風呂で寝たら危ないぞ
檜で作られている湯船からはお湯があふれ、湯気が周りに漂っている。宿の外になっているのだろうが、周りから見えないように、背の高い木がたくさん植えられている。上を見ると満点の星空で何だか吸い込まれそうだ。
自然に「ほぅ」っとため息がでた。
「良いお風呂だにゃん」「お湯がいっぱーい」と2人も大喜び。
「早く体を洗って湯船につかろう。まずはリューだな。ラングは自分で洗えるだろう?」
「手が届くところなら洗えるにゃん。後で背中だけ洗ってほしいにゃん」と早速石鹸を手に取って楽しそうに泡立て始める。
嫌な予感がしたので、「ラング、歌うなよ」と前もって釘をさしておく。ラングの背中がビクッとしたので、油断していたのが良く分かった。(まったく・・・こりないやつめ・・・)
「リュー、特に洗って欲しいところとかあるか?」と聞いてみる。
「うーん、首の後ろと背中かな」という事だったので、洗い場にあった『従魔用にどうぞ』と書かれているブラシで擦ってやる。
「あー、もうちょっと後ろ。そこは力入れて」など、洗いだしたらなかなか注文が多い。一生懸命に洗っていると腕が疲れてきた。
「リュー、さすがにしんどくなってきた。どうかな、もういいか?」
「うーん、もうちょっとゴシゴシしてほしい気もするけど、大丈夫。コータ、ありがとー」と許してもらえた。
「僕も体を洗って、服を洗うから先に湯船に入ってていいよ」とリューに言うと、
「わかったー」と湯船に突入。ザブーンと豪快に湯を溢れさせていた。
「他の人がいる時にはやるなよ」と声をかけたがスイスイ泳いでご機嫌。(聞いてないな絶対。っていうかリューは泳げるのか)
自分の体をタオルで洗い、服もザブザブ洗う。ゆすいだらギュッと絞って桶に入れる。
「ラング、どうだ。洗えたか?」とラングを見ると、泡お化けがふり向いた。
「お前、やりすぎだろ」と苦笑いしつつ声をかけるが、当の本人(猫?)は
「とってもいい匂いなんだにゃん」とご満悦。リクエストの通り、泡だらけの背中を洗ってやる。
「お湯で流すぞ」と声をかけて湯をかける。
耳を倒してギュッと手で押さえるラング。泡が流され毛がピタッとしている姿を見て、
「お前、そんなに瘦せてたっけ?」と思わず聞いてしまった。
「フサフサの毛皮の動物あるあるにゃ。おいらそんなに太っちょじゃないにゃ」とフン!と鼻を鳴らすラング。
「悪い悪い、嫌な意味じゃないんだ。今度また腹いっぱい食べような」
「ホントかにゃ!絶対忘れるんじゃにゃいよ!」と今度は鼻息が荒くなる。(まったく忙しいやつだ)
ラングとのやり取りが長くなり、「リュー、遅くなっちゃった。湯加減はどうだ?」とリューを探すと、湯船の端に浮かんでいた。
「なんだ、寝てるのか?風呂で寝たら危ないぞ」と頬を叩くと、目を開けたリュー。
「コータ、遅いよー。俺熱くなっちゃったー」とまた目を閉じる。
「リュー、大丈夫か!?」とペチペチ頬を叩くが、目を開けないリュー。慌てて抱え上げて洗い場に寝かせる。
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