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お馬鹿な妹と勘違い家族はボンクラとされた王太子様に粉砕された

作者: リュルク

 私は家族と言うものが大嫌いだった。



 何故なら父も母も妹ばかりヒイキにする。



 いやこれだけなら良い、妹は可愛いからヒイキにされていて、その理由が政略結婚に向いているから。



 これは成り立つと思う。悲しいけど。



 地味で平凡な私よりは、そりゃそう判断するのは分かる。



 問題は私を徹底的に軽視することだ。同じ両親の子なのに……



 いっそ義母とかならば納得がいくんですけどね。




 さらに妹も妹で、自分が可愛いからってことで何でも優先されて当然だとはき違えているのである。




 これがうざったくて仕方ない。




 私はお前らの手下でも何でも無いのだ……





 しかし転機が訪れる……




 ある時王妃様から呼び出された……





「エリザ……今日は大事な話があってきてもらったの……」




 そうそう、私の名はエリザ、公爵家の長女である。妹の名はスカーレット。





「……王妃様突然どうなさったのでしょうか?私にできることがあるのでしょうか?」




 いつになく神妙な顔をされているので、私も正直困惑した……





「……むしろ貴女ににしかできないことを頼むのよ……」





 いつになく王妃様も言いにくそうだ……こんなケースは初めてである……





「……貴女、王太子は誰がなるべきだと思うかしら?」





 ……なんなんでしょうこの質問……地雷感しかなく、どう答えればいいのか私は迷った。と言うか分からない……仕方ないので……





「……王妃様恐れ入りますが、そのようなこと臣である私に言えることではありません……」





「……気にしないで、今は2人だけ、そういう建前抜きで言ってちょうだい!」




 王妃様にせかされて、私は困った、いやこれ迂闊な失言とかをしたら困るの私ですよね?


 そう思ってまだ迷う……




「あの恐れ入りますが王妃様……臣である私がこんな問題を答えて失言を恐れることをどうかご理解下さい、そんなことは百も承知である王妃様がこんなことを尋ねられるということは、何かあったのでしょうか?」




 私は渾身の丁寧さを言いつつも、王妃様の狙いを探りたくて必死なのであった……





「……貴女のそういう所好きよ、率直に言うわ、王太子は言うまでもなく私の息子であるダニエルがなるべきなのよ。でも……貴女も知ってるでしょう?あの子はデキが悪い……だから陛下も迷われているのよ……」





 ……なるほど、本来は王妃様との子であり長男であるダニエル様が王太子になるのが筋であろう。でも未だ王太子が確定していないのは、ダニエル様を不安がっているからという噂は既成事実のようにされていたが、本当だったらしい。



 だから王妃様は側妃の子が王太子になることを恐れていると……





「……難しい話ですね……」




 私は深く立ち入らないように慎重に回答をした……





「……そうでもないわ、私は考えたの、ダニエルが頼りにならないのなら妻になるものを頼りにすれば、陛下も決断できるんじゃないかと!」





 え?




