淡く照らす月 ラング視点 その4
話の区切りが良かったので、今日は短めの話になっています。
歌声が小さくなり、やがて止まった。ラングの体の光も収まった。
「ふぅ、どうかにゃ。さすがのおいらも疲れたにゃ」と背中を丸めて座り込むラング。
「さすがケットシーだのぉ。童の傷がすっかり癒えてしもうた。封じられていた妖力も戻ったわい」とスクッと立ち上がる天狐。痛みもなく動く手足を見つめる。
シュッとした足にフサフサの銀の毛皮。ピンと立った耳に鋭い眼差し。天狐の証である幾重にも分かれた尻尾。ゆらゆらと立ち上る妖力に魅入られたかのように見つめるラング。
「綺麗だにゃ・・・・・・」とつぶやくように言葉が出る。
「貴様のおかげで、ほれこの通りじゃ。感謝するぞい」と嬉しそうな天狐。
「元気になってよかったにゃ。捕まったのがおいらで良かったんだにゃ」とホッとしたように答えるが魔力の使い過ぎで今にも倒れそうなラング。
「童のためにすまぬな。少し休むがよい」と天狐が少し心配したように声をかける。
「そうするにゃ。もう起きてられないにゃ」と蹲るように丸くなるラング。
そんなラングを見て、すまなさそうに目を細めながら傍らに寝そべり、幾重もの尻尾で優しくラングを包み込む。
「礼を言うぞ。今はゆっくり休むとよい」そういうと、天狐も目を閉じ眠りに落ちていった。
傷ついた上に妖力を封じられ、天狐もずいぶん弱ってしまっていたのだ。
檻の隙間から差し込む淡い月の光が2人をねぎらうかのように照らしている。
ふと目を覚ますと、なんだかフワフワ温かい。
(何にゃ?)と顔をあげると目の前にはフサフサの尻尾があった。視線を動かすと、穏やかな顔で寝ている天狐。
(元気になって本当に良かったにゃ。久しぶりに仲間と寝ているようでフサフサが温かいにゃ)ともう一度眠りに落ちていくラングだった。
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頑張って書きます!




