まずは肉串40本
「ワルムンドだと?ドワーフの国ではないか」と苦虫を噛みつぶしたような顔をするココ。「あ奴らは悪いやつではないのだが、何とも融通が利かん頑固者でどうにも相性が悪い」と言う。
「それって似たもの同・・・・(士)・・」と僕のつぶやきが言い終わらないうちに、
「何じゃ」とギロリと睨んでくる。(聞こえてたんだ)
「・・・・いや、何でもないです。はい。・・・・さぁ、長旅だいろいろ買い物するぞー」とごまかすように言う。
疑わしそうに僕を見ていたが、僕に答えるつもりがないことを見て取って『フン』と鼻を鳴らす。
「この間の唐揚げやカツは旨かったな」とチラリと横目で見る。
「はいはい、コケッコの肉とオークの肉ですね。唐揚げやカツ、シチューが作れるようにたくさん買っておこう。後はここでしか買えないような調味料とか買っておきたいな」
どれくらいの旅になるか分からないのでいろいろ考えていると、
「肉―。いっぱーい」「時々甘いものも食べたいにゃ」とリクエストが出る。
「よし、明日にしたらまた何かありそうだから、このまま買い物して宿に戻るか」と市場に向かう。
夕方も遅い時間になっていたが、夕飯を買い求める客などでにぎわっていた。
「そっかぁ、マジックバックは時間の経過もないから、出来上がったものを買うのもいいかな」とつぶやくと、
「なんだと、それでは買い放題ではないか!」「やったぁー」「これが上手そうにゃ」と3人のスイッチが入ってしまった。
「え、ちょっと」と言ってももう時すでに遅し・・・・。3人はぴゅーとウキウキで行ってしまった。
「はぁ、ちょっと待てよ。お金を払わないとダメだぞ」と慌てて後を追いかける。
まず追いついたのはリュー。匂いに誘われて肉串を焼いている店の前でフワフワと浮いていた。
肉を一生懸命焼いている店主が「はぁ」と額の汗をぬぐいながら顔を上げると、浮かんでるドラゴンと目が合う。
「ひぃっ!」と悲鳴を上げる店主に「すみません、すみません」と声をかける。
「リューはこれがいのか?」と聞くと、「いい匂いー。美味しそうー。皆も喜ぶー」とお気に召した様子。
「これ40本もらえますか?」と店主に言う。
「そんなに買ってくれるのか。ありがとよ。味はどうする?塩とタレがあるぞ?」と驚きを隠したところはさすが商売人。
「じゃあ塩とタレを半分ずつでお願いします」と頼む。
「おう、ちょっと待ってろ」と焼いてあったものを温めなおした後「ほらよ」と渡される。
「一本銅貨1枚だから40本で銀貨4枚ですね」と支払いを終え、2人を探す。
「いないなぁ、どこ行ったんだろ」とキョロキョロしてると、リューが「こっちにいるよー」と屋台の奥に進んで行く。「おい、ちょっと」と後を付いて行くと、甘い匂いがする店の前でラングがじっと立っていた。
「ラング、探したよ。いい匂いがするね」と声をかけると、「おいらはこれがいいにゃー」とルンルンで指をさす。その店は何と読むのか分からないが『ベビーカステラ』と書いてあった。




