今すぐ行こう!
「僕たちはどこにいるかもわからないじいちゃんに会いに行くんだ。『ネコの王様』ってことはこの辺りの猫たちの王様ってことだろ。いつ戻れるか分からないし、急にいなくなっていいのか?」
「一応王様ってことになってるけど、おいらたちは束縛されるのが好きじゃないにゃ。にゃので、ふらっといなくなるのはよくあることにゃ」
(そんないいかげんでいいのか?)
「でも、心配したらいけにゃいので部下に一言言ってくるにゃ。すぐに戻るので待ってるにゃ」
とケットシーはびゅーんと行ってしまった。
(待ってなきゃいけないよな・・・たぶん?)
あっという間に見えなくなったケットシー「ラング」の走り去った方を見つめる。
「はぁ。しょうがないか」(なんか最近ため息が多い気がする)と、朝からどっと疲れてしまった。
そんな僕をよそに
「お腹空いたー」とリュー。
「よし、くよくよ考えてもしょうがないし、何か食べたら元気になるかな」と朝ご飯を作る。
昨日の残りを食べたかったところだけど、ラングが食べてしまったのでしかたがない。ソニアにもらったパンがまだ残っているので、コケッコの卵とアゴヒゲヤギの乳、蜜々草の蜜で卵つけパンを作ることにした。
お皿に卵を割りほぐして、乳と蜜を入れて混ぜる。そこにパンをひたひたにつけておく。
パンを浸している間に、薄く切ったバイソンの肉をかりッと焼き、塩をふっておく。
パンがしっとりしたら、フライパンでじっくりこんがり焼く。
焼きあがったら、お皿に乗せて肉を添える。甘い方が良ければ追加で蜜をたらす。
卵つけパンの出来上がり!
甘いパンを食べていると、寝起きのできごとも薄れていく。リューにお代りを焼いていると、向こうの方から
トテトテトテッと走ってくる音が。
「またいい匂いがするー。おいらに内緒でずるいぞ!」となぜか怒っている。
「もうこれで最後だよ」と言うと、この世の終わりのような顔で僕の方を見てくる。
あまりに肩を落としてしょぼくれたラングを見て「俺のだけどいいぜ」とリューがお皿を出す。
うつむいていた顔をあげ、「リューの兄貴!ありがとうにゃ!」と大げさなくらい喜ぶラング。
「王都に行ったらまたパンを買って焼いてあげるよ。何かジャムがあれば、それをのせても食べても美味しいよ」と言うと、
「「今すぐ行こう(行くにゃ)!」」と2人。
リューに分けてもらったパンをあっという間に食べてしまったラングが、「はやく行くにゃん」とせかす。
「馬車もないし王都まではまだ少しかかると思うよ」と言うと、
「そんなことならおいらにお任せにゃ。『ジャイアントケットシー』」とラングが言うと『ボワン!』という効果音が聞こえてきそうな感じで、ラングがトラくらいのサイズになった。
「これでおいらの背中に乗れるにゃん。とっても速いにゃんよー」とサイズはビックになったけれども迫力のない軽いノリのケットシーだった。
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