諦観と赤い宝石
結局、あの時は期が明けて、心の風邪を引いた子は、長期休暇となり、しばらく戻らないことになった。
この子は長期休暇後に一度戻って来てくれた。もう他部署に異動は決まっているが、今は引き継ぎで残ってくれている。
当時は入れ代わりに工場実習が終わった子が戻ってきた。
戦力的には不足だが、いないより全然マシである。
また、この子は雑用を嫌がらない。
才能も300人以上見てきたこの職種の中ではピカイチだ。
傲慢さが見え隠れするサイコパス系ではあるが、当時から預かっている新人よりは間違いなく仕事はできる。
ただそれだけで諸手を挙げて歓迎した。
「かの人」との2回目の喧嘩は、約2年前、過去のGWを挟んで行われた。これは期が明けて直ぐの話。「あの子」の長期休暇直前。
前期から続く、今期のノルマ達成は間に合わない、いや、今期に間に合わせたいの問答。「あの子」のこと。
「あの子」は空気を読み過ぎる。
だから、耐えられない。「白うさぎ」はそれを理解していないように見えた。相変わらず、表情は動かない。
結局、どうにかしたとはいえ、最後には新人の押し付け。
俺は当時、最高に苛立っていた。
特に前期「かの人」がまず放り投げたのが、ご自身の担当部署であり、1番重要だとわかっていながら1番面倒な部署だったことが、俺の苛立ちに拍車をかけていた。
しかもすでに美味しいとこだけかじってあった。この仕事の必要性の説明から、かじり残したゴミの清掃、まだ使えるもの探しから全部こっちがやれってか?クソッタレ!
前期はそれでもどうにかしたものの、このままでは、どうにもならないレベルになってしまっていた。会社の「屋台骨」。
俺は「この星々」が好きだった。
だから、どこか投げやりな白うさぎが、嫌だった。
傷ついた「綺麗な魂」。
きちんと、向き合っていれば、起こらなかった「喜劇」。