「つまり、ダニエルと婚約して欲しくて今日は呼んだのよ!」





 ええええええ 私は驚いた……



 父に母に、お前は地味だからろくな縁談が来ないに違いないと言われ続けてきたからだ……





「……あの私でよろしくて?」





「……むしろ貴女じゃないと困るのよ!」




 ここまで言われてしまった以上、あのうんざりした家から逃げられるし、さらにこんな形でも必要とされたことに応じるのも良いかもと思うので、承知することにした……




 正直ダニエル様はと言うと……容姿もいまいち冴えなければ、ボンクラと噂されている方なので、正直相手としては嬉しいかというと、不敬になるが、そうでは無いのだが……



 でもこれはある種の良縁では無いかと思うことにしたのであった……





 そしてダニエル様とさっそくお会いすることになった……



 王妃様は息子が不安なのか同行することになり、3人で会うことになった……





 ダニエル様は私に会って婚約者であると告げられると開口一番物凄いことを言い出したのである。




「私にも婚約者なんてものができるのですね……」




「どういうことでしょうか?」



 私は驚きのあまり尋ねてしまった……




「どうせ僕は王妃の息子というだけの出来の悪い男。令嬢が嫌がるに決まっている、君も無理をしているのだろう?」




 ……何ていうか自分の評判の悪さのせいか、信じられないほど卑屈になっていて驚いたのであった……





 王妃様はこっそりと私に言う……




「こんな風だから陛下も迷われてしまって、だからって私の息子以外が王太子になるなど、あってはいけない、分かるでしょう?」




 ……なるほどなぁ……王家の政治も難しいのだなと思った。






「ダニエル様、私がダニエル様に相応しいかとか嬉しいかと言われたら分かりません、でも王妃様に必要だと言われたことが嬉しくてこの場にいるのです」




 何ていうか卑屈になり切っている人に美辞麗句など通じないと思ったし、元々私は苦手なので正直に言うことにした……





「母に必要と言われたってどういうこと?」




 もっともな疑問をされた、でも賢い方ならば、自分が頼りないからしっかりしてそうな令嬢を連れてきたって分かりそうなものだから、やはりボンクラと言われる方なのか?と不敬ながら少し思ったのであった……





「私から説明するわダニエル、貴方は王太子になるべき男なのよ!それを貴族共が不敬にも相応しくないと言うことで、陛下が迷われている、そこでエリザのようなしっかりとした令嬢と結婚をして、しっかりした姿を見せて陛下の不安を取り除き、不敬な貴族を黙らせるのよ!」




 王妃様の強い宣言を感じた……



 うーん私にそんな力があるかなぁと個人的には少し不安に思うのであった……





「なるほど流石母上、エリザに任せれば僕も立派になれるのか!」




 何て短絡的な意見なんだと内心呆れたが、素直な方なのかもと思った。



 だから貴族に悪く言われると素直に傷つくし、母である王妃様に言われて素直に信じるのかと……





「……ダニエル様、王妃様、私がどれほどできるかは分かりませんが、私なりに努力はして見せます!」




 少なくても評価されていて期待されている分、家よりはマシだと思ったので、私も腹をくくることにしたのであった……





 家に帰って報告をすると両親には大層驚かれた……




「信じられない、お前みたいな地味なものが王子と婚約してくるなんて……」


 こんな無礼なことを言うのは父親である。




「ダニエル様の趣味も変わっているようね」



 もっと無礼なのが母親である。



 本当にクソだと思う……





 そしてスカーレットは馬鹿にしたように言う。




「あらお姉様、あんなダメ王子がいいなんて、お姉様の趣味は変わっていらしているわね……」




 ……こいついくら何でも不敬にもほどがあるので、私はあきれ果てたのであった……





「……スカーレット、そんなことを言ったら不敬になるって分からないの?」



 私は思わず咎めてやったがどこ吹く風で、




「駄目王子を駄目って言って何が悪いのかしら、あんなのと結婚とか絶対に嫌ですわ、お姉様はお優しいですね」




 これ以上言っても無駄だと思ったので無視することにした。こんなクソな家から離れられるだけで、王妃様に感謝すべきだろう。理由が理由であっても……






 そして私はダニエル様に1つだけ頼むことにした……




「ダニエル様、お願いですから卑屈になることだけはお辞め下さい、何も自信を持った王族らしい振る舞いをしろとか言うわけではありません、でも自分何かって思うことだけは、そしてそれを言うことだけはどうかやめて下さい……」




「……そうすれば僕も立派になれると思うか?」




「そこまでは保証できませんが、少なくても改善はされることは約束できます!」




「……分かった頑張ってみるよ!」




 素直なダニエル様なのか、すんなりと聞いてくれた。そして卑屈な言動が減ったこと、それから王妃様の熱烈な政治工作により、私がいるから大丈夫などとゴリ押した結果、



 何だかんだ王妃様と側妃では元々の身分差もあり(王妃様は他の公爵家の娘だが、側妃は下級貴族出身である)、ダニエル様の懸念がある程度解消されたのならばということで、ついに陛下がダニエル様を王太子に決めたのであった!






