童は『社の天狐』
そろそろ解決に向かいます。
「ばかな盗人達じゃの。童を誰だと思っておる」と静かな怒りを秘めた瞳で商人たちを見る。
「天狐の妖術か!」
「ばかな。妖力は封じていたはずだ」
「この童の力を封じるなどまったく忌々しい術じゃったが、こやつが捕らえられたおかげで助かった」
天狐の後ろから顔を見せるラング。もちろん2本の足で立っている。
「お前は・・・・・。やっぱりケットシーだったんだな。ちくしょう!」と歯をギリギリ言わせながら悔しがるお頭。
「俺たちをどうする気だ」と睨みながら聞いてくる。
「そうだなぁ。ここで噛み殺してやるのは簡単だが、それをしてはお前たち盗人と同じことになってしまう。まぁ、腕や足が多少無くなっていても生きていくには困らんだろうがな」とわざとニヤっと笑い、並んだ大きな歯を見せる天狐。
思いもかけず、物騒な話になり『ギョッ』とした様子のお頭たち。睨みつけていた目の奥に脅えが現れ、「ひぃっ」と壁際まで下がっていく。
そんなお頭たちの様子をニヤニヤ笑って見ている天狐。
「その辺にしとくにゃ。役人を呼ぶか、冒険者ギルドに行って話をしてくるにゃ。盗人だったら賞金首になってるかもしれないにゃ」
ラングの話を聞きながら『役人を呼ぶ』という言葉で商人が安心したように肩を下ろすのを天狐は見逃さなかった。
「役人はいかん。ギルドマスターを呼べ。『社の天狐』が呼んでいると言えば、あ奴はすぐに飛んでくるじゃろうて」と昔を思い出したかのように『クツクツ』と笑う天狐。
「わかったにゃ。急いで行ってくるから、待ってるにゃ」と階段に向かうラング。
ラングが階段を上がろうとするのとほぼ同時に、何者かが階段を駆け下りてきた。
(そう言えば、今日はまだ部下の姿を見てないにゃ。すっかり忘れてたにゃ・・・・)
と身構えるラング。
(来たにゃ)と力を入れた時に、何かが『ピュッ』と飛んできた。
(避けきれないにゃ!)と思わず目をつぶる。
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