子猫になったラング
ラングの風のような走りで王都の近くまで来た。ここまでくると街道を行きかう人や馬車が増えてきた。
その人たちの間を風のように抜いていくラング。
「うわっ、なんだ」「きゃぁー」と悲鳴があがる。(そろそろまずいかも・・・)
「ラング、この辺からは歩いていこう。あまり目立ちたくないんだ(衛兵が来たらやっかいだからね)」
「わかったにゃ」街道から少し外れたところで僕が降りると、『シュー』っと元に戻るラング。
「おいらもこっちの方が落ち着くにゃ」
ちょっと一息入れようと腰を下ろす。リューは「蜜々草の匂いがするー」と草むらの方へ行ってしまった。
どうせベッタベタになるならと、蜜を入れる用にガロンダの町で買ったビンも渡した。
「いっぱいとってくるねー」と楽しそうにパタパタと行ってしまった。
ぼーっと街道を見ていると、慌てた様子の衛兵が何人か走ってきたのが見えた。街道を行く人に何か話をしている。(何だろう?)と見ていると、そのうちの一人と目が合ってしまった。こっちへ歩いてくる衛兵。
「なんだ、子どもか。聞いてもしょうがないかもしれないけど、大きな魔物がすごい速さで王都に向かっているという報告があったんだ。何か見たか?」
(まずい、僕たちだ・・・)顔に出ないように気をつけて、フルフルと首を横に振る。
「そうか、危険な魔物かもしれないから早く家に帰るんだぞ」と言い残して衛兵は、街道に戻って行った。
「ふぅ、ちょうどリューがいなくてよかった。従魔登録はしてるけど、疑われると困るからね」
(なんせ、探してる魔物はここにいるんだから)とラングを見る。
「そうだ、ラング。大きくなれるってことは今より小さくもなれるの?」
「なれるにゃ。何でにゃ?」
「変な言いがかりをつけられても困るから、子猫くらいの大きさになってた方がいいかなと思って」
「それくらいお安い御用にゃ。美味しいごはんにありつけるなら何でもするにゃ。じゃあいくにゃんよ。『スモールケットシー』」とラングがつぶやくと『スルスルスル…』っと子猫サイズに小さくなった。
「すっごく可愛いじゃないか」と抱き上げて思わずなで回す。
「やめるにゃんよ」と言いながらまんざらでもない様子のラング。
(これなら余計なことを疑われずに王都に入れるかな。王都に入ったら冒険者ギルドで、ラングの従魔登録をしてもらおう)
子猫になったラングと戯れていると、予想通りベッタベタのリューが帰ってきた。
いつものように『クリーン』の魔法をかけて、たっぷり入ったビンを受け取る。入れにくいだろうに、並々蜜が入っていた。
「リュー、すごいね。いっぱい入ってるよ」と頭をガシガシなでてやる。蜜を食べられた上に褒めてもらって、リューも上機嫌。
「さぁ、王都はすぐそこだ。あと少し、頑張るぞー」
「「おー(にゃー)!」」
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