お前が一番「何者だ」
「ワイバーンか。空を飛ぶ竜種とされているがあまりに知能が低く、本能のままに餌をむさぼる者よのぉ」とココ。
「ワイバーンを僕たちと一緒にするなー!」と珍しくプンプン怒っているリュー。
「ほぅ、お主もそう思うか」
「ただ空飛んでるだけの奴―」と不満を露にする。
「そうか、お前たちがいたな」と部屋から飛び出さんばかりの勢いで踏み出した足を部屋の中に向き直って言う。
「すまんが早速の依頼だ。ワイバーンだが行ってもらうぞ」
「ワイバーンなど朝飯前じゃ」
「どっちが強いか教えてくるー」とやる気満々の2人。
「だそうなんで、行きますよ」と苦笑いの僕。「あっ、そうだ。もうひとつお役に立てるかもしれません。ギルドに置いてあったのは通常の毒消しポーションですよね?」とギルティスに尋ねる。
「毒消しポーションにランクは無い。なので通常かと言われると『そうだ』としか言えんな」
「そうなんですね。そうしたら、もう少しだけ効果をプラスした物を作れるかもしれません」
「作る?」
「ちょっと待ってくださいね。最近作ってないので材料を思い出します。(しまった、もうちょっと在庫を作ってればよかったな)えーっと、中級ポーション+に毒消しの効果を足してみよう」と考えながら、マジックバックに手を入れる。袋がボゥッと淡く光る。光が収まると手の中にビンの感触があった。とりあえず、確認してみる。
《鑑定 中級毒消しポーション 中級ポーション+に毒消し効果を追加したもの。めったにお目にかかれない一品。誰が作ったか内緒にしましょう》
(あっ、これはヤバかったかな・・・・でもこれで助かるなら)
「これでどうでしょうか。効果があれば人数分だけ追加で作ります」とビンを差し出す。
「『どうでしょうか』ってお前なぁ。・・・・・はぁ。もう何を言ってもしょうがないが、お前が一番『何者だ』って感じだな」と呆れ顔のギルティス。
「とりあえず、受付まで戻るぞ」と全員で向かう。
カウンターまで戻ると、奥まで騒ぎが聞こえてこなかったのが不思議なくらい騒然としていた。
「おい!治癒師はまだか!」
「こっちに包帯をよこせ!違うそれじゃない!」
「ワイバーンだってよ。しかも変異種らしい。誰が行くんだよ・・・・」
「俺は無理だぜ、こんなの・・・」
「Bランク以上は出払っていて、どうやらCランクに要請が出るらしいぜ。俺Dランクでよかった」
など様々な声が飛び交っている。まるで戦場のような有様に目を開いて固まってしまう僕。そんな僕の隣で、
「何、ワイバーンなど落としてしまえばそこらのトカゲと一緒。毒が多く、焼いても食えぬのが残念じゃがの」
「ピューッて行って、ドゴーンで終わりだよー」と何とも勇ましい会話が繰り広げられていた。
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