伝説のエリクサー?
ギルドカウンターの横、いつもだと食事の為の机や椅子が置かれている場所に負傷者たちが横になっていた。
腕や足には血が滲み、顔のあちこちに包帯が巻かれている為顔色も良く分からず、うめき声だけが響く。
傷のいくつかは毒の影響だろう変色して黒くなっている部分もあり、数名はすでに浅い息になっている。
「ここまでとは・・・・・」と言葉も出ないギルティス。
「マスター、早く!」と僕も焦って言葉をかける。
「そうだな。効果があるといいが」と、黒くなった傷が一番多い冒険者にポーションをかける。
「・・・・・・どうだ。効果があるか・・・・」
すると、黒くなった部分が次第に薄くなっていき傷が塞がっていった。
「・・・・・まじか・・・・・」と自分が手にしているビンをまじまじと見るギルティス。
見ると少し底に残っており、それを口から飲ませる。
(先に飲ませると、飲み込むことができずに危ないからな)
浅い息をしていた冒険者の土気色だった顔色がうっすら戻り、苦痛に歪んでいた顔が穏やかになる。
「これで大丈夫だろう。間に合って良かった」とホッとした様子。
「すげぇ、あれはもしかして伝説のエリクサーか?」と周りからは驚きの声が上がる。
冒険者たちの視線がギルティスと負傷者に集まっている時に、こっそりポーションを量産しておく。
(これでとりあえずここにいる怪我人の分は足りるかな)と思っていると、
「おい、そこの冒険者。ギルドの奥にまだこのポーションがあるから取ってこい」とギルティスが僕に向かって言う。
「(こいつの効果は異常だ。誰かが作ったとバレるとかなりまずい。まったく、あいつは何者なんだ)おい、早くしろ!」と僕を見つめる。
心得たとばかりに「はい!」とだけ返事をして奥に行く。誰も付いてきていないのを確認して、バックからポーションを出す。近くにギルドのマークが入った木箱があったのでそれに入れて持っていく。
「よし。まさか盗んだりしてないだろうな」と周りの目を気にして言うギルティス。
「そんなことしません」と僕も話を合わせて言う。
「おい、お前ら。手分けしてさっきみたいにポーションを使え。まず体にかけて傷を治してから飲ませろ。先に飲ませたら窒息するぞ。貴重なポーションだ。飲ませる分を残してかけるんだぞ」と注意しながらポーションを配る。
いくつかのパーティーが狩りをしていたという事で、逃げ切ることができた冒険者が負傷した仲間の手当てをする。
「おい、頑張れ。これで大丈夫だぞ」
「少し飲んで。楽になるから」と声をか、それぞれポーションを使う。
騒然としていたギルド内に安堵の雰囲気が漂い始め、ホッとしていた時に
「怪我人の容態は!」とギルドの扉が『バーン』と開いた。
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