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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

百物 界隈語

作者: 雷電


ゴロゴロ‥‥‥ピシャアア!!!


空が暗雲に包まれ、激しい雷雨が降り注いでいる。


「先生、此方でございます」


ギイィィィ!!!カランッ!


「‥‥‥‥そうですか。何やら中が騒がしいですね。メイドさん」


その美男子は黒髪で美白だった。古き時代から近代へと時代が変化する中、普通の成人男性よりも比較的高い背をしていた。黒き浴衣に黒いマントという何とも奇妙な格好で古き洋館の扉を潜る。


「中ですか?‥‥‥‥天気が悪い外ではなく?‥‥‥フフフ、先生はご冗談がお好きな様ですね‥‥‥‥フフフ」


「そんな事どうでも良いっ!早く洋館の中に入れっ!!服が濡れるだろうがっ!」


「‥‥‥‥それよりも、貴方。早くこの洋館に入る〖化物〗を祓ってもらいましょうよ」


「そうよ!お父様。アイツが居なくなった後、突然、現れた〖化物〗を早く退治してもらいましょうよっ!」


「あっ?そ、そうだな。ほ、ほれっ!先生とやらっ!我が家に取り憑いた〖化物〗を祓ってくれっ!ほれっ!早くっ!何の為にこんな天候の悪い中、華族である俺が歩き回らないといけないんだかっ!」


「‥‥‥‥取り憑いた〖化物〗ですか?‥‥‥‥‥成る程、成る程‥‥‥‥だからこれ程にこの中が騒がしいのですか‥‥‥‥ククク」


「な、何を笑っている?気味の悪い男だっ!凄腕の怪集家(かいしゅうか)と聴いたから雇ったというのに期待していたというのに、何なのだこの男はっ!」


「お母様‥‥‥‥お父様がまた、怒鳴っているわ」


「どうでも良いわよ。それよりも早くこの家の〖化物〗を早くなんとかしてくれないかしら?‥‥‥そうじゃないと上のあれ(・・・・)が外にバレてしまうわ」



「‥‥‥‥先生」


「ククク‥‥‥良く言われますよ。変わり者の浮浪者とね」


ガタッ!


「アンタの話など微塵も興味がないわ。そんな事よりも、この家に突然現れた〖化物〗を退治しろっ!」


「‥‥‥‥えぇ、やりますよ。その為の報酬も頂いておりますから‥‥‥‥上ですかね」


「‥‥‥‥始めるんですね。先生」


ゴロゴロ…‥‥‥ピシャアア!!!!



〖手形の部屋〗扉前


ギシ‥‥‥ギシ‥‥‥キイィィ!!


ガタッ!ガタッ!


「フム‥‥‥この部屋が一番濃いですな‥‥‥ククク‥‥‥怖い怖い‥‥‥」


「ちょっと待てっ!!な、何を勝手に二階に上がっているっ!しかもその部屋は開かずの扉だ‥‥‥‥怪収家っ!その部屋から離れろっ!近づくな!」


「そ、そうよっ!そこはアイツの部屋よっ!離れなさいよっ!」


「貴方‥‥‥‥キヨ‥‥‥‥‥そんなに慌ててどうしたの?」


「‥‥‥‥‥ククク。分かりやすい反応で助かりますよ‥‥‥答えの場所をわざわざ教えてくれるとは、雇い主殿はこの御家の騒動を早く解決したいのでしょう?‥‥‥ならばこの板と釘と錠に覆われた扉を開けるしかありますまいて‥‥‥」


「だ、だからそこには何も無い。何も存在しないっ!だから、その扉のドアノブから手を離せ‥‥‥」


「そ、そうよ、止めなさいよっ!アンタッ!」


ガタッ!ガタッ!ガタッ!


「ククク‥‥‥‥扉を開けさせない様に必死に抵抗する父と娘‥‥‥‥これでは先に進めませぬ‥‥‥奥方。ここを開けても宜しいですか?」


「‥‥‥‥はい。宜しいお願いします。怪収家様‥‥‥長女を‥‥‥‥娘を助けてあげて下さい‥‥‥‥」


「お、おいっ!スミッ!何を勝手に承諾している?!」


「そ、そうよっ!アンタッ!お父様と再婚したくせにっ!何で連れ子のアイツが私の姉だったのよっ!腹立つ!」


ガタッ!ガタッ!ガタッ!ガタッ!


