熟年の恋愛で、“純愛”があると私はそう信じています。
私はずっと連れ添ってきた夫を5年前に亡くし、
子供達は既に結婚して自分の家庭を持ち、巣立って行きました。
夫が亡くなって5年! 私はずっと一人で生きてきたのです。
たまには息子や娘が自分の家族を連れて家に帰って来る事はありますが、
そうでない日は、とても穏やかで静かな時間を私は過ごしているのです。
・・・でも、やっぱり夜一人で居ると?
寂しさが込み上げてきます。
いつも一緒だった夫と居た時間が恋しいと感じてしまうのです。
夫がまだ生きていたらと、たまにそんな事まで考えてしまう。
その一人の寂しさを埋めてくれるのは?
今まで仲良くしていたお友達です。
たまに、一緒に歌舞伎を見に行ったり温泉旅行にも行く事もあります。
それでも他のお友達は、“まだ旦那さんが居て、よく喧嘩もするけど?
仲良くふたりの時間を楽しんでいるんだと想えるお話を聞きます。”
それがまた羨ましくもあり寂しさがまた込み上げてくるのです。
そんな時、仲が良い1人のお友達が私にこう言いました。
【出会い系のバスツアーに行ってみたら?】
【えぇ!?】 私は予想もしていなかったお友達の言葉にびっくりして
しまいました。
・・・でもよく考えたら?
もう夫が亡くなって5年です。
もうそろそろ、“新しい出会いをしてもいいのかなと思いました。”
まだ私も65歳、女の花道はまだまだ続いています。
寂しい時に、好きな男性の傍に居たいと想うのは女心ではありませんか?
私は先に、“出会い系のバスツアーに参加する前に、子供達に相談してから参加
しようと決めていました。”
そして早速、子供達に出会い系のバスツアーに参加していいか聞いてみると?
『あのね、お母さん? 出会い系のバスツアーに参加しようと思ってるの?』
『はぁ!? 何言ってんだ! まだ父さんが亡くなって5年だぞ!』
『お兄ちゃん! お母さんの人生よ、応援してあげましょう!』
『バカ! この歳で、また再婚とかになったら恥ずかしくないのか?』
『ワタシはお母さんを応援するよ! もう十分、お母さん頑張ってきたじゃない!
お父さんが亡くなって5年! ずっと一人でお母さん頑張って来たんだよ
お兄ちゃん! もういい加減、お母さんの好きなようにさせてあげようよ。』
『・・・そ、そんなのは俺だって分かってるけど、』
『そうだよね、お兄ちゃんだって分かってるんだよね、でもやっぱりお母さんの
好きなようにこれからの人生を歩んでほしい!』
『・・・し、しほ、』
『いいじゃん! “新しいお父さんもありだとワタシは思うわ!”』
『・・・そ、そうだな、母さんの好きなようにすればいいよ。』
『“二人共ありがとう! お母さん頑張ってくるわね!”』
『1回で決めなくてもいいんだからね! 何回も参加してイイ人を見つければ
いいと思うよ!』
『ええ、そうね! そうするわ!』
『母さん、頑張れよ!』
『私は幸せ者よ! こんな素敵な子供達に恵まれたんですもの!』
『ワタシはお母さんの子供に産まれてきて良かった、ねえ? お兄ちゃん!』
『あぁ!』
こうして子供達の許可を受け、私は出会い系のバスツアーに参加したのです。
初めていくバスツアーに私は子供の頃に感じた遠足のようなワクワクした
気持ちが湧き上がりました。
前日はそのドキドキやワクワクで一睡も眠れず、、、。
バスの中では既ににぎやかな声が溢れていました。
私が座る席はバスの前から3列目窓側、隣には既に座っていた
優しそうな笑顔の男性でした。
私は貴方の隣の席だと言うと男性は一度立って私を窓側の席に座らせてくれ
ました。
『初めまして、前田苑子です。』
『初めまして、僕は岡田敏夫です。』
『なんか照れくさいですね。』
『バスツアーに参加するのは、初めてですか?』
『あぁ、はい、今日が初めてです。』
『じゃあ、一緒に楽しみましょうね。』
『そうですね。』
まさか? これが運命の人だとはその時の私には知るすべもありませんでした。
私と男性は見事に“カップル成立”し、その後も二人でよく会うようになりました。
私は彼の為に、朝からお弁当を作り公園に行ったりしてふたりの仲を深めていっ
たのです。
彼は現在68歳で、“奥さんを病気で10年前に亡くしたと話してくれました。”
彼の子供達も、【再婚】する事にも賛成だとも。
これは私の第二の人生のはじまりなんだと想うのです。
だって、熟年の恋愛で、“純愛”があると私はそう信じていますから。
久しぶりにドキドキ・ワクワクするようなそんな恋愛を熟年の私がしている
のです。
これからも彼と一緒に私は居たい!
こんな想いをしたのは? 亡くなった夫と彼だけです。
“女はいつまでも女!”
恋をしている時は、いつまでも乙女なのです。
例え? 私が現在65歳の孫もいるおばあちゃんであってもです。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。