記憶の糸
Ariaが始まり、美しいTenorの独唱によりMauerfallを祝うように。
壊れた美を賛美するように。
O Freunde, nicht diese Töne!
Sondern laßt uns angenehmere
anstimmen und freudenvollere.
残念ながら、想定したよりも随分と早く着いた。
なんでだよ。いい加減にしてくれと言いたい。
仕方ない。生まれ故郷とは言いたかないが、そう言える東側の東京の街を久しぶりに徘徊する。
今回は時間を見ても、どうせならと、行きたい場所全部は回りきれないな。
上野から秋葉原まで。
子供時代から高校時代まで過ごした時間から変わらない場所もあれば、あまりにも大きく変わった場所もある。
まあ、俺が子供のあの頃はスカイツリーなんてなくて、東武線の資材置き場だったか?
きらきら立花通りまでの道なんぞは、しょんべん横丁なんて言われていたのに、今や小綺麗なもんだ。どこだここ?
相変わらず変わらないのは、電気ブランと天丼屋、紫色の激安ショップぐらいか。すっかりお洒落になったもんだ。
俺のはじめての賞与は、上野のうさぎ屋のどら焼きだったことを思い出した。お陰で、どら焼きが嫌いになった。反吐が出る。
そう、正直に認めよう。
俺はまだ、決めかねていた。
自分の気持ちに。チケットに向き合う勇気が出ない。
だから、自分の過去を遡るように、ふらふらしている。
どうにも、ならない。
困った時の神頼み、というわけでふらつく先々で神様と仏様と併せて合計3箇所でおみくじを引いてみた。
気味が悪い。あまりにも。
ああ、気持ち悪いほどに困ったことに全部答えは「小吉」であった。
そして中身は大略、全部のおみくじは言う「今は成り行きに任せろ」と。
・・・くじ引きすらクソッタレとは、上は全部グルだとは社会常識とはいえ、ちったぁ変えてくれよ。
天上ってやつまで、社会常識か。くそったれ。




