猫鍋亭
「えーっと、ここかな」ギルドのミーシャお勧めの宿『猫鍋亭』。こじんまりとしているが、清潔そうな宿だった。
「ギルドの紹介で来たんだけど、従魔と一緒に泊まれるかな?」と受付で声をかけると、奥の方から「はーい」と声がして猫耳が歩いてきた。
思わず現れた猫耳にぽかーんとしていると「お兄さん、獣人は初めて?」と聞かれてしまった。
「すみません」と答えると「いいさ、いいいさ。私たちは慣れっこだから。お兄さんは冒険者かい?何泊する?」
と猫耳の奥さんが聞いてきた。
「コータといいます。従魔のリューと一緒に1週間ほど泊まりたいのですが、一泊はいくらになりますか?」
「そうだねぇ、あんたの従魔は小さいから同じ部屋でいいだろう。夕飯と朝食をつけて1泊銀貨4枚だね」
(薬草も売れたし、良さそうな宿だ。ここにするか)
「じゃあ、とりあえず1週間でお願いします。金貨2枚と銀貨8枚ですね」
「はい、どうも。2階のはじっこの部屋だよ。カギはこれね。夕飯はこの時間ならいつでも食べられるよ」
奥さん(後から聞いたらナタリーさんというらしい)に教えてもらって、2階の部屋に入る。
広くはないが清潔そうでこじんまりとした部屋だ。久しぶりのベッドもある。
ベッドの誘惑を振り切って、「お腹が空いた」と騒ぐリューと一緒に食堂へ行く。
ワイワイにぎやかな食堂の隅に席を見つけて座る。
注文は・・・と見まわしていると「お兄さん、決まった?」と小さい猫耳が歩いてきた。
「えっと」
「私はリリー。お父さんのお手伝いをしてるの。お兄さんは新しい人?お父さんの作る料理は絶品だよ。今日のお勧めはバイソンのシチュー」
「じゃあそれを頼もうかな。2人分ね」
「お兄さんとそのドラゴンのぶんね。わかったー。」とリリーはとてとてっと行ってしまった。
温かい雰囲気の賑やかだけど落ち着く感じの食堂。ハイネの家でみんなで囲む食卓を思い出す。
「おまたせー。バイソンのシチューね。で、パンとサラダ。水はあそこにあるから自分で取ってね」
リリーが持ってきたのは、見ただけでよく煮込まれているのが分かるトロトロのシチューとこんがり焼けたパン、
彩り豊かなサラダだった。
「うまそー。早く食べよー」とリューも待ちきれない様子。
「いただきます」とシチューを一口食べると目を見開いてしまうほどの旨さだった。
「美味しいでしょ。うちの父さん「お客さんに旨いものを食べて欲しい」って自分で狩りに行っちゃうの。だから鮮度抜群で美味しいんだよ」とリリーは自慢げに言い残して次のお客の所に行ってしまった。
食べきれるか心配するほどの量だったが、あまりの旨さにあっという間に完食してしまった。
「あぁ、お腹いっぱいだー」とベッドに横になると、久しぶりの布団にホットしたのかそのまま寝てしまった。
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