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豚面転生~殺されかけた所から始まる異世界冒険譚~  作者: 剣原 龍介
第一章・冒険譚の始まり

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第十一話・冒険者ギルド②

「あっ、そうそう。試験を始める前に一応名乗っとくわ。冒険者になったら同業になるわけだしね。私の名前はフランよ。フラン・ドール」


 フランが名乗った事で、俺もまだ相手にきちんと名乗っていなかった事に気付いた。

 俺は慌てて頭を下げる。


「あぁ、すみません。俺もまだ名乗っていませんでしたね。俺は、アルト・アイゼンと言います。よろしくお願いします」

「ふ~ん。新入りにしては礼儀が成ってるじゃない。このまま挨拶もろくにできない様なヤツだったら、どうしてやろうかと思ってたわ」


 どうやら一礼して名乗った俺の態度は、フランの基準では及第点は取れたらしい。

 俺は、どんな試験をするのか聞いてみた。

 標的になる藁人形が準備されている時点でどんな内容なのかは予測がつくが、思い込みで行動して違っていたら目も当てられない。


「それで、ドールさん、確認なんですが、試験というのは何をやるんですか?」

「フランで良いわよ」


 俺の問い掛けに、フランは頷いて答える。


「そうね、確認は重要よね。……冒険者にとって魔法が使える、魔法使いであるって言う事は、攻撃魔法が使えるっていう意味とほぼ同義よ。もちろん、攻撃魔法が使えるだけで一流の冒険者になれるわけではないわ。でも、魔物モンスターとの戦いも多い冒険者稼業では、魔物と戦う上で戦闘の切り札になりえる魔法はそれだけ重要なものなのよ」


 フランは、標的になる藁人形を指差して続ける。


「だから、この試験でも、あなたの使う攻撃魔法の実力を見せてもらうわ。どんな魔法を使っても良いから、あの標的に攻撃魔法を使ってごらんなさい。どんな攻撃魔法をどんなふうに使うか、その出来で評価してあげる」


