神は自ら助くる者に手を差し伸べる
それは喜劇の始まりの終わり。
年末コンサートでSinfonie Nr. 9 d-moll op. 125が演奏され「An die Freude」が流れ始めるように。
ずっと俺は迷っていた。
昇進昇格試験に失敗してから。今の仕事は楽しい。きちんとやりがいもある。
他部署からは応援もされていたし、実績評価もされていた。
だが、自部署からは評価もされず、ただ実績を否定され、見込んでいた昇進昇格試験時の支援は想定していた以上に無かった。
自部署からも仕事への評価は高かった。単に、俺以上に俺の職位か職制以下でやれるならやってみろで返答して誰も出来なかったというオチである。俺より職位が上の奴が出来ない仕事を俺に回すな。馬鹿馬鹿しい。
しかし今後どれだけ会社に尽くしても、瞬く星にはなれそうにない。
下らない頭を下げ続ける給料はもらっていない。正直に愛想が尽きた。
そう、理解してしまっていた。俺は上がれないと。だから今回のは俺の実力だけでいけるかという挑戦でしかなかった。結果は実力も準備も不足していた。ただ、それだけ。
そう、本当は無理だとわかっていた。何故なら自部署が俺を見放した事件はずっと前にあった。だから支援がなかった。
とある偉い人は言う「時間が解決する」と。
だが、それは裏側を知らないからだ。
他部署からすれば実力のない上位者がマネージメントに失敗して、下位者に追求されただけの話だ。
人事部にはこの引き金になった事件について、俺から見たものとメールは渡してある。そして、相手に確認して欲しいと願った。人事部のお偉い様は呆れていたが。俺も上司も問題だとさ。ただ、俺が「引責」する理由はないとは言われた。
とはいえ、自部署からしたら決して俺を許せないだろう。
特に「クマ」と「白うさぎ」は、絶対に俺を許さない。
大体、次に受けれたとしても、俺は既に初老だ。筆記試験だって怪しい。記憶力も気力も、失われていく。
それに今から俺を追い出したくて仕方ない、俺にとっては単なる敵共に頭下げて時間が解決する可能性に賭けろ、は気持ち的に嫌で仕方なかった。




