ア ル タ イ ル
遠く離れ離れになったふたり。
いつまでもわたしはきみのことを好きで、
いつまでもきみはあの子のことを好きで、
いつまでもわたしたちふたりはともだちで。
夢と現実の狭間で、想う。
わたしを、好きになってほしいと。
きみからの着信に答える
澄み切った冬の夜風が
不規則に窓を叩く
きみはなにも言わぬまま
わたしもなにも言わぬまま
電話越しの沈黙だけが
闇のなかで遠いふたりを繋いでいる
静かにわたしは目を閉じて
夢と 現実の狭間で
きみに会いにゆく
翼を広げて 遠く 遠く
きみがひとりで
涙を拭っている場所まで
まだ少しばかり残った
現実の意識の中で
ほんとうにこのまま
こころだけでもきみのもとへ
行けたらいいのにと
願った
そしてきみは
かたちのない電波越しに
そっと 言った
愛しているよ と
それはきっと夢のほうだった
泣いていたきみの
こころの暗闇の中で
唯一輝いていたのは
わたしじゃなかったから