表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/195

ステーキへの道のりは遠かった

宿に戻ると「お帰り、今日は遅かったね」と受付でナタリーが声をかけてきた。

「ギルドの依頼は簡単だったんですけど、リューがはりきっちゃって・・・。食材もたくさんあるので、食堂のロンドさんに渡しても大丈夫でしょうか?」(ナタリーの旦那さんで、リリーの父さんはロンドさんという名前だった)

「えっ、いいのかい。頑張って狩ってきたんだろう。ギルドで売ればお金になるだろうに」

「いいんです。僕が独り立ちして初めて泊まった宿。とてもお世話になったのでお役に立てればと思いまして」

「こっちはちゃんと宿代をもらってるんだから、そんなこと気にしなくていいのに悪いねぇ。ロンドも喜ぶよ」

「じゃあ、ちょっと休んで食堂に行ってみます」


部屋に戻って一息入れようとしていると、「お腹空いたー―――!」とリュー。

「ちょっとは休ませてくれよ」「いやだー。ステーキ食べるー」とペチペチペチ・・・・・。

「わかった、わかった。ホントに痛いからやめろよな」(しょうがないなぁ)

「一日森を歩いてほこりだらけだから、せめて『クリーン』の魔法だけでもしていこう。リューは町に入る前にしたから大丈夫だな」(本当は風呂に入りたいところだが、『クリーン』で我慢するか)

クリーンの魔法を唱えて身だしなみを整え食堂に向かう。


夕飯のピークは過ぎようとしていたが、リリーも忙しそうなので自分で水を汲み、空いている席で待つことにした。

少しすると「ごめんね。待たせちゃった」とリリーがやってきた。

「いや、大丈夫。繁盛していてなによりだね」

「お父さんの料理は『安くて美味しい』って冒険者の間で人気なの。飲む人が多いから混んでる時間も長いんだよ」と嬉しそうに父親の自慢を話す。

「ロンドさん忙しいかな、食材を手に入れたからおすそ分けをしようと思って」

「コータすごい、父さん喜ぶよ。でも、まだちょっと忙しいかな。夕飯まだでしょ。先に何か食べてる?」

「(コータ ステーキ ステーキ)」と騒ぐリューはおいといて「じゃあ今日のお勧め肉メニューを2人前お願い」

「わかったー。リューの分は大盛ね」とバタバタするリューを見て空腹を察知したリリーは行ってしまった。


「ステーキの約束だったのにー!」と怒るリュー。「まぁ、しょうがないよ。後で時間ができたら霜降り肉を渡してちょっと焼いてもらおう」「絶対だよ!」と鼻息荒く『フン!』と頭に全体重をかけてくる。

(まだ小さいからいいけど、これで大きくなったら僕の首がリアルに危ない・・・・)


「お待たせー。お腹空いてるだろうと思って早くできる肉メニューにしたよ。コケッコのこんがりソテーとこっちが、バイソンのひき肉と玉ねぎのオムレツ。パンは足りなかったら言ってね」

食欲をそそるいい匂い。思わずお腹がなり、リリーと顔を見合わせて笑ってしまった。「いっぱい食べてね。父さんの時間ができたら呼ぶから」


コケッコとは町の近くに出る鳥の魔物で肉や卵が手軽に手に入るので人気の魔物だ。乱獲で数が減ってきたこともあり、養殖も考えられているらしい。

かりッとジューシーな皮とじゅわッとあふれる肉汁を噛みしめながら、これがいつでも味わえるなら養殖もありだなと思ってしまう。新鮮な卵も管理がなかなか難しいので、安定して手に入るなら高値で売れるのではと思う。

などと、頼まれもしないのにいろいろ考えながら食べていると「父さん手が空いたってー」とリリーが言いに来た。


☆☆☆☆☆に

ポイントしてもらえると嬉しいです。

頑張って書きます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