それで、メイドカフェに行き始めた
僕は香港大学の天井に立って、向こうの邸宅を眺めていた。
「お金持ちの家だって、住みたいな。」と呟いていたときに、スマホが「チン」と鳴った。ああ、メールが届いた。
「もしかして……」と疑惑していたときに、その名前が見えた——バースハイム博士。やっぱり僕の論文なのか。ええ、昨日提出したばかりなのに、そんなに早くチェックしたの。さすが有名な中国歴史の博士だな。
「マーズさん、すみません。君の学術論文が掲載できる論文に足りないから、弊社は承りません。弊社の学術月刊は……」
はい、はい、「弊社の学術月刊は世界一で、適当に論文を承らない」とかとっくに分かった。腹立つよ。また拒まれたのか。
僕は嘆きながら、スマホをスクロールして、インプラを見ていた。「ある美しいコスプレーヤーをフォローしていたっけ。セクシーな人を見て、元気に戻ろう。ひひひ……」と言って、ストーリーを見ていた。
そのコスプレーヤーの名前はチヨ、綺麗で、スタイルがいい女の子だ。フォロワーが二万人ぐらいいるので、結構人気がある。彼女は今「ミルクココ」というメイドカフェで働いている。うらやましいな。僕もそういう成功な人になりたい。だが、人気がない僕は論文が一つも出せないままで「成功になりたい」なんて言えるものか。
これなんなの。
「初写真集が届いた。4時からミルクココにいるから、購買者は早く来てね。自分でサインしてあげるよ。」
「ええ。つまり、メイドカフェに行くわけなの。」
本当にびっくりした。学業を専念してから長年も訪ねなかった。こういう場所に行くのは個人的な発展を阻むから。
「だが、お金も払ったし、行かないわけにはいかないな。もったいないからね。」と思いながら、香港大学駅の入り口に行っていた。
「また長い行列なのか。」
あーあ、待つしかないか。
——
僕はマーズ。香港大学文学士の三年生で、中国歴史と日本研究を専攻している。
僕の夢は博士になることだ。なぜなら、小さいごろぽっちゃりしていたので、よくあざ笑われていた。
「豚野郎、黙れ」とか「太いお前には何ができるの」とか軽蔑された。その時、とっくに慣れて、特に気にしなかった。でも、怒りが少しずつ蓄積していたのが感じていた。
人生の節目は中学校二年生のとき、塾に好きな女の子ができた。最初は仲良くした。話しかけたら、ニコニコして返事していたので、「僕のことが好きなのか」と思わせた。そして、僕は告白した。
「は、誰がお前のことが好きなの。」
豚を見ているような目で僕を睨んだ。
「太いのくせに、そんな勇気があるのはお手上げだよ。」
その時、僕は淵に落ちたようだった。
そのあと、その子は僕を無視していた上に、ほかの生徒を率いて、僕をいじめていた。
とうとう怒りが押さえられなくて、決意した。
「俺はきっと成功な人になる。そして、お前らをつぶしてやる。」
その時から、毎日張り切って、成績が進歩した。最後に、香港大学に入った。ちなみに、高くなるにつれて(今172センチ)、やせた。まだ少し太いけどな。
僕は文系の人で、法律が専攻できるほど頭のいい人じゃない。ですから、成功のため、唯一の道は絶対に博士になるに違いない。
夢を叶えるため、大学の授業を受けながら、毎日研究して、論文を書く。学術月刊に論文を掲載された場合、自分の実力が示せて、研究院に入れるのだ。
友人と遊ぶ時間も娯楽の時間も無くなっても惜しまない。中学校二年生のときから、もう全部捨てた。
——
旺角にある「シノセンター」はオタクのパラダイスだ。ここは秋葉原のように様々なアニメグッズを売れている場所だ。
エレベーターに乗って、六階についた。
「ああ、暗い。ええ、そこかな。」
