ダルパの過去
「ここならいいぞ。出して見ろ」と解体倉庫らしき場所に僕たちを連れてきたダルパ。机が無い奥のスペースを『フン』と顎で示す。
(何か知らないけどむかつくな・・・・。見ていろよ)
「ここでいいんですね」と確認して遠慮なくズルズル出していく。
(長さが良く分かるように尻尾から出していこうかな・・・・。で最後に頭・・・・)
延々ズルズル出てくるヴァイパーの胴体を固まったように見つめるダルパ。
(よしよし)「えーっと、まだ出そうだなぁ」とわざと言いながらズルっと出す。
流石のダルパも「おいおい・・・」と顎が外れそうなほど見上げる山が出来たところで、『ドオン』と頭を出す。
「・・・・・なんてこった・・・・・」と言葉を失うダルパ。
そんなダルパを見ながら「どうだ。これでも普通のヴァイパーってか」と勝ち誇ったような顔のガッシュ。
「・・・・あ、あぁ・・・・。そうだな・・・。さすがにこれは普通のヴァイパーじゃねぇ」と顎髭を撫でつけながら言う。
「だろぉ、だからフォレストヴァイパーって言ってるじゃねえか。報酬は上乗せしてもらうぞ」
あまりの驚きからかガッシュの話をほとんど聞かずにヴァイパーを見ながら「そうだな」と頷く。
呆けているダルパの様子に気づきながらも「よし、お前らちゃんと聞いたな」と言質を取ったと言わんばかりに仲間に声をかける。
流石の僕もちょっと気の毒になってきて「大丈夫ですか?」と声をかける。
僕に話しかけられて初めて我に返ったように「あ、あぁ」と目が合う。
「これをお前さんが狩ったのか?」と聞かれ、
「いえ、僕の従魔のこいつです」とリューを指さす。
指さした先を見て「ほぉ、ドラゴンか。ドラゴンを従魔にしてる奴なんてずいぶん久しぶりに見た」と感心したのと納得したような顔でリューを見る。
ダルパの話を聞いて「それは初耳だな。そんな凄腕の冒険者がいたのか」とガッシュが話に入ってくる。
「そうだなぁ。どれくらい前だったか・・・・・。異国から来たのかあまり聞きなれん名前の冒険者じゃった。
従魔のドラゴンも力でねじ伏せている感じではなく、『仲間になったのがたまたまドラゴンだった』というような感じでのぉ。『こんな強者に儂はなれん』とそいつを見て儂は冒険者を引退したんじゃ」とビックリな過去を聞いてしまった。
(こんな話聞いて良かったのかな・・・)と思っていると、見透かしたように「まぁ、もう昔の事だ。今の仕事に不満はねぇ。まぁ、フォレストヴァイパーが出たとあっては儂も戦ってみたかったがな。ガハハハ」とはぐらかされてしまった。
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