あの岩陰に向かって歌え
代り映えしない景色の洞窟をどんどん歩いていく。初めは戻ったら市場で何を買うか話をしていたが、話をするだけでお腹が空いてくる・・・ということになり、何を話すともなくうだうだ言いながら歩く。
ふと、「ちょっと待て」と止まるココ。「お主、あそこの壁の近くまでライトを寄せてみろ」と僕に言う。
「あそこ?ってどこ?」と怪しい気配など全く分からず返事をする。
「あそこに少し出っ張った岩があるじゃろ。その岩の奥じゃ。何やら気配を感じるが姿は見えん。おそらく『リフレクトミラー』じゃろう」
「わかった。壁際を照らせばいいんだね」とライトの明るさを少し上げて岩陰を照らす。
「・・・・うーん、僕にはわかんないなぁ・・・・」と言うと
「反対側の壁を見てみろ」とココ。
「反対?」と訝し気に答えながら照らした方とは反対の壁を見る。すると・・・・。
「あそこだけ反射してる!」なんと『ボウッ』と薄ぼんやり照らされている中に鏡で光を集めて照らしたような眩しく光る部分があった。
「やはりな。リフレクトミラーが光を反射してしまい、そこだけ明るさが際立ったのであろう。光を照らした先も見てみろ。上手くごまかしたつもりかもしれんが、細く影が出来ておるわ」と岩陰をじっと見ながら言うココ。
目を凝らして見てみると明るく照らされた岩陰に細く糸のような影が出来ていた。
「反射の角度を上手く調整した所でそこは魔物。童には勝てぬわ」と口の端をニヤリと上げる。
「どうやって倒す?」と聞くと、「そうじゃのぉ、お主リフレクトミラーを見るのは初めてじゃろう?」と聞かれた。
「あぁ、もちろん初めてだけど、どうして?」
「こ奴は倒すと粉みじんに砕けてしまう。どんな姿か見たいか?」
「せっかくここまで来たんだから見たいかな」と少し考えて答える。
「では、ラングの出番じゃな。ラング『ディスペル(魔法解除)』は歌えるか?」とラングに話を振る。
「おいらを誰だと思ってるにゃ。ケットシーの王にゃよ。あんまり歌ったことはにゃいけど、歌えるにゃ」
(食いしん坊だけじゃなかったな・・・・そう言えば・・・・・)
「よし、あの岩陰に向かって歌え」
「わかったにゃ」『ニャー・・・・・・・ニャニャ・・・・・・』と今まで聞いた歌とは違う声で歌い始めた。
歌に乗った淡い光が岩陰を包み、光の中にキラリと光る大きい水晶のようなものが見えた。
「あれが『リフレクトミラー』・・・・」
魔法を跳ね返すリフレクトミラー、ラングの歌は魔法に溶け込み効果を発揮するようです。
さすがラング。
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頑張って書きます!




