王都の冒険者ギルド
「儂はこの南の門を守る衛兵部隊の隊長ムアコムと申す。何の騒ぎかと思って来てみれば『ドラゴンがいる』と言うではないか。おぬしの足元にいるのがそうか?」
「はい・・・リューと言います」厳つい顔のムアコムにギロッと覗き込まれ、僕の後ろに隠れるリュー。
「ハハハッ・・。何とも臆病なドラゴンだな。この様子では何も悪さなどできんだろう。入って良いぞ」言った後もクツクツと笑うムアコム。
リューを馬鹿にされたみたいでちょっと腹が立ったけど、何か言い返すのも怖いので「ありがとうございます」と通してもらう。
(ラングの事は聞かれなくてよかった)とホッとしていると、
「ちょっと待て」と呼び止められ、
「はい!?(やばい!なんだ?)」と声がひっくり返りながら返事をしてしまった。(怪しい・・・よな)
「最近王都の中で従魔の連れ去り事件が多発している。おぬしのそのドラゴン、従魔として希少だから十分気をつけるんだな」
(なんだ、見た目より優しいのか?)「はい、気をつけます。ありがとうございます」(ラングの事じゃなくてよかったぁ)と胸をなでおろす。
何とか無事に王都に入れた。「ブリジッタにもらった板切れは使わなかったな。僕の事を心配してくれたんだから後でお礼をしに行かなきゃ。とりあえず冒険者ギルドでいくつか素材を換金して、宿を教えてもらおう。ラングの従魔登録もしなきゃだしね」
道行く人に冒険者ギルドの場所を訪ね向かう。
「しっかし、さすが王都。すごい人だなぁ。道も石畳で歩きやすいし、店も家もでっかい。これぞ『王都』って感じだ」思わず周りをキョロキョロ見回してしまう。
もうそろそろ夕飯を作り始める時間。道端の露店や商店、家々の窓から美味しそうな匂いが漂ってくる。
「なんだかお腹が空いたなぁ。たくさん歩いて疲れたし、ギルドで宿を教えてもらって荷物を置いたら飯にしよう」と言うと、
「わーい」「やったにゃん」と2人。
「そうだ、ラング。もう王都に入れたし、元の大きさになってもいいよ」と声をかけると
「分かったにゃーん」と僕の肩の上からクルリンと回りながら降りるラング。回りながら元の大きさに戻り着地する。ちょうど横を歩いていた人が突然現れたラングに『ギョッ』としていたが、「なんだ、ネコか」とそのまま歩き去って行った。(ふぅ、危ない危ない)
いろんな店を横目で見ながら歩いていると、ドドーンと迫力のある大きな建物が見えてきた。
「ここが王都の冒険者ギルド・・・」
確かに、屈強そうな男たちが出入りしている。杖を持った魔法使いらしき人や、治癒師のようなローブを着た人もいる。
「よし、行こう」とちょっとだけ気合を入れて扉を入っていく。
☆☆☆☆☆に
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頑張って書きます!




