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【短編集】5分後にドキリ 奇妙で不思議な話集めました  作者: 響ぴあの


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手紙の神様

 手紙の神様がいるらしい。その名も手神様。これは都市伝説の本に書いてあったのだが、神社前の黒いポストに呪いたい相手と自分の名前と住所を書くと、その相手に不幸の手紙が届き、本当に不幸になるらしい。手神様がいる神社は、私が住んでいる町の隣町だということだ。私は、いじめてくる嫌いな同級生を呪いたい一心だった。手神様に呪いをかけてもらい、その人を不幸にしたいと思い、お願いをしに行くことにした。


 私は電車を乗り継いで隣町にある手神神社に行ってみた。すると、神社の入り口に初めて見る珍しい黒いポストがあった。やっぱり伝説は本当だったのだ。私は相手の名前と住所を書いた手紙をポストに入れた。あの人に不幸が起こりますように、と願いながら。きっと神様が不幸を届けてくれると信じていた。ついでに、神社にも手を合わせに行ったのだが、人気もなく不気味な雰囲気が漂っていた。気温が少し低い感じがする。不気味な風が頬を撫でた。小さな神社だが、歴史を感じさせる祠があり、ごみ1つ落ちていないのだが、誰が管理しているのかも不明だった。


 その次の日、クラスメイトの間では、手紙の話で持ち切りだった。私が呪いたい相手数人が不気味な手紙が届いて怖いという話をしていた。心の中で、「ざまあ」と思った。


 翌日、いじめっこたちがちっとも恐れてはいない様子で話し始めた。


「5人に不幸の手紙を書かないと呪うって書いてあったの」


「今時手紙ってありえないよね」


「不幸の手紙? ひと昔前の話じゃないの?」


「無視しようよ」


 手紙を馬鹿にし始めた。怖がる様子も感じられない。そのうちひどい目にあえばいいのだ。そう思っていた。


 帰宅すると私宛に手紙が届いていた。幸福の手紙と書かれていた。


 内容は――この手紙を受け取った人は1週間以内に5人に同じ内容の手紙を書かないと呪われるが、書けば幸せになれます。


 幸せの手紙という名の不幸の手紙だった。

 最近、気になっていたことがある。夜中、天井で何かが動いているような気がした。目を凝らすと、薄暗いが、手が動いていたのだ。手だけが空中を動いている。もしかして、手神様って手の神様? 


 私は手神様についてネットで、調べてみることにした。

 すると――手神様は手だけの神様で元々は迷子郵便になった手紙の魂が手の形の神様になったということだ。


 そして、メールが普及し、手紙を書かなくなった今では手紙を絶滅させないように手紙を書かせる神様になったらしい。そうか、私は呪いをかけようと思っていたけれど、手紙を書くきっかけを作らせられたのだ。手紙様の策略なのかもしれない。幸福の手紙も不幸の手紙も、最初にポストに入れたものも手紙だ。でも、人はこういったことでもなければ、なかなかまめに手紙を書くこともないだろう。


 手神様を目の前から消すには、手紙を毎日のように書くしかないらしい。そうすれば、いつのまにか消えてくれるそうだ。それ以来、毎日私は呪いの手紙を憎んでいる相手に書くことにした。そして、それを見た手神様はいつのまにか消えるだろう。でも、手だけの生き物を見ながら呪いの手紙を書いている私は呪われているのかもしれない。――呪われていることに気づかないだけで。


 呪った相手が手紙を書かなければ不幸になるだろうと思ったのだが、呪った相手は私宛に不幸の手紙を書いてきたのだ。1週間以内に5人に書かなければ呪われるという文面だった。私は同級生の住所も名簿がないためわからないし、5人に手紙を書くことは難しい。だから、不幸になるということだろうか? 天井を見ると手がこちらを見ている。監視をされているようだった。


 自分で蒔いた種だが、呪うときは慎重に呪わなければないと気づいたのだが、時すでに遅しなのかもしれない。拡散する種が呪いのキモチならば、私たちは呪いそのものを撲滅させる手段を探さねばならない。


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