これは僕のだからね
食事の途中だったが、リューが「ステーキ!」とうるさいので、ロンドの所に行くことにした。
口に残っていたパンを水で流し込んで立ち上がり、厨房前のカウンターに向かう。
「こんばんは。忙しい時間にすみません」と声をかけると
「おぉ、リリーがちっこい冒険者がいるって言ってたけどお前がコータか。いっぱい食って大きくなれよ。今日の飯は旨かったか?」
「はい!コケッコの肉がジューシーで皮もパリッとしていて美味しかったです。オムレツもふわっとしてるのにお肉はぎっしりで美味しかったです。」
「そうか、それはよかった。そういえばさっきナタリーが言ってたけど、お前食材を狩ってきたんだって?」
「そうなんです。僕の従魔『リュー』って言うんですけど、はりきって狩りすぎてしまって・・・。ここのご飯がとても美味しいので、食材に使ってもらえないかと思って持ってきました」
「そいつはありがてぇ。うちのモットーは安くて上手いだ。食材を譲ってもらえるならありがたい。で、どんな食材なんだ?」
「えーっとですねぇ」とマジックバックをさぐりながら、カウンターに食材を乗せていく。
まず、一角ウサギの肉。
モグモグラの肉。
ジャイアントモグモグラの霜降り肉。
フォレストスライムのスライムゼリー。
蜜々草の蜜。
マツキノコ。
をカウンターに出していく。
「(おいおいまじか)ちょっとまってくれ、こんなに大量にか?これを全部ギルドで売ったらかなりな額だぞ」
「ナタリーさんにも言われました。リューがはりきってたくさん狩ったので、これでもまだ残ってるんです」
「さすがドラゴンだなぁ。希少なキノコまであるぞ、これはさすがにただではもらえない」
「じゃあ、お願いがあるんですけど聞いてもらえますか?」
「なんだ」
「リューが霜降り肉のステーキを食べたいって言ってて、焼いてもらいたいのですが・・・・」
「なんだそんなことか。ちょっとまってろ」
ロンドはご機嫌で鼻歌を歌いながら厨房に戻って言った。
すぐに、肉の焼ける音と、食欲をそそる匂いが漂ってきた。
「ほれ、できたぞ。名付けて『ジャイアントモグモグラのステーキ マツキノコの香りを添えて』だ」
「うわー、すごい香り。肉もおいしそう。リュー食べてみるか?」
「(食べるー)ペチペチペチ・・・」
「ドラゴンも喜んでそうだな。そいつぁよかった。いやぁ久しぶりに希少な食材を料理したよ。ありがとな」
ロンドに喜んでもらえてよかった。(肉をキノコと合わせて焼くのも美味しそうだな)
「リュー、僕にも一口・・・」と言おうとしたら、すでに空になったお皿が目に入った。空のお皿を見つめる僕を見て、ロンドが苦笑いしながら「もう一皿作ってやるからまってろ」と言ってくれた。
(まぁ、あんなに我慢したんだから許してやるか)と思っていたら、もう一回ロンドが焼いてくれた僕のお皿をじーっと見つめているリュー。
「これは僕のだからね!」
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頑張って書きます。




