表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界チートブレイカー  作者: 九事キチ
プロローグ
2/36

プロローグ2

『…鳥さん』


 うるせえ。


『千鳥さん』


 うるせえ黙れ。


『おかしいですねぇ。聞こえているはずなんですが……。あっ! もしかして』


 頼むから寝かせてくれ……。


『ニトリンさんニトリンさん』


 ……。


『ニートリーンさんニートリーンさん』


「うるせえぇぇぇ! 黙れ!」


 あまりのしつこさに堪忍袋の緒が切れたあたしは、その声に怒りをぶつける。


『ああ、よかった。やっと応えてくれた』


 なんだかうれしそうだが、あたしはこの声のせいで最近はろくに寝れてない。

 今ではこの声を聞くだけでイライラするようになった。


 近くにいるんならぶん殴ってやる!


 そう思ってあたりを見回すが、何も無い。

 真っ暗だ。


 教室じゃない。どこだここは?


 というより、体がここにあるという感じがしない。

 なんというか、意識だけがここにあるような……そんな感じだ。

 

 もしかして死んだか?


 教室で寝ながら死ぬなんてダセェ。

 そんなことを考えていると、ふたたびあの声が聞こえてきた。


『こんにちは、神鳥千鳥さん。わたしの名前はフレンティーユ。美しい自然とそれなりの平和な世界『フレンティーユ』の神様です』

「はぁ?」


 美しい自然とそれなりの平和な世界フレンティーユの神様? アフリカにある国の新興宗教かなにかか?

 いや、アフリカは自然があるけどそんなに平和じゃねーだろ。


 あたしは自分で自分につっこみを入れた。

 もう混乱してわけわからん。

 でも、神様ってことはやっぱりあたし死んだのか。

 

 ここで命乞いでもすれば助かるかもしれない。

 しかし、命乞いなんてみっともねー真似すんのはあたしのプライドが許さん。

 ここは潔く覚悟を決めるぜ。


「天国でも地獄でも好きに連れてけ! 死人に口なしだ!」


 喧嘩ばっかりしてたし、やっぱり地獄行きかなぁ……。

 ま、地獄の鬼と喧嘩っても楽しそうだしいいか。


『えっ? 千鳥さんは死んでないですよ』


 神様はあたしの死をきっぱりと否定した。


 は? 死んでない? じゃあなんだよこの状況。ますますわけわからん。


『実は千鳥さんにお願いあってこうして話しかけています』

「お願い?」


 神様があたしに?

 毎年、初詣に行けとか言うんじゃないだろうな。嫌だぞめんどくせぇ。


「わたしの世界で悪さをするチート転生者さんを倒してほしいんです」

「……」


 何言ってんだこいつ? チート? テンセイ? 意味わからん。

 チートテンセイっていう不良グループと喧嘩しろってことか? 

 喧嘩すると、かーちゃんにめちゃくちゃ怒られるんだよなぁ……。

 

 ……うん、断ろう。めんどいし。


「嫌だ。めんどい。かーちゃん怖い」

『お願いします! お礼にいいもの差し上げますから……』


 神様がくれるいいものってなんだ? 説教か? ふざけんな。あっ、説教は坊主か。


『1人倒すごとに10万円あげます』

「マジで! やるやる! 金ほしーし」


 金くれんなら話は別だ。喜んでやってやるぜ!


 小遣いに困っていたあたしはかーちゃんに殴られてもやる価値があると判断し、快諾。

 すでにやる気十分だ。


『本当ですか! ありがとうございます! ではさっそく行きますね』

「おう! ん? なんだ? どこかに飛んで行くような感覚が……」



 ……



 目を開けると一面の青空があたしの視界に飛び込む。

 太陽がまぶしい……。


「千鳥さん」


 誰かがあたしの名前を呼んだ。

 この声は……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