見かけない顔だね
タマネギーラの汁まみれになったリューにとりあえず『クリーン』をかける。
食べておいしいタマネギーラをどうやって倒したらいいのかいろいろ試した結果、少し離れたところから『エアカッター』の魔法で、頭から出ている葉っぱを根元から切るといいという事が分かった。
いろいろ試している途中で僕も『エアカッター』を習得し、2人で嬉しくなって周りのタマネギーラを狩りつくしてしまった。
マジックバックに収納してまた街道を歩いていく。僕の狩りの練習もあり、一角ウサギやフォレストスライムがいたらリューに教えてもらって倒していく。フォレストスライムのゼリーは役に立つことが分かったので、必ず拾っていくことにした。
しばらく歩いていると、雲行きが怪しくなってきた。
「リュー、雨が降りそうだ。どこか雨宿りができそうな場所を探しておこう」と周りを見ていると、ポツポツと雨粒が落ちてきた。「降ってきたぞ」と言っているうちに、どしゃ降りになってしまった。あまりの勢いに慌てて近くの大きな木の幹に体を寄せる。
雨で視界が悪い中、目を凝らしてみると遠くの方に家が見える気がした。
「リュー、あの辺に家が見えるような気がするんだけど、ちょっと見てきてくれる」
リューが木の上の方まで飛んでから戻ってきた。
「あっちの方に家がいくつか見えたよー」
「そっか、ありがとう。雨が小降りになったら行ってみよう」
どしゃ降りが小降りになるまではそんなに時間はかからなかった。
「今のうちだ。急ごう」とぬかるんだ道に足を取られないように気を付けながら、小走りに急ぐ。
しばらく走っていると家々が見えてきた。
「村かな?入口に誰もいないけど入ってもいいのかな?」ガロンダの町では門でひと悶着あったので、少し不安になりながらも雨がまた強くなってきたので、村に入る。
雨に降られながら歩いていると「あんた、見かけない顔だね」と近くの倉庫にいたおばさんに声をかけられた。
「すみません、王都まで行こうと思っていたのですがこの雨で、どこか休めるところはないかと探しに来ました。この村に宿はありますか?」
「あいにく、こんな小さな村に宿は無いねぇ。ここで会ったのも何かの縁だ。狭いけど家でよかったら泊まるかい? あたしゃソニアって言うんだ」
「僕はコータ。ありがとうございます! こっちは従魔のリュー、えっと従魔も一緒なんですけどいいですか?」
「たまげた、こりゃードラゴンかい?初めて見たよ。見たところおとなしそうだしいいよ、一緒に来な」
「ありがとうございます。助かりました」
「リュー そのままおとなしくしてるんだよ」「はーい」
雨の中倉庫で何やら片づけをしているソニア。
「何かお手伝いしましょうか?」
「あんまり雨がひどいもんだから、ここの干し草を上に上げようと思ってね。でも量が多いから難儀だなぁと考えていたところさ」と中2階のスペースを見上げる。
「お安い御用です。リュー 手伝ってくれ」
僕がはしごで上に上がり、リューにパタパタと草を持ってきてもらう。持ってきた草は重なりすぎないように置いていき、たくさんあった干し草が片付いていく。
「飛べるっていいねぇ」と感心しているソニア。褒められてリューはご機嫌だ。
少し時間はかかったけれども大量の干し草の非難も終わり、倉庫の横にあるソニアの家に行く。
「狭いけどゆっくりしておくれ、今夕飯をこしらえるからね」
慣れない働きに心地よい疲れで、自分の家でもないのにまったりしてしまう。
「誰かと一緒に夕飯なんて何年ぶりだろうねぇ」
「そうだこれ、途中で取ってきたんです。たくさん取れたので、よかったら使ってください」とタマネギーラを渡す。
「タマネギーラじゃないか、さすが王都まで旅してるっていう冒険者だ。小さいのに頑張るねぇ。ありがたくいただくよ、これで何を作ろうかねぇ」
嬉しそうに料理をしているソニアを見て、母さんを思い出してしまった。
そんなほっこりした時が流れていた時、ソニアの家の扉が『バタン』と開き、慌てた様子の男が入ってきた。
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