表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/270

Sinfonie Nr. 9 d-moll op. 125

全ては終了し、後は退場のアナウンスを待つだけのはず。


しかし、もう一度「彼」が出てきた。

「彼」は、何か話をしている。


前半に出演された恰幅のいい「おじいちゃん」に言われたそうだ。どうやらもう一曲歌うらしい。


それも、急遽、2日前に決まったと。歌いたくないなら、歌わないと言う選択肢を取れよ、と思った。


正直、御両人とも還暦はとっくに過ぎたご年配には変わらないと思うが「彼」曰く何やら序列があるらしい。


とはいえ2日で準備とは、1番迷惑なのはオーケストラの方々だろうに、とは思った。まあ、傲岸不遜な「彼」でも勝てない相手がいるというのはどこか痛快だった。


そうして、残念ながら音楽は始まった。

今思えば、聴かなければよかったと思う。

もし、時を巻き戻せるなら、聞かない。


聴かなければ、まだ俺は苦悩の中で、眠っていられた。


俺は音楽に詳しくない。専門は「社会学」。

いわゆる「法律屋」。好きな音は「無音」。

集中力を妨げる音楽など、聴かない。


だから、流行りの曲も、使う楽器もさっぱりわからないが、その前奏は確かに、聴いたことがあった。


というか、遠い子供の頃の記憶に、確かに何処かでこの曲を聴いた覚えはあった。


成人してからも、薬物事件が起きるまで誰かが歌っていたり、街中で聴いたりしたことがあると、記憶に残っていた。


それは「彼ら」の代表曲だとわかった。

この「音楽家」の1番売れた曲。ピアノの前奏が印象的だった。


俺みたいな完全な門外漢ですら、前奏でわかるんだ。


すでに周りの反応は最高潮に達している。

感極まり、涙している人までいる。びびる。


そんなに好きか?還暦過ぎた「おじいさん」のバラードが?とか皮肉が口から出ない程度には、周りは本気である。


熱量が、ヤバい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