ドラゴンもお勧めガロンダの肉串
お兄さんたちに話を聞いてみると、食べ物屋が多い市場の中央辺りでドラゴンがいたということだった。
(食べ物屋・・・・。あいつめ、待ってろって言ったのに)
教えてくれたお兄さんたちに礼を言って、市場中央へ向かう。途中で
「母さん、あのちっこくてパタパタ飛んでるの可愛かったねー」
「あれは魔物よ。鑑札を付けていたけど、ああいうのに近づいちゃだめよ」という親子の会話が耳に入る。
(絶対リューだ・・・。もぅ、何やってるんだ。まさか暴れてないよな・・・・)
いい匂いが漂うゾーンに来た。なんだか人だかりができている店がある。「すみません、すみません」と人だかりをかき分けていくと、
「おい、たのんだ」と店主に渡された肉串をパタパタと飛びながらお客に届け、もらった代金を店主に渡しているリューがいた。
「・・・・リュー、何やってるんだお前・・・」と呆れ半分、怒り半分の僕。
「あー コーター おかえりー」とルンルンのリュー・・・・・・。
「『待ってて』って言ったんだけど、どうしたのかな」吹雪を背負ったかの如くリューに迫る。
さすがのリューも僕の雰囲気を察して「えっとー あのー」と目を泳がせながら口ごもる。
「おぅ、お前さんこのドラゴンの主人か?こいつ、俺の店の前に座り込んでじーっと見てやがるもんだからしょうがねぇってんで1串やるとおお喜びでよ。そんなに食いたきゃ手伝え、そしたらたらふく食わせてやるぞってなことになってな。ドラゴンが手伝うなんざ珍しいってんでこの賑わいさ。
おぅ、そこのドラゴン主人が来たぞ、もう手伝いは終いだ、いつになく売れたぜありがとな」と店主は肉串を20本くれた。
「こんなにもらえません」
「お前さんにやるんじゃねぇ、そこのドラゴンの給金だ。たらふく食わせてやる約束だからな」
ずいっと目の前に肉串を出され、よだれが抑えきれないリュー。嬉しさのあまりクルクルと宙返りをする。
「そんなに喜んでくれるのか、今度『ドラゴンもお勧め、ガロンダの肉串』なんてぇ看板でも作るか。ガハハハ」
子どもとは言えドラゴンに物怖じしない豪快な店主だ。
ありがたく肉串をもらって、店の邪魔にならない所で食べる。リューが一本譲ってくれたので、僕も食べてみる。
お世辞にも柔らかい肉とは言えないが、外はカリッと香ばしく、中は肉汁がジュワッと出てくる。少し噛み応えがある感じがまたいいのかもしれない。(なんせ、竜の顎力だからな・・・)
「心配するから勝手にウロウロするなよ」と声をかけるが、食べるのに夢中でまったく聞いていない。
(まったく・・・)「食べたら次行くぞ」の声かけには
「えーっ まだいろいろ食べたいー」(聞こえてるのか!)
「ロンドが弁当をくれたのに、お腹がいっぱいになるぞ」
「ロンド? 弁当?・・・・ じゃあ我慢するー」
(弁当もらってて良かった。いつまでも食べ歩きされたら買い物ができないところだった)
小腹?を満たしてご機嫌なリューを連れて次は雑貨屋に向かう。
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