暗い廊下の一つのところに光っていた。少し歩くと、「ミルクココ」というロゴが目に映った。そのロゴの下にボタンがついていた。
「これを押したら、メイドさんはドアを開けるんだって。ああ、もう。ひとまず、ドアベルを押したら。」
突然、アニメのオープニングが鳴っていた。
びっくりした。ええ、まだ来ないの。
「じゃ、もう一回ドアベルを押してみたら……」
押すところに、ドアが開けられた。そこに、女の子の姿が現れた。
「ああ、お待たせしました。ああ、違うよ。セルフを間違えた。ご主人様、いらっしゃいませ。」
そう。この人はチヨに違いない。彼女は目が大きい。そして、髪の毛が長くて、色が黄金なのだ。少し接近したら、いい香りが出そう。ああ、でも、こってりと化粧しているね、顔も真っ白だし、唇も真っ赤だから。だからと言って、まだきれいなんだよ。その衣装もいいね。紫のメイド服を着ている。最後に、その胸もぷよぷよだよね……
「ご主人様、大丈夫なの。さっきからぼーっとしていたよ。」
チヨの一言は夢中になった僕を覚まさせた。僕は一体何だろう。なぜそんなに興奮しているの。何か言うならいいのか。
「チヨでしょうか。」
「はい、そうだけど……」
ああ、気まずい。じゃ、自己紹介をしたら。
「はい、マーズと申します。よろしくお願いします。」
「はい、マーズさん、よろしくね。」
ああ、面接なのか。何を考えていた。もっと気まずくなった。
思い込んだせいか、便秘のごとき顔をしていた。チヨは「ハハ」と笑って、返事していた。
「マーズさんは本当に面白い人だね。じゃ、今日なぜきたの。」
「チヨの写真集をとりに来たんです。」
「へえ。私のファンなの。知らないのに、まだ買ってくれるの。うれしいよ。」
「いえ。ファンとしてするべきことだけです。」
「そんなに硬い表現を使うのはなんだよ。面白い。」
チヨは大袈裟に笑っていた。話そうとしたところに、彼女は突然「ああ、すみません、今持ってくるね。
ひとまず、ここに座ってね」と謝って、着替え室に行った。
僕も座った。着替え室が見える椅子だった。
ええ、ブラは一体何色だろうか。セクシーの黒いか、もしくは、純潔な白いか。いかん。僕は一体何を考えているの。なぜ急にスケベになったの。
着替え室のドアが開けられて、チヨはある本をもって、僕に向かって歩いていた。
「じゃんじゃん、私の初めての写真集だよ。」
写真集のコーバーページはチヨのJK姿だった。素晴らしい。いや、また変なことを考えてはいかん。
チヨは透明のビニールパッケージを外して、写真集を開けて、ページ1に署名をしていた。
まあ、こんな時に何か言ったほうがいいだろう。
「チヨは写真集に満足していますか。」
チヨは不機嫌な顔のふりをして、答えていた。
「まあ、不満足なわけじゃないが、今一だと思うよ。」
「ええ、そういうきれいなのに、まだ満足していませんの。」
「褒めすぎましたよ。私は普通な女の子だけだよ。」
「謙虚な女の子だね」と思いながら、チヨは写真集を閉めて、渡してくれた。
「マーズさん、初めて会ったけど、いつも応援してくれてありがとうございました。本当に感激に堪えません。」
「いえ、どういたしまして。」
チヨは怒っている顔のふりをして、少し注意していた。
「ご主人様だから、丁寧語を使わなくてもいいよ。また使ったら、怒っちゃうからね。」
「はい、はい、わかり……」
チヨは黙って、じーっと僕を見ていた。普通体に変えないわけにはいかないね。
「はい、はい、わかった。」
「じゃ、飲み物を上げたらどうでしょうか。マーズさんは写真集をとりに来た第一人のことだし。」
まあ、まだ学校の課題があるが、断ったら、失礼だな。ああ、飲むしかないのか。
「じゃ、ブドウジュースにしよう。」