 なるほど、やはりそうなるか。

 まぁ、標的がある以上はそうなるだろうと思っていた。


「わかりました。それでは、やってみますね」


 俺は、どんな攻撃魔法を使うのかを考える。

 魔法には属性があって、火、水、土、風、光、闇の六属性に分けられる。

 俺が全属性の魔法を使えるのは、特徴『魔法の才能』があるおかげだろう。

 今回の試験で必要とされているのは攻撃魔法だ。

 と言っても、俺が使える物は初級の魔法にすぎない。

 光属性や闇属性の攻撃魔法は使えない。

 単純に、俺の知る初級の魔法の中には使える光属性や闇属性の攻撃魔法が無いのだ。

 他にも、水属性の攻撃魔法には実際の水を必要とするのでここでは使えない。

 風属性の魔法なら基本的にそういう問題はない。

 しかし、それにはまた別の問題もあって、固体や液体を扱う魔法より気体を扱う魔法の方が難易度が高いのだ。

 地面がむき出しである事を考えるならば、一番簡単な魔法は土属性の攻撃魔法という事になるだろう。

 だが、今回は魔法の実力を確認するための試験だ。

 ならば、難易度の高い魔法に挑戦した方が良いのではないだろうか。

 少し考えてから、俺は初球の魔法の中でも最も難しい火弾ファイアショットの魔法を選ぶ。

 水や土、風といった物体を扱う他の魔法と違い、熱量を操る火属性魔法は魔法としての難易度が高いのだ。

 火弾を使うと決めた俺は、標的になる藁人形に向けて手をかざした。

 別に必ずしもこんな風に手をかざす必要はない。

 しかし、こうして手をかざす事で標的や魔法の軌道を認識しやすくなり、狙いをつけるのが容易になって魔法の命中率や発動効率が向上するのだ。

 俺は、火弾の魔法の構成をイメージし、魔力を放出して世界に干渉する。

 かざした手の先に炎の塊が出現し、次の瞬間標的になる藁人形へと向けて火の玉が飛んでいく。

 火弾は、狙い過たずに標的になる藁人形に命中する。

 魔法を受けた藁人形は一瞬で炎に包まれ、やがて燃え尽きる。

 それを見届けた俺は、試験官であるフランの方へと向き直ろうとし……。


「何やってんのよ、アンタは!馬鹿じゃないの?何考えてるのよ!」


 フランが怒りの形相を浮かべて俺の頭をひっぱたく。


「え?」


 突然の事に、俺はポカンと間抜けな顔をしてフランを見返した。


「アンタねぇ!何で魔法を使う時に魔法名を唱えないのよ?そんなもの、常識でしょうが!何かあったらどうするつもりよ!」


 魔法名を唱える?

 無言で魔法を使った事が悪かったのだろうか?

 訳が分からないと困惑する俺の様子に、怒って俺の頭をひっぱたいたフランの顔にも困惑が浮かぶ。


「いい?無言で魔法を使うなんて行為は、殺人鬼や暗殺者みたいに人知れずに魔法を使いたい様なヤツがやる事よ?」


 フランは呆れた様にため息を吐く。


「まったく……、アンタの師匠は、アンタに何を教えてきたのよ?こんな事、常識でしょうが!」


 俺は、フランの言葉に頭をかいて答えた。


「いや、それが、魔法に関しては独学で……。俺が読んできた『魔法の手引き』って本には、そういう事は書いてなかったし……」


 俺が独学だと告白すると、フランは驚きに目を見開く。


「嘘でしょ?独学って、今まで師匠もなしにやってきたって言うの?信じらんないわね……。ハァ……、まぁ、そういう事なら仕方ないわね」


 フランは腕を組み、仁王立ちして俺を睨み付ける。


「良い?これは常識だから覚えておきなさい。魔法を使う時には、周りに聞こえる様に魔法名を唱える事。特に冒険者としてパーティで行動している時は絶対よ?」


 絶対と言われても、それだけでは理由が分からない。

 そんな俺の心情を見て取ったのか、フランはため息を吐くと話を続ける。


「無言で魔法を使ったら、それが周りに分からないでしょ?一人で行動する時ならそれでも良いかもしれないけど、パーティで行動する時にはそれが問題になるのよ。例えば、戦闘中だとかね」


 そう言うと、フランはピンと人差し指を一本立てて俺の様子を窺う。

 どう問題になるんだ?

 俺がいまいちピンとこずに首を傾げると、フランは眉をピクリとさせて話を続ける。


「良い?前衛で戦う戦士は、後衛の魔法使いが何をしているかなんて事、戦闘中に一々後ろを振り返って確認できないでしょ?なのに後衛の魔法使いが無言で魔法を使ったら、最悪前衛の戦士は魔法の巻き添えになる可能性があるわ」


 俺が居住まいを正して黙ってフランを見つめると、フランは話を続ける。


「だから事故を防ぐため、上手く連携を取るために、魔法使いは魔法を使う時に魔法名を唱える事が常識なのよ。そうすれば、前衛の戦士も魔法を使うタイミングに合わせて動けるから、魔法の射線を通すために場所を開けたり、魔法の効果に巻き込まれない様に退避したりといった連携ができるわけよ」

「なるほど、ちゃんと理由があるんだな」


 俺が納得して頷いていると、フランが呆れた様子で首を振る。


「そんな事、当たり前でしょ?まぁ、それはこちらの言葉を理解できない魔物が相手だからだけど……。対人戦の場合には、事前に符丁を決めておいてそれを利用するなんて事もやるみたいね。まぁ、そっちは慣れるのに訓練がいるけれど……」


 そこまで言って、フランは俺が燃やした標的になる藁人形の一つに目を向ける。


「まぁ、独学だって言うなら、そういう常識を知らなくても仕方がないわね。今後は十分に気を付けなさい。……それにしても、あの藁人形、見事に焼け落ちたわね。火属性の魔法なんでしょうけど、火力は問題ないみたいね」


