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犯人は月見酒

桶で水を汲みリューの体にゆっくりかける。「リュー、起きろ!リュー」と声をかけるが、目をうつろにしか開けない。


「ラング、カウンターにいるヒナタを呼んできてくれ!」と頼む。

「わかったにゃ。いそいで行ってくるから待ってるにゃ」と濡れた体のまま猛ダッシュのラング。


「リュー、もうすぐ助けが来るからな」(ヒナタはお医者さんじゃないけど、こうなった時にどうしたらいいかは知ってるはずだ)と水をかけ続けていると、次第にリューの視線がはっきりしてきた。


なるべく揺さぶらないようにして「リュー、大丈夫か?僕の事わかる?」と聞く。

「コータ。どうして、泣いてる?」とリュー。知らない間に僕の目から涙が出ていたようだ。

「何でもない。リューが全然起きないからびっくりしたよ」と腕で涙をぬぐい何でもない風を装う。


「うーん、お風呂に入ってコータがなかなか来ないなーと思ってたら、あそこにお水が置いてあったから飲んだのー。そうしたら眠たくなっちゃったー」とリュー。

(あそこ?)とリューが指す方を見ると、


『お風呂のお供に月見酒はいかがですか。宿からのサービスです』と書いてあり、大きな徳利とコップが置いてあった。

「お前、これ飲んだのか?」と聞くと

「うん。美味しかったから、いっぱい飲んじゃったー」とリュー。

(あんなに心配したのに・・・・・。僕の涙を返せ!・・・でもまぁ、大事にならなくてよかったよ)


「お前なぁ、ラングも心配してヒナタを呼びに行ってくれたんだぞ。戻ってきたら謝れよな」

「むぅー、ごめんなさいー」


「そう言えば、ラングが戻ってくるの遅いなぁ。宿のカウンターだから直ぐに戻ってくると思ったのにな」

と風呂場の入口の方を見る。

「まぁ、そのうち戻ってくるだろう。すっかり体が冷めちゃった。せっかくの檜風呂なんだから僕もゆっくり入ってみよう。リューはそこで涼んでろよ」

とリューに声をかけ、檜風呂に入る。


従魔たちが入るとはいえ、今は誰もおらず静かに入れる。ちょうどいい湯加減でザブンと肩までつかると、「はぁ」と息がもれる。風呂の縁に頭をもたれかけて空を見上げるとこぼれ落ちそうな星空が広がっている。「この空が父さんや母さん、じいちゃんの上にも広がってるんだなぁ」と何だか考えてしまった。


あんまり長湯をすると僕ものぼせてしまうので、ほどほどにして湯から出る。

「ラング遅いなぁ。どこまで行ったんだあいつ」(まさか、また何かやらかしてるんじゃないだろうか)と少し心配になり、急いで体を拭いて脱衣場に戻り、服を着る。

「濡れた服は後で部屋に干しておこう。リューもう大丈夫か?」と一応、リューの様子も確認する。


「もう大丈夫―。何食べる?」(いや、食べないし・・・・)

「ラングが戻ってこないから、ヒナタの所に行ってみよう」と宿のカウンターに向かう。


☆☆☆☆☆に

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