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オリバーと風の精霊  作者: 問真
第二章 青いタイル
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背負えぬ重荷6

『いのちが、助かっただけで、もうけものだわよ!』


女医…メアリー・ホーキンスの言葉に、全員が同意した。


数日間の高熱で、オリヴィエはおそろしくやせこけたけれども。


『ダイジョーブ。ジカンカカルカモダケドゲンキニナール!』


リディアードも太鼓判を押した。


皮膚もカサカサで体もろくに動かないけれども。


『姫様の美しいお顔に痕が残らなくてようございました。』


爺はオリヴィエのこけた頬をなでた。


オリヴィエはにっこり笑った。


『あ…』


『じーじとお呼びくださいませ!』


『じー…じ。』


『あっ抜け駆けを…!』


エディンはオリヴィエの目をのぞきこんだ。


『マーマ。マーマってよんで。』


オリヴィエはにこにこ笑った。


『マーマ‼』


ミネもそれに続く。


『ミネねえさまだ。』


『みねねー』


『上出来だ!』


シッキムは、オリバーの抱き上げた。


『パーパ‼』


『オリヴィエ、大好きだよ。』


シッキムは、心の中で、親友に深く深く謝罪した。


それから数ヵ月の間に、オリヴィエはたくさんの言葉を、もう一度覚え直した。


『オリヴィエ。夢を見ました。』


エディンが熱心に教えた為に、オリヴィエの話す言葉は、すっかりイルガントの姫様のアクセントになった。


『どんな?』


『おうちの前に。二人の人がいるの。』


かつて、ミラのアクセントで、上流階級の紳士が話すように流暢に話した少年を懐かしくも思うけど


『金色の髪の人と、赤い髪の人。』


そられは、親友夫妻の姿だろうか。


『赤い髪の人が、言ったの。オリヴィエは立派なレディーになれるって。』


燃えるように赤い髪は、リザの生家ヒル家の特徴だ。


『そうだね、オリヴィエは、立派なレディーになれるよ。』


シッキムは、オリヴィエの頭をなでた。


『ミネねーさまが、腹筋が100回できるようになるのが、レディーへの第一歩だって言っていたの!』


『うわぁ…。』


オリヴィエは、真っ白いワンピースをひらめかせて、ぴょんっとシッキムから離れると、

綺麗なカーテンシーをしてみせた。


『ダンス!ねぇパーパ‼ダンス教えて!』


シッキムは笑うと、王子さまみたいにうやうやしくオリヴィエの手をとった。


二人はけらけらと笑いながら、花の咲き乱れる庭でくるくると踊った。





すくすくと中年に育ったオリヴィエちゃんも出てくる別タイトル、『お嬢様は…』もよろしければ、そちらもご覧くださいませ。

そこそこ幸せそうにしています。


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