 フランのその評価に、俺は嬉しくなる。

 しかし、次の言葉に俺は驚かされる事になった。


「だけど、冒険者としてはいまいちだわ。初級の魔法かしら?火属性の魔法としての完成度は高い様だけど、冒険者としての試験なのにその選択チョイスはないわね」

「え?……フランさん、どういう事ですか?」


 俺の疑問に、フランは困ったような表情を浮かべる。


「私は、急遽呼び出されて試験官になっただけよ?教官でもないのに、どうして講釈を垂れる様な事しなきゃならないのよ?」


 そうして、フランは深く溜息を吐くと話を続ける。


「冒険者の仕事の中には、街の外に出て狩りをする事も含まれるのよ。それも猟師と違って、人の手による手入れがされてなかったり、魔物の縄張りテリトリーになっている森なんかの危険な領域エリアに入って行ってね。狩りをして獲物を取るって言うのに、その獲物を切り刻んで駄目にしたり死体を灰にするほど燃やしたりしてたら意味が無いでしょ?」


 フランの言葉に、俺はそれはそうだと頷く。

 それと同時に疑問も浮かぶ。


「じゃぁ、どんなやり方が正解なんだ?」


 俺の疑問に、フランは迷いなく答える。


「そんなもの、その冒険者次第よ。魔法が使えない普通の冒険者だと、弓矢で仕留めるとか槍で急所を一撃するとか……。魔法でも、水穿弾アクアピアッサー石弾ストーンバレットなんかで急所を貫いたり、風刃ウィンドカッターで急所を切り裂いたりして、できるだけ傷を少なく獲物を仕留める方法はあるわ。逆に火属性魔法だと殺傷力自体は高いけど、それじゃ肉や毛皮なんかが駄目になるわ。標的の討伐自体が目的なら火属性魔法を使う手もあるけど、討伐できても討伐証明部位が灰になったら意味ないわよ」


 なるほど、納得だ。

 その理屈だと、俺は冒険者としてあまり上手いとは言えない方法を披露してしまった事になるのか。


「まぁ、火属性魔法でも上手い事狩りをする魔法使いがいないわけではないけれど、そんなものは例外よ。だから、火属性魔法って言えば、派手で見栄えがするから使いたがる人も多いけど、どっちかというと戦争用の魔法って印象ね」

