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4-8 誤解?



9/29 改稿

 

 -校舎裏-


 校舎内を探し回ったラインはもう諦めの境地だ。


(ったく、寮に戻ってんのか、アイツは……)


 ラインは何度も溜め息を付きながら、念のために確認しとくかという感じで、校舎裏を探す。


 この角を曲がれば校舎裏ーーという所まで行くと、何か音が聞こえる。


 ピチャピチャ……クチャピチャ


 という水の音が辺りに響く。


(ん? 何の音だ?)


 と疑問に思いながらラインは角から顔を出す。


 ーーすると目の前にはグレンと女性が扇状的なキスをしていた。


 最初は啄むようなキスを繰り返し、やがて、ゆっくりと舌を入れた。半開きになった女性の唇の隙間から、女性の口内を蹂躙する。


 正に大人の男女が醸し出す熱い雰囲気にラインは目的を忘れて、唾を飲み込み、見入ってしまう。


 続けてグレンは女性の首筋を攻めて行くーー


 ーーが女性の首の先にいるラインを見つけてしまう。


 グレンは女性の首筋から口を離して、女性の正面に戻る。


 女性は物足りないのか、目でグレンに求めるがグレンは苦笑する。


「大人のお勉強かい? ライン」


 その言葉に女性とラインが身体を震わすのは同時だった。


(なっ!? バレていたのか!?)


 ラインは慌てて隠れるが無駄である。


 その一方、女性はとろけてる顔を引き締め、少し乱れている服を直し、そさくさと立ち去ってしまう。


 その背中をヒラヒラと手を振って見送ったグレンは角に向かい、ラインを捕まえる。


「どうだったかい、大人のお勉強は」


 グレンはニヤニヤとラインを問い詰める。


 ラインはさっきの情景を思い出してしまい、赤面しながら反論する。


「お、おいグレン、ここではああいう事は禁止だぞ」


 そう言うラインだが、声は震え、説得力は無い。もちろんラインも男なのでああいう知識や映像は知っているが、自分の目で見るのは初めてだ。


 声は 上擦り(うわずり)、心臓はバクバクと早く鼓動していた。


 だがさも当然のように、グレンはラインに話す。


「全くお前が邪魔しなければ楽しめたのに……まあまた機会あるし」


 またグレンはラインを見てにやつく。


 ラインはムッとするが、不満を抑え、本題に入る。


「別に覗きに来たんじゃない、グレンにお願いがあって来たんだ」

「お願いか、例の件だろ?」

「ああ、お前の人脈を使って誤解を解いて欲しいーー」

「分かった」

「ーーえ!?」


 余りにも即答されたのでラインは驚いてしまう。


 だがグレンはふざけた様子も無く、真面目な顔だ。


「あの件はやりすぎたかもな……」

「……やりすぎ……た?」


 グレンを睨むラインの目は次第に鋭くなっていく。

 だがグレンは平然としている。


「部屋でお前らがイチャイチャしているのを誰かに話したら広がっちまって……まさかこんなになるとはなあ」


 グレンは『てへぺろ』として来るがラインの怒りは収まらない。


「お前かぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 その後ラインとグレンの鬼ごっこが一時間ほど続いたらしい……







 -----


 鬼ごっこの翌日、疲れきって机に突っ伏しているラインにティナが近づく。


 控え目にラインの肩をツンツンとする。


「ん?」


 ラインは上体を起こさず、首だけ動かしティナを見る。


 ティナは手を前でせわしなく動かし、顔は少し上気していた。


「あ、あの!! この前は……誤解してごめんなさい!!」


 ぺこりと素直に頭を下げるティナにラインは少し感心する。


(へえ、ティナは素直に謝れるのか。謝れない方と思っていたが……感心するなあ)


