そいつは突然現れた
そいつは突然現れた。
『ガァッ』という雄叫びに振り返ると、丸太のような腕を振り上げ大きな鉤爪を今にも振り下ろさんとしている巨体がいた。
「うわぁっ!」と驚き腰を抜かしそうになる。
そんな僕を尻目に「ほぉ、やっと骨のありそうな奴が出たわい」と嬉しそうなココ。
「こいつがBランクの?」と聞くと、
「そうじゃ。ランクは知らんが、こいつがイリュージュベアじゃ。毛皮が厚くて防御力が高い。なおかつこれほどの巨体でありながら動きが速い。こいつの間合いに入って攻撃をかわすのは経験と腕がいるぞ」
「何か勝てそうにないんだけど・・・・・」と言いながら視線を外さず、睨み返すのがやっとの僕。
「お主には何も期待しとらんから安心せい。せいぜい童たちの攻撃の間合いに入らんよう下がっておくことじゃな」と珍しくココも余裕が無いような硬い表情でイリュージュベアを睨みながら言う。
「わかった。邪魔にならないように下がってるよ」と相手を刺激しないように少しずつ下がる。
ラングが「防御力アップにゃ」と歌いながら踊る。ラングの体がぼんやりと光り、その光が僕たちにも飛んでくる。
「ありがとうラング」と声をかけると、
「これがおいらの役目にゃ。お安い御用にゃよ」とにっこり笑顔が返ってきた。
(ラングはいつも通りだなぁ)と思っていると、イリュージュベアが動いた。
後ろ足で立ち上がって威嚇したかと思うと、4つ足になりこちらに向かってきた。
(速い!)
それ程広くない洞窟の中。走ってくるのはどうしても直線になる。
予測していたのか、走り出したイリュージュベアに向かって飛んでいく影があった。
「リュー!」
「俺もやるー」とそのまま突撃する。頭同士がぶつかり合う結果となり、『ドゴン!』とすごい音が鳴った。
「リュー。大丈夫か?」と目を凝らすと、あまりの衝撃に目を回すイリュージュベアとリュー。お互いにクワンクワンと頭を回しながらフラフラしていた。
「何をやっとるのじゃ」と突っ込むココ。(うん、僕もそう思う)
頭を振りながら「うー、硬い」とリュー。当のイリュージュベアも目を回したのは一瞬でもう立ち直っている。しかも、思わぬ攻撃をされたことで怒りモードになっている。(よく分からないけど、そう見える・・・・)
「どうせ突進するなら腹にすればよいものを・・・・。もうよい。お主は下がっておれ」とココに言われ、「まだやるー」とリュー。ドラゴンの意地があるようだ。
「これでどうだー」と大きく息を吸い込み『はぁあああああああ』と魔力を溜めていく。
(えっ、これ大丈夫?)
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頑張って書きます!