「そうなんですか、分かりました。丁寧に教えてくださってありがとうございます」


 俺は、教官ではないと言いながらも詳しく教えてくれたフランに礼を言う。

 その上で、フランにもう一度試験を見てもらえるようにお願いしてみる。


「その話を踏まえた上で、お願いがあります。もう少しだけ俺の魔法を見てもらえませんか?」

「ん?まぁ、良いけど?どのみち、魔法を一つ見ただけじゃ、試験の判定なんてできないものね」


 それはありがたい。

 火属性魔法を見せた事で冒険者失格と言われなかった事に安堵しつつ、俺は残った標的になる藁人形に向き直った。


「他の属性魔法が使えるのなら、それも見せてちょうだいな」


 塔に幽閉されている間に行っていた魔法の練習では、特に魔法名を唱える事はしていなかった。

 これからは注意して魔法を使う様にしよう。

 俺は、フランの言葉に頷きつつ標的になる藁人形を睨み付ける。

 そうして、今度は無言にならないように注意しつつ魔法を放つ。


「石弾!」


 俺が魔法を放つと地面の土が盛り上がり、一塊の石が地面から飛び出して藁人形の頭部を粉砕する。

 続いて、俺は水袋を取り出すと目の前に水をぶちまける。


水操作コントロール・ウォーター水弾ウォーターショット!」


 魔法で飛散せずに空中で浮かんだままの水を手で弾き、水の塊にして打ち出す。

 打ち出された水弾が次々に藁人形に命中し、藁人形がバラバラになる。


「風刃!」


 俺が手を振ると、空中に空気の刃が生まれ、藁人形に命中してその首をはね飛ばす。

 魔法を披露し終えた俺は、フランにその評価を問うた。


「どうですか、フランさん?」

「ふ~ん、さっき独学って言ってたけど、結構手馴れてるのね。他の魔法も見てくれって言われた時はあと一つくらいかと思ってたけど……。普通、魔法を使えるって言っても使える属性は一つか二つ、良くて三つよ?四つも使えるなんてすごいじゃない。魔力の流れもスムーズで、魔力を過不足なく魔法として使えている感じだしね。悪くないんじゃない?」


 よし!

 俺は小さくガッツポーズをする。

 その時、俺とフランのやり取りを聞いていた受付嬢が、フランに俺は合否を尋ねた。


「それでは、アイゼンさんの試験は合格ですか?」

「もちろん、文句なく合格よ」


 受付嬢の問いに、フランは文句なく頷く。

 その言葉を聞いた受付嬢が俺に向き直る。


「アイゼンさん、先程ドルツさんとも話したんですが、武芸の試験も文句なく合格だそうです。アイゼンさんに問題が無ければ、このまま冒険者証の発行手続きに入りますがよろしいですか?」


 受付嬢の言葉に、俺は頷く。


「はい、よろしくお願いします」

「かしこまりました。それでは先ほどのホールに戻って、またしばらくお待ちください」


 俺に一礼した受付嬢は、ドルツ、フランと共に修練場を出ていった。

 受付嬢に言われた通り、俺は冒険者ギルドのホールに戻って長椅子ベンチに腰掛ける。

 長椅子に腰掛けながら、目の前の壁に設置されている掲示板を眺める。

 その掲示板には、様々な依頼内容が書かれた紙が張り出してあった。

 張り出された紙は、真新しいものからいつから張っているのかと思う様な古ぼけたものまでさまざまだ。

 依頼内容も、酷いものだと街の下水道の清掃から始まり、薬草採取や街道の護衛、色々な種類の魔物の討伐依頼、果てはドラゴンの牙や爪といった素材の納品依頼まで多種多様である。

 俺がそれらの依頼が書かれた紙を眺めていると、思いの外時間が経っていたのかいつの間にかカウンターへと戻っていた受付嬢が俺の名を呼んできた。

 俺は軽く手を振って答えると受付嬢のいるカウンターへと足を運ぶ。


「アイゼンさん、お待たせいたしました。こちらが、貴方に発行される冒険者証です」


 俺は受付嬢が差しだしてきた冒険者証を受け取る。

 冒険者証は鉄製のプレートで、表面には俺の名前とその横に5と刻まれており、さらに二つの印が刻印されている。


「ありがとうございます。これで、俺も晴れて冒険者の仲間入りというわけですね」


 冒険者証には、首から下げるためのチェーンが付けてある。

 俺は、受け取った冒険者証を首に下げた。


「はい、アイゼンさん。改めまして、冒険者ギルドへようこそ。いくつか説明事項がありますので、このままお話ししますね」

「えぇ、お願いします」


 俺が頷くと、受け行け上は笑顔を浮かべて話始める。


「まず、そちらの冒険者証ですが、冒険者には階級があって、アイゼンさんは鉄階級アイアンクラスの冒険者となります。階級には九分類あって、下から順にウッドカッパーアイアンシルバーゴールド白金プラチナ、ミスリル、アダマンタイト、オリハルコンの九階級です。冒険者証のプレートは、それぞれの階級に応じた金属を使って作られているんです。各階級にはさらに等級がありまして、下位の10級から上位の1級まで10等級に分けられてプレートに刻まれています。アイゼンさんは鉄階級の5級ですね」


