑で測定していく。測定を受けた生徒達はなぜか顔が赤い。


 そしてラインの番が来る。


 エマ先生の前に立ち、手を差し出す。この時ふと、あの邪念が脳内を過ぎりラインは苦笑する。


 ラインの手をそっと手のひらに乗せるエマ先生の手は雪のように白く、きめ細かく、柔らかかった。


 なるほど。これは心地良いな。


 とラインは男子生徒達が顔を赤らめて席に戻っていくのに納得する。


「では目をつぶって下さい」


 というエマ先生の声と共に目を閉じる。


 すると身体の中に何かが入ってくるような感じがする。


 気持ち悪いような、心地良いようなむず痒い感じに襲われる。

 まるで落ち着かない子供のようだ。


 これがしばらく続くと、ピタッと止まる。


 目をゆっくり開けるとエマ先生は手を離し、メモをしていく。


 メモを取り終わると


「はい、お疲れ様でした」


 とラインを労う。


 ラインはありがとうございますと言って席に戻る。




 測定結果は全て終わってから発表されるらしい。この測定した魔力量によって魔法師になれるか決まると言っても過言では無い。


 もちろん一年の間は全員魔法について学ぶが、二年以降は魔法師以外の道を進むしか無いだろう。






 測定が終わった生徒達は測定が全員終わるまで暇である。


 ラインも暇を持て余していた。

 机に突っ伏して測定をぼーっと眺めていた。


 するとマナンが戻って来る。何か気分が悪そうだ。


「マナン、大丈夫か?」


 ラインが心配するとマナンは弱々しく答える。


「う、うん何とか。この身体中に得体の知れない物が駆け巡る感覚は気持ち悪いね」


 ーー身体中?


 ラインはお腹辺りと胸らへんがムカムカするような感覚でマナンとは違った。


(まあ、個人差は有るしな)


 しかし、席に着いたマナンの顔は以前青ざめたままだった。


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