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吹き抜けた風

従魔の連れ去り事件。思いのほか長くなってしまいました。

そろそろ決着します。たぶん・・・。

姿を見せたのはでっぷりと太って豪華な服を身にまとった男だった。どうやら商人らしい。

その男に、「へぇ、ここに閉じ込めておりやす。風呂で酔っぱらってたところを捕まえて、悪さしねえように妖力も封じてやりました」と得意気に話すお頭。


「美しい銀の毛。高貴な眼差し。これは本当に高く売れそうだ。どこに売りつけてやろうかのぉ。ひっひっひ」と下卑た笑いの商人。


「わしらの取り分はいかほどで・・・」と揉み手をしながら聞くお頭。めったにない代物で儲けが期待できる。

「よい買い物じゃ。金貨100枚でどうじゃ」といかにも高額な支払いだと言わんばかりに声を張り上げる。


「へっ、そんなもんですかい?天狐はそうそうお目にかかれるもんじゃないですぜ」と不満げに言うお頭の話にかぶせるように

「煩い!わしが買い取らんかったらこんなもの誰が買うんじゃ!表へ出て売ってみろ、お前たちの悪事がばれて磔にされるのは間違いなしじゃ。文句があるなら値を下げるぞ!」と唾を飛ばしながら畳み掛けるように言う。


「とんでもない。100枚で結構です。へい」(足元見やがって、ちくしょう)と商人を睨みながら答えるお頭。

そんなお頭の思いを見透かして「まだ何か言いたそうだなぁ」と商人。


焦るお頭は「いえ、あの・・どうでしょう、もう少し近くでご覧になっては」とごまかすように勧める。

「そうじゃのぉ、お前たちがごまかしてるとは思えんが、近くで鑑定して確認することにしよう」と頭と商人の2人が檻の鍵を『ガチャリ』と開けて中へ入る。奥の天狐は身じろぎもせず、こっちを見ている。


数歩進んだところで2人の脇を風が通り抜けた。

突然の風に「なんじゃ(だ)」と目をつむる2人。

その風が吹き抜けた先には檻の入口があった。開いていたはずの扉が閉まり、『ガチャリ』と鍵がかかる。


「何だ!何で閉まった!」と2人が慌てて入口に向かい扉を揺さぶる。

「おい、お前ここの鍵はどうした?」と商人。

「へぇ、開けたときに刺したままで・・・・」とお頭。

「何だと!では出られないではないか!」と突然の出来事に至極ご立腹の商人。


2人でいろいろ言いあいをしている2人の前に「ふぉっふぉっふぉ・・・」とこみ上げる笑いを抑えきれず、天狐が姿を現す。

突然目の前(檻の向こう側)に現れた天狐を見て、狐につままれたようなかおをしている2人。

それを見て「はっはっは」とさらに笑う天狐。


「お前は!」「天狐か!」と目を見開いて言う2人。

「何でだ。こっちにいたはずじゃ・・・」とお頭が奥の方を見ると、先ほどまで見えていた銀色の毛並みはいずこかへ消え、ただ暗い壁があるだけだった。


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