 王妃様に呼ばれ、王妃様は熱烈に私に感謝をしだす……




「貴女のおかげで助かったわ、ダニエルが王太子になれなかったら、私の人生まで終わる所だったのよ……」




 なるほど切実だったのですね……





「これからもダニエルの事をよろしく頼むわね!」



 このように頼まれたことは悪い気はしなかった。


 ダニエル様も頼りになるかと言えばまったくだが、素直な気質自体は王には向いてなくても、人としては悪くは無いからである。






 私は何もかも上手く言ったと思っていたら不穏なことが起きるようになった……





 何とスカーレットが必要以上にダニエル様に近づくようになったのであった……




 渾身のオシャレをして、義妹とは思えない距離感で接しているのである……





 私は嫉妬してるなんて思われるしょうもないことも嫌なので何も言わなかったが、



 流されやすいダニエル様の事だから不安に思うのであった……






 そしてある日、王妃様とダニエル様を招待して会食がされることになった時に事件が発生した……





 王妃様は仕事があるから遅れるということで、まずはダニエル様だけいらっしゃったのであった……






「ダニエル様ぁ……お姉様なんかで本当に満足なんですかぁ?」



 甘ったるい声で声をかけるかける。



 私は思った、こいつ散々駄目王子扱いをしておきながら、王太子になった瞬間に手のひら返しをしてるなと……




 そして愚かな父親と母親は咎めないどころか、




「ダニエル様、正直言いますとスカーレットのほうが美しいので、私どもとしましてはどちらと婚約しても構わないのです」



 などと寝言を言っているのである。



 どれだけ私を馬鹿にしてるのだろうか……




 しかしダニエル様は違った……





「スカーレットと結婚すると僕は王太子になれるのか?」




 あまりにストレートな発言だった!




 そうなのだ、王妃様の政治工作は私と結婚をすることが前提のごり押しなのだから、この認識は正しいと思う!



 ここまで理解されているかは分からないがあまりの発言に私は正直驚いたしある意味感動をした。





「も……もちろんですわ!キレイで可愛い私と結婚をすれば、貴族達もきっと認めると思いますわ!」



 スカーレットはこのようにゴリ押して、両親も言う。




「スカーレットと結婚して下さるのでしたら公爵家は全力で支援します!」




 こんなことを言っていたら王妃様が到着された……



 そして話を聞いていたのか激怒された。





「……貴方達、私の邪魔をしたらどうなるか分かっているでしょうね?もしもスカーレットがいらんことをして、この話が流れたら、貴方達も道ヅレにしてあげますから!」



 王妃様の迫力の前に両親は完全に固まったが、スカーレットは馬鹿だった……






「どう考えても私のほうが王妃に相応しいですよ、王妃様?」





 王妃様が怒りの余りに何を言うか一瞬戸惑っていた時に、ダニエル様から衝撃的な発言が飛び出した。




「何で?だってエリザは僕を叱ってくれたからエリザのほうがふさわしいと思うよ?」




 子供か!って言いたいけど、素直なダニエル様らしい発言だなと正直思った。




「嫌よ!私が王妃になるの!」



 スカーレットは暴れるもダニエル様に、「そんなワガママでは王妃にはなれないよ」



 と注意されて一蹴されてしまった……



 うんダニエル様の勝ちね……





 王妃様が最後にまとめる……




「いい?公爵家はこれからはエリザを支援しなさい、ダニエルが王太子から脱落したら、私も貴方達も終わりなの、これからは一蓮托生、分かったわね?」



 こうして、これからは両親は私をヒイキしないといけないことが、王妃様によって約束させられた。




 そんな状況にスカーレットが耐えられるわけがないのですが、王妃様はスカーレットが邪魔ならば、どんな手を使ってでも消そうとするだろう……




 馬鹿な両親は馬鹿で愚かで子供以下のスカーレットにそれを理解させられるのかしら?正直他人事のように思う私は冷たいのだろうかと、ふと思ったのである……

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