表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オリバーと風の精霊  作者: 問真
第二章 青いタイル
25/40

第25話 風の館10

後の辺境の守護者、オリバーにとって、

風の館で過ごした二年間は、生涯の基礎となる、幸福の時間であった。


ミラを出てからのオリバーは

シッキムの守りのもと、健やかに成長したが、

大人になったオリバーがその子供時代を思い出すときに、

イルガントでの思い出は、一際暖かく、オリバーの心を照らした。


オリバーがイルガントを発つ一つのきっかけとなったのは

ミネルバ・ブラッドストームという女性であった。

同盟の証としてエドワードに嫁いだ隣国の高貴な家柄の姫で、特技は早撃ち、趣味は航海、ついたあだ名は海賊姫であった。


とはいえ、初見でミネルバを海賊姫と見抜くものはそうそういなかった。


恵まれた骨格に鍛え上げられた筋肉、暖かい海の国特有の、艶のある顔立ち。


『ジゴロだ‼』


姫と対面した瞬間、姫の伴侶となることが確定していたキラキラ王子は、そう叫んだ。


『はじめまして。』


母国ジルガンサーの軍服に身を包んだミネルバは

笑顔でもなく、かといって不機嫌そうでもなく、

そういってカーテンシーをした。


『ジルガンサーのミネルバでございます。』


吹きわたる初夏の風。


はためく真っ白のリネン。


マシュマロのようなほっぺたの幼子とその保護者、

そしてキラキラしいみてくれの王子。

ちなみに三人は揃いのエプロンをつけていた。


そして、姫?を連れてきた見守り爺隊の面々。


その誰よりも、ミネルバは男前だったから。


『はじめまして。俺はえど…わーど。その、むかえにいかなくて…晩餐会もでなくて…ごめんなさい。』


エディンはしょんぼりと頭を下げた。

その動作に王子らしいところはみじんも残っていなかった。


夏至の夜の晩餐会以来

エディンの足はことさら宮殿から遠のいたのだ。


最近ではない宮殿への馬車に乗り込もうとするだけで

気分が悪くなり立ち上がれなくなるというのだから

始末が悪かった。


『お気になさらず。わたしこそ、急に押しかけて申し訳なかった。』


ミネルバは、やや気の毒そうにエディンをみて、そして視線をシッキムとオリヴィエに移した。


『ええと…わたくしは…シッキム…。遠い異国の出身でございまして、エドワード殿下のご好意で、娘ともども下宿させていただいています。』


シッキムは、普段よりややたどたどしくそういうと、深々と一礼をした。


オリヴィエもそんなシッキムの様子をじっとみてから、

おなじようにペコッとおじぎをした。


ようやくお下げに結べるようになった柔らかなクリーム色のくせ毛がぴょこっとはねるさまをみて、

見守り爺隊の面々は思わず表情を緩めた。


『あの、もしよろしければ、おもてなし、用意しました。皆さま、おうちの中に。』


オリヴィエはにっこりと笑うとすっと手をあげて扉をしめした。
































評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