「此方から質問もしてないのにベラベラと‥‥‥‥焦れば〖怪異〗に漬け込まれ‥‥‥‥‥吐かられる‥‥‥‥そして、力を付け怨みを晴らす‥‥‥奥方。これより先、何が起こり、どんな結末を迎えようとも宜しいか?」


「‥‥‥‥はい、この全て受け入れます」


「おいっ!お前っ!何を言って‥‥‥」


「そうよっ!余所者の華族のくせにっ!」


「落ち着いて下さいっ!旦那様方!!静かにしないと‥‥‥」


「ククク‥‥‥‥奥方のその覚悟に応えましょう‥‥‥‥〖思考〗〖記憶〗〖記録〗が出揃った‥‥‥ここに怪集(かいしゅう)の形は織り成した‥‥‥‥今回の疑似妖刀は〖蜘蛛切り〗なり‥‥‥この〖怪異〗の現況を切りたもう」


ガタッ!ガタッ!ガタッ!ガタッ!ガタッ!


ガチャッ!‥‥‥‥‥キイイィィ!!!


「な?勝手に扉が開いた?」


「あ、あんなに頑丈に閉めていた、アイツの部屋が?開くなんて‥‥‥‥信じられないっ!」


「それ程までの怨みと悔やみという事ですよ‥‥‥‥‥お二人様‥‥‥‥‥部屋は暗く、中央に鏡が一つ‥‥‥‥‥クククククク‥‥‥‥‥これまた格別な〖怪異〗に取り憑かれたものです」


ガタッ!ガタッ!ガタッ!ガタッ!ガタッ!ガタッ!ガタッ!ガタッ!


暗き部屋の中にある鏡から、手と足が蜘蛛の様に長く、長髪の黒髪の女が一人。その顔はミイラの様に干からびていた。


「ア、ア、ア、アアアァ!!オ、オカアアアァ!!」


「ヒ、ヒイィ!!何だ?あの化物は?」


「き、気持ち悪い!!!」


「旦那様。キヨ様。お気を確かにして下さいっ!」


「メイ‥‥‥‥‥」


「ククク‥‥‥‥これまた大物‥‥‥絡新婦(ジョロウグモ)の類いですか?‥‥‥‥これは収集しがいがある」


「アァ!!アァァ、オカアザアァァ!!!」


「‥‥‥‥最後に問います。貴女の娘を救いたいですかな?奥方様‥‥‥‥」


「お、おいっ!雇い主は俺だぞっ!怪収家っ!」


「そ、そうよっ!何で余所者に聞いて‥‥‥‥」


「‥‥‥‥はいっ!宜しくお願い致します。百物様っ!」


「あい分かりました‥‥‥‥その願い怪集と共に叶えましょう‥‥‥‥‥〖怪異〗と娘さんに救いを‥‥‥‥〖収救の太刀〗」


ズパアァンン!!!!


「アァァアァァ!!!アアアァ!!ギャアアアア!!!!!」



▼▼▼▼▼


(や、止めて下さいっ!お父様っ!)


(連れ子の分際で、俺に意見するなど許さん。教育しなおさなければな。なぁ?我が娘、キヨ)


(えぇ、その通りよ。お父様‥‥‥何で後から来たコイツが私の姉なのよ。フンッ!こうしてやるわっ!)


(や、止めてっ!キヨっ!わ、私達。連れ子同士とはいえ、同じ姉妹じゃない‥‥‥‥いやいや‥‥‥助けてお母さん!!!!) 


▼▼▼▼▼


(え?メイが家出したですか?わ、私が留守の間に何があったんですか?アナタ)


(‥‥‥あー、知らん。勝手に居なくなったんだ‥‥‥そのうちフラッと戻ってくるだろう)


(そ、そんなっ!)


▼▼▼▼▼


(凄い格好ねぇ?お姉様‥‥‥‥素敵よっ!フフフ、アハハハ!!!)


(‥‥‥うぅ、お母さん‥‥‥助けて‥‥‥‥)


(‥‥‥ちっ!もう虫の息か‥‥‥‥キヨ‥‥‥あの部屋に運ぶぞ‥‥‥‥ろしたら‥‥‥鏡‥‥‥と‥‥とも‥‥‥に‥‥‥)


(えー?何それ、凄い事考えるわね。お父様っ!)