「はい、かしこまりました。少々お待ちください。」
そして、チヨは機械を動かした。機械の回転の音が鳴っているとともに、「最悪、まだ課題があるのに……」と小さな声で文句を言った。
——
「そしてね……」
ああ、どうしてこんな羽目になったの。
三十分前、チヨは飲み物を送ってくれてから、日本の旅行をはじめ、香港と日本の区別などのことを話していた。中学校ときのことのせいか、僕にとって、女の子と話し合うのが下手だ。
面倒なあ。性格が明るいので、予想通りおしゃべりだったが、そんなにおしゃべりな人だと思いもしなかった。
「マーズ、聞いてるの。」
やばい。僕はさっきから「はい」や「面白そう」などと言って、適当に返事をしたばかりで、怒らせるの。どうすればいいの。何とかなるか。
「は……」
答えようとしたときに、アニメのメドレーが鳴っていた。
「はい、待ってね。」
チヨはドアに飛ぶ出して、転ばんばかりにドアを開けた。
その時、彼女の前に数十人が立っていた。
「チヨたん、会いに来たよ。」
ある太くて、四角い眼鏡をかけた男の子はそういう風に話していた。
「ついでにチヨたんの写真集を取りに来たよ。」
と他の人が一緒に言った。
「ヘー。いつも応援してくれて、ありがとうね。」
そして、チヨは客を案内していた。
オタク目……ああ、違う、僕は批判の資格がないな。
「チヨたん、アイスコーヒーにする。」「チヨたん、メロンソーダが欲しいよ。」「チヨたん、マンゴジュースをお願い。」……
チヨは客のそばに行って、頼みを聞いていた。そして、その行為を何度も繰り返した。チヨは疲れようと、まだ微笑んで、飲み物を作りながら、客を話したり、笑ったり、していた。飲み物が仕上がったら、彼女は飲み物を送っていた。それから、チヨは写真集を送って、思い切り客と話していた。
「へ、さすがオタクだね、彼らの人生のうれしさはこういう風に得たものだ。」
最初あざ笑っていたが、チヨが客と話すほど、変な感じがした。
「あれ、どうも何が欠けそうな気がする。この空虚感はなんだろうか。」
まさか……放置されて、寂しくなったの。いや、僕はそういう風に満足感を得た人じゃないから……
或いは……これはチヨの効果なの。
僕はチヨから目をそらした。
——
その時、チヨは歩いてきた。
「マーズ、申し訳ございません。今日私だけがいて、忙しくなって、放置プレーになった。初めてミルクココに来たマーズに謝らないわけにはいかないね。」
気づいたの。
「いえ、大丈夫だ。僕より、ほかの顧客のほうが大切だろう。忠実なファンだから。」
「そういう風に言わないでください。どんなご主人様でも大切なんだ。ですから、私にとって、マーズもとても重要なんだ。」
チヨは真面目な顔でこの言葉を言っていた。
僕も大切なの……いや、これはメイドとしての建前のはずだから。
でも、心がドキドキしていた。
緊張過ぎて、この場面を抜け出すため、スマホを見ていた。そして、時間が目に入った。五時半なの。さっき何時に入ったっけ。四時だっけ。ミルクココの時間制限は確か二時間だよね。つまり、帰らなければならないわけだ。
「チヨ、そろそろ時間制限に立つので、チェキを撮ってもいいの。」
「驚いた。そういう規則も知っているの。初めてのメイドカフェ体験だと思った。」
「まあ、中学校の時に一応メイドカフェに行ったことがある。でも、忙しくなって、行きたくても、行けなくなった。」
「マーズは真面目なタイプだから、行ったことがあるとか思いもしなかった。」
僕は頭を下げて、「いつの間に真面目になっただろう」と考えさせられた。そっか、やっぱりその時のことだよね。
悲しいかもしれないので、チヨは元気づけた。