 この心の中がラインの表情に出ていたのか、ティナはラインの顔を見て、安堵する。


「良かった~。私はラインと友達でいたいから良かったよ」


 安心したように、はにかむティナ。


 だがそれを遮る声がーー


「それは誤解じゃないよ」


 2人が驚いて振り返るとそこにはマナンが居た。


 混乱している2人にマナンは追撃をかける。


「僕とラインは付き合ってるよね?」


 真面目な顔でラインの腕にひっついて来るマナンにラインは困惑を隠せない。


「え? ま、マナン? 冗談だよな? 俺は男には興味無いぞ?」


 冷や汗がドハドバでるラインを見て、突然マナンは爆笑し始めた。


「アッハハハハハハ!! 何言ってるの、ライン。冗談に決まってるよ」


 マナンはハアハアと上がった息を抑えながら、笑いすぎて出た涙を手で拭き取る。


「だよなあ~良かったぜ。これで俺達は晴れて友達だ!!」

「そうね、仲のいい友達ね」


 2人が『友達』と言ったのを聞いてマナンも応える。


「うん、僕とラインは友達だね」


 そう言ったマナンの目が少し寂しげだった事は誰も気づかなかった。







 -----


 HRが始まるとエマ先生が入って来る。


 教壇に立つと、話し始める。


「おはようございます」

「「「おはようございます」」」


 皆も挨拶を返す。

 元気な声を聞いて満足したのかエマは本題に入る。


「では、皆さんにお知らせが有ります。今日から3日間、掛けて能力テストをします」


 この言葉にクラスがざわめく。

 それも当然、やることは事前に教えられてないのだ。


 エマは話しを続ける。


「テスト内容は6つ。

 1つ目は体力テスト。

 2つ目、魔力量の計測。

 3つ目、格闘術。

 4つ目、武芸。

 5つ目、射撃。

 6つ目、HAWの操縦。

 以上です」


 どれもこれも習った事、触った事の無い物ばかりだ。誰もが困惑していた。

 当然、質問も出る。


「質問良いですか?」

「はい、どうぞ」


 手を上げた生徒は立ち上がる。


「どれもこれも習った事や触った事無いのですが……」


 その発言に皆頷く。もちろんラインもだ。


 エマもさもその質問は当たり前かのように頷く。


「その通りです。このテストは能力テストというより、現状の能力の有無を調べています。何人か能力者も居ますし」


 エマは何人かに目線を向ける。その視線はグレンにも向けられていた。


 ラインはそれに気付く。


(まさか、グレンも能力者だったとは……だから避けられたのか)


 部屋で繰り出したパンチを軽々と避けるグレン。あれは常人では有り得ない。


(俺の知らない間に何があったんだグレン……)


 そう思ったラインの目線の先には不敵な笑みを浮かべるグレンの姿が有った。






 -----


 ライン達のクラスは100人程度。

 これだけの人数が多くの試験を行うのだ。3日間掛かるのも仕方ないだろう。


 一日目、体力テストだ。


 あのゴリラーーゴリが教官だ。


「ほれほれ、サボるじゃないぞ~。俺は人間の限界を知っているから、怠けたら分かるぞ?」


 ガッハハハと笑うゴリ。


(走っているこちらの身にもなれって言うんだよ……)


 とラインは最初、内心愚痴をこぼすが、次第に頭も身体も朦朧としてくる。


 そして愚痴をこぼす余力すら奪われていく。


 目の前が地震が起きているように揺れ、足はフラフラと気力だけで動かす。


 そして気づいたら地面に倒れていた。


(あれ? ……何で地面に寝てんだ?)


 疑問に思ったのが最後、意識を失ってしまう。






 -----


「う、うん?」


 目の前に白い天井、周りにはカーテン。


 ラインはベッドに寝かされていた。


 ラインが起きたのに気付いたのか、カーテンが開く。


「ライン君だよね? 気分はどう?」


 そこにはエマ先生が居た。

 そして同時にエマ先生が治療魔法を使えるのを思い出す。


(ああ、そうか、俺は倒れてエマ先生に……)


 素直に先生にありがとうございますと頭を下げる。


「ふふ、治すのが私の仕事だしね」


 エマ先生はお礼を言われ、少し嬉しいのか笑顔になる。


 思考力が戻って来たラインはテストがどうなったのか気になる。


「そういえばエマ先生、テストはどうなりましたか?」

「気になる? じゃあカーテンを開けてみたら?」


 そう言われ、ラインはカーテンを開ける。


 そしてラインの目の前に現れたのは多くのクラスメイト達が寝ている光景だった。


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