◇◇◇◇◇


「アァァ‥‥‥‥あぁ、お母さん‥‥‥私‥‥‥この人達に‥‥‥弄ばれて‥‥‥それで‥‥‥なんとか生きたいと思って‥‥‥とあの人と契約したの‥‥‥‥」


「アアアァ!!!!」


「‥‥‥‥えぇ、見たわ‥‥‥‥貴女の記憶‥‥‥私が少し目を離した隙に‥‥‥ごめんなさい。ずっと‥‥‥ずっと貴女の事を街中探してたのよ‥‥‥でも彼とキヨが貴女の事はもう探すなって言うのよ‥‥‥‥でも私は諦め切れなかったの‥‥‥」


「それで私が雇われたのですよ。彼処で持っていかれ様としている旦那様よりも先にね」


「おぉぉ!!何だ?何が起きてやがる?な、何で俺と娘の身体が捻れて鏡の中に吸い込まれるんだ?」


「お、お父様!!!助けてえぇ!!」


「ククク‥‥‥‥〖怪異〗と関わった代償でしょう‥‥‥‥〖大王〗に宜しくお伝え下さい。界隈は自由に集めているとね」


「き、貴様!!何を呑気にしている?!俺は雇い主だぞっ!早く助けろっ!!怪集家あぁ!!!」


「おや?最初の雇い主はこの奥方様ですよ‥‥‥‥報酬は〖絡新婦〗とアナタ方が入ろうとしている〖蜘蛛鏡〗‥‥‥怪集家としては何と心踊る報酬でしょうか‥‥‥‥ククク」


「何だ?‥‥そんな報酬など今まで聴いた事、無いわ。金なら幾らでも払ってやるっ!!!さっさと俺だけでもここから助け‥‥‥」


「な、何、言ってんのよっ!お父‥‥‥‥」


「‥‥‥‥迎えが来ましたな」


ガゴンッ!‥‥‥‥


「お久しぶりです。百物 界隈様‥‥‥今回の供物はこれで?」


「えぇ、極上の悪意をお渡ししますよ‥‥‥‥〖兎〗殿」


「あい!分かりました‥‥‥では、確かに受け取りました‥‥‥それではまた、数年後にお会いしましょう」


ギギギ‥‥‥‥


「な、何だ?この白いの?や、止めろ!!何をする貴様!!」


「あぁぁ!!私の腕が折れてるぅぅ!!」


ガゴンッ!


「‥‥‥五月蝿いのも消えましたね。では〖絡新婦〗よ‥‥‥私の怪集記に刻まれよ‥‥‥‥〖宝印〗」


「ギギギ?!ギアアアァ!!!」ズズズズ!!


「メイに取り憑いていた蜘蛛が、手帳の中に入って行く?」


「あれが‥‥‥先生のお力ですよ。〖怪異〗を暴き、集めて、宝ずる‥‥‥怪集家・〖百物 界隈〗先生の‥‥‥‥」


「ククク‥‥‥‥依頼は完了しました。娘さんには暫く安静にさせていれば治っていくでしょう‥‥‥それでは私は次の依頼が待っていますので‥‥‥さようなら‥‥‥奥方様方‥‥‥‥ククク」


「‥‥‥では、失礼したします。今までお雇い頂きありがとうございました。さようなら」


「え?‥‥‥は、はいっ!ありがとうございます。怪集家様‥‥‥‥いえ、界隈先生!!」


「あ、ありがとう!!先生!!」



「ククク‥‥‥はい。また何処かで‥‥‥‥‥いつの間にか晴れましたね。神威(カムイ)君」


「‥‥‥はい、先生。それと私は女です」


「あぁ、そうだったね。すまない、すまない‥‥‥さて、今度は何処の〖怪異〗を集めに行こうかな。ククク、少しだけ心が踊るね‥‥‥‥」



怪集家・百物 界隈は依頼を完了し、次の依頼場所へた旅に出る。


日本全国津々浦々、怪異集めの専門家は自由気ままに旅をする。



終わり‥‥‥‥。

最後までお読み頂きありがとうございました。


宜しければブックマークや評価、頂けると嬉しくなります。

では、また、別の作品でお会いしましょう。

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