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オリバーと風の精霊  作者: 問真
第二章 青いタイル
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第28話

『では、あとはお若い方々で』


じいやたちがそう言い残し、はけていくと、

オリヴィエはシッキムの袖をひっぱった。


シッキムは、オリヴィエがミネに早々になついたのをみて、

やや複雑な気持ちになりぼんやりしていた。


オリヴィエはもう一度シッキムの袖をひっぱった。


『ぱーぱ!』


シッキムははっと我に返りオリヴィエをみた。


『オリヴィエ、いいたいことが、あるの。』


オリヴィエ…、オリバーは、久々に悪いかおをした。


『よ、よしきた。』


シッキムはぱちんと指を弾いた。


その瞬間に、外からせわしなく聞こえていた鳥のさえずりが消えた。


『あ、あれ…?』


エディンは回りをキョロキョロ見回し、

ミネは弾かれたように顔をあげ、

やはり警戒したように辺りを見回した。


『あのね、みねねーさま。』


オリヴィエは、にこりと笑った。


『鍛えてもらうかわりに、オリヴィエはねーさまをまにんげんにしてあげようと、思うの』


『『えっ』』


シッキムとエディンはオリヴィエをみた。


『真人間?』


ミネは不思議そうに首を傾げた。


『ここのおうちでは、ギャンブルもお酒もタバコもドラッグも刃物も禁止なの。』


『『えっ‼』』


シッキムとエディンは、ミネをみた。


『あと、壁とか外の木とか屋根と天井の間とかに居るお友だちにも帰ってもらってほしいの。』


『『えー‼』』


シッキムとエディンは天井をみた。


『あはは!』


ミネは笑った。


『さすが、パンジェンシー家の長男だ。

お祖父様仕込みかな?』


『『!!』』


シッキムはとっさにオリヴィエを抱き上げて

エディンは二人の前におどりでた。


『そんな人は知らないの。』


オリヴィエは、にっこり微笑んだ。


『ねーさまは、あまり無理しない方がいいの。

もう、無理はきかないの。』


ミネは首を傾げた。


『お肌のくすみは隠せないの』


『!!』


ちなみにオリヴィエのほっぺたはもちもちぴかぴかで薔薇色だ。


あまり表情にかわりはなかったが

ミネのこぶしがぶるりと震えた。


『ひっ』


前に居たはずのエディンがシッキムとオリバーの後ろに隠れた。


『目も濁っているの』


ちなみにオリヴィエの瞳はキラキラしていた。


『くっ…』


ミネの眉間にしわがよった。


『けあ…の。』


がくん。


オリヴィエは眠った。


『!?』


ミネはオリヴィエを抱いて背中をポンポンしているシッキムに鋭い眼差しを向けた。


『…申し訳ありませんでした。眠いとぐずるんです。』


シッキムは心底すまなそうに眉尻をさげた。


『もうお昼寝の時間、ずいぶん過ぎちゃったもんな。』


エディンも頷いた。


『…え?』


『じゃ、オリヴィエ寝かしてくるから、あとはお若いお二人で…』


そう言い残し、シッキムが退出した瞬間に


世界の音が戻った。


ミネは、手を三回打ち合わせてから無言でそとにでて、

軍服のあちらこちらに仕込んで持ち込んだ大量の暗器を持たせて、密偵をかえした。


ミネがため息をこらえて見上げた空は青かった。
















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