 俺は手にした冒険者証を見返す。

 なるほど、冒険者証の素材がそのまま冒険者の階級を現し、名前の横の数字で等級を表示しているのか。

 すると、他にある二つのしるしは何なのだろうか。

 俺が疑問を口にするよりも早く、受付嬢が説明をしてくれる。


「冒険者証に刻印されている印は、その冒険者の持つ資格を意味します。アイゼンさんは武芸も魔法も試験は合格ですから、戦士と魔法使いの印の二つが刻印されています。冒険者ギルドが認定する資格は他にもあります。興味があれば、学んでみるのも良いかもしれませんね。ですが、資格を認定されるには相応の修練が必要です。ですから普通は、自分にない資格の所有者を募集してパーティを組みます」


 そういった受付嬢は、俺の左手を指し示す。

 そちらはバーっぽいカウンターとテーブルが置いてある方だ。


「あちらが、冒険者ギルドが経営する斡旋所兼酒場です。皆さん、冒険仲間を募ったり、仕事終わりに一杯飲んだりするんです。たまに、仕事前から飲む方もいますけど……。もちろん、軽いものなら食事もありますよ。売り上げは冒険者ギルドの利益ですから、ドシドシご利用ください」


 受付嬢がクスクスと笑う。

 軽い冗談なのだろう。

 しかし、斡旋所か……。

 確かに、一人で冒険するなど無謀な事なのだろうな。

 俺も大きな仕事をする時など、パーティを組んでの活動を考えるならば世話になるかもしれない。

 次に、受付嬢は俺の右手の掲示板を指差す。


「依頼を受ける時は、掲示板から依頼票をはがしてカウンターに持ってきてください。ここのカウンターでは依頼の受領や達成確認といった業務を行います。依頼票に書けない情報や重要事項の説明も基本的にはここで行いますよ。それと、依頼票を取る時は、請負可能階級に注意してくださいね。請負可能階級は、基本的に冒険者ギルドが依頼内容に沿って判断しますから、ご自身の階級以上の仕事は受けられませんよ」


 そこまで言って、受付嬢は分かりましたかと俺の方をうかがってくる。

 俺は、受付嬢に問題ないと頷いて見せる。

 俺が頷いた事を見た受付嬢は、さらに話を続けた。


「それでは、納品物の納品確認も基本的に依頼主に直接ではなく冒険者ギルドで行います。実際の納品物の引き渡しは、冒険者ギルド裏手の引き取り所を使って下さいね。採取、狩猟した獲物を直接カウンターに持参されても困りますから。冒険者ギルドの裏に窓口があって、そこで引き取る決まりです。たまに、討伐した魔物の頭なんかを直接こちらに持ち込む人がいて困るんですよね。それと討伐依頼の場合は、きちんと討伐証明部位を持ち帰らないと討伐の証明と報奨金の査定が出来ないので、その点も注意してくださいね」

「なるほど、分かったよ」


 俺が礼を言うと、受付嬢はこれが仕事ですからと言って笑った。


「基本的な説明は以上です。もし仕事をする上で分からない事があった場合にはご質問ください。可能な限りお答えします。……あっ、それと、これは余計なお世話かもしれませんが、仕事探しなら朝早い方が良いですよ。基本的にその日に受け付けた依頼は、翌日の朝一で掲示板に張り出されますから。割の良い仕事だと、朝から取り合いになったりするんです」

「そうか、アドバイスをありがとう。参考にするよ」


 俺は、受付嬢に改めて礼を言って冒険者ギルドを出た。

 さて、これで俺も一端の冒険者の仲間入りだ。

 俺はステータス画面を開く。

 そこには『職業:冒険者』と表示されている。

 レベルは3だ。

 試験を通じた学びで経験を積んだという事なのだろう。

 さて、急ぎで金を稼ぐ必要があるほど金欠という事もないし、試験を受けて学んだ事もある。

 近い内に仕事をするとしても、まずは試験を通じて学んだ事や気付いた事を確認するべきだろう。

 まずは、腹ごしらえからだ。

 晴れて冒険者となった俺は、夕闇迫る街の中、意気揚々と酒場へ向けて繰り出すのだった。

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