リューっていったい
狐が醸し出す神々しい雰囲気に近づいて良いものかどうか迷っていると、
ラングが「大丈夫にゃー」と言って、銀色の大きな狐に近づいていく。
「紹介するにゃ、こちらは『天狐』。天狐、こっちはおいらの仲間のコータとリューにゃ」
「ほぅ、おぬしがケットシーの主か。ここで会ったのは偶然じゃが、こ奴には世話になった。そっちにいるのはドラゴンじゃな」とリューに視線を移す天狐。
リューを見るなり、「お前は!何でここに!いや、まさか・・・」と驚いた様子の天狐。
「リューが何か?」とコータが聞くと、
「いや、なんでもない・・・」と口ごもって教えてくれない。『これ以上何も聞いてくれるな』というような感じだった。
(リューっていったい・・・・)リューを見る人は皆、見たことが無い色だと言う。確かに、子どものドラゴンのわりにとても強い。ドラゴンを初めて見たコータは(ドラゴンってやっぱり小さくても強いんだな)と思ってたが、何やら別の事情があるのかもしれない。
(リューはリューだ。じいちゃんに会った時に聞いてみよう)
考え込んでいるコータの事を天狐はじっと見ている。
コータと天狐との空気に全く気づかないラングが「コータ、ギルドに早くいくにゃん」と急かす。
「そうだった。えっと『社の天狐が呼んでる』って言えば、来てくれるんだよね?」
「そうじゃ、昔の事じゃがあ奴は覚えているだろうて。すっ飛んでくるじゃろうのぉ」と嬉しそうな天狐。
「急いで行ってきます。いくぞ、リュー、ラング」
「はーい」「はいにゃ」と3人は階段を駆け上がっていく。
そんな3人の後姿を見ながら「人間の子よ、そなたは良い素質を持っておる。そのものを正しく導いてやるのじゃよ」という天狐のつぶやきは、あまりに小さくてコータには届かなかった。
階段を駆け上がり、アジトを出てギルドに向かう。
「えっと、どっちだっけ・・・」
「迷子にゃ?」
「いいや、大丈夫。『サーチ』」と覚えたスキルを使い、ギルドへの案内をしてもらう。
「便利なんだにゃ」
明るい外に出て改めてラングを見る。疲れてるように見えるが怪我もなく本当によかった。
「そうだ、ラング。服を持ってきたんだ。着るかい?」
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