「真面目もいいことだよ。それより、チェキを取ろう。」
チヨに案内されて、小さい舞台に上った。チヨは他の客にカメラを持たせて、写真を撮った。
——
チヨはチェキを描いている。
努力の姿を見て、頭の中にある女の子が現れた。その子は赤いペンを持って、ゆっくりとチェキを描いていた。僕は「遅くない」とからかって、「もう一度言ったら、描いてあげないよ」と返事された。そして、皆は大げさに笑っていた。その子の名前も顔もあまり覚えていないのに、印象に深く残っているのは変だね。
そういえば、チヨは意外と素早く描いていた。
「チヨは描く速度は速いね。」
「私を訪ねるご主人様が増えるにつれて、チェキの数も増えていった。ご主人様を待たさないように、早く描かなければならない。」
「チヨさんは本当に一生懸命にご主人様のために働いているよね。」
チヨは聞くと、頭を上げて、赤いペンを机の上に置いて、笑っていた。
「お客様は一番大事だから。お客様のおかげで、私は今日の私になった。」
そして、彼女は両手でチェキを握って、手を伸ばしていた。取ろうとしたときに、チヨが話した。
「ですから、私にとって、マーズも大切なご主人様なのです。」
その一瞬、時間が止まったようだった。
その一言に心を打たれた。僕はチヨを注視していた。この女の子、星のようにキラキラと輝いているよ。
いや、彼女は星だ。見れば見るほど、心は温かさに包まれたようだった。あれ、この気持ちはなんだか懐かしい。僕は一体何だった。
「はい、どうぞ。」
「は……はい。」
変な気持ちのせいで、返事も片言になっちゃった。それはいかん。
僕は咄嗟にチェキを鞄に入れた。
——
「じゃ、僕たちは魔法を唱えて、ドアを開けましょう。」
ああ、魔法なのか。恥ずかしいよ。
「マーズ、私の動きをまねしてね。」
「はい、わかった。」
チヨは犬のまねをした。
「ワンワン。」
「ワンワン。」
「そして、猫だよ。にゃんにゃん。」
「にゃんにゃん。」
「手でハートを作って。よくやったよ、マーズ。じゃ、ドアにビーム。」
「ビーム。」
「はい、ドアを開けました。ありがとうございました。」
出ようとしたときに、チヨは呼び止めた。
「マーズ……」
僕は後ろを向いた。
「うん。」
「今日は楽しかった。また来てね。」
「うん。」
ドアが閉まった。
僕はエレベーターのボタンを押していた時に、呟いた。
「誰がこのオタクの領地に入りたいか……」
いや。
その瞬間、僕の指が止まった。チヨは頭に一つずつ重なった。初めて会った時にバタバタした顔も、話していた時にニコニコした顔も、怒らせたときに不機嫌な顔も、チェキを書いていた時に専念した顔も、全部頭の中に浮かんでいた。そして……
「今日は楽しかった。また来てね。」
この言葉は頭の中に大きく響いた。
この現象って何。説明があるの。なぜこんな様子になったの。
僕はスマホを開けて、どんなに調査しても、調べられなかった。でも、僕は意外と冷静だった。
「答えがなっかったら、俺は研究して、答えを見つけろ。」
と決意した。
——
僕はシノセンターの入り口の前に立っていた。
僕は鞄の中にチヨが書いてくれたチェキを取り出して、上の文字を読んでいた。
「マーズ、また来てね。」
「それに決まっただろう。君は僕の研究に貢献するから。すなわち、研究物だ。」
僕は旺角地下鉄のほうに歩きながら、密かに笑った。
ここまで読んでくださって誠にありがとうございました。
これは初の作品なので、書いていた時に緊張していた。それに、香港人なので、日本語はあまりよくないだけに、もっと緊張になった。
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