僕って何か分かりやすい?
素直が一番。
「ゆっくり風呂に入れるのは嬉しいな」と風呂屋の入口を入る。カウンターの男の人に「従魔と一緒に入れますか?」と聞いてみる。
「従魔の大きさによるんだが、どの従魔だ?」と聞かれ、リューとラングを指さす。
「そのサイズなら入れるよ。そっちの『従魔と混浴』って書いてある扉から入ってくれ。女湯はあっちだ」とココを見て言う。
「童も混浴で良いぞ」とココが答えると、
「そいつぁ、お勧めできんな。お前さんみたいな女の子が混浴に入るなんざ揉め事にしかならん。大人しく女湯に入ることだな」とそっけなく言われてしまう。
「ぶー」と頬を膨らませて怒るが、ここで妖狐の姿になるわけにもいかず「ふん!」と捨て台詞を吐きドスドス女湯の方に歩いて行った。
(ほっ。もっと駄々をこねるかと思ったけど良かった)
「じゃあ、従魔2人と、僕とさっきの女の子で入ります。いくらですか?」と聞くと、
「全部で銀貨1枚と銅貨6枚だ」と意外に安かった。
「ここでは風呂屋でしか汗を流せん。あまり高くすると、匂う奴が増えてかなわんからな。ガハハハハ」と僕の思いを読み取ったかのように言うおじさん。
(きっと旅行者に聞かれるんだろうな・・・)
お金を払って、『従魔と混浴』と書かれた扉を開けて中に入る。壁際に棚が並んでる他はだだっ広い空間。
(何か広い・・・)
「狭くすると従魔同士がすれ違えなくて大変なんだにゃ」とこれまた僕の思いを見透かしたように話すラング。
「僕って何か分かりやすい?」と思わず聞いてしまう。
「うーん、分かりやすいっていうか、こう聞かれたらこう答えるっていうお決まりの感じかにゃ」と苦笑いと共に慰めるような感じの返答が帰ってきた。
「分かりやすいっていうのは良い事だと思うにゃんよ」とポンポンと僕の足を叩く。
(絶対慰められてるな・・・・・)
僕とラングのやり取りをこれまたいつものようにまったく気にしていないリューは、「早く入るー」と湯船の方にピューと飛んで行ってしまう。
「おい、ちょっと待てよ」と慌てて追いかける。
リューを追いかけて湯船の方に行くと、これまたどでかい湯船があった。
「こんなに大きな湯船。どれくらいの従魔まで入れるんだろう・・・・」とつぶやくと、湯煙の向こうから返事があった。
「そうだねぇ、トロールくらいなら入れるんじゃないかな」
突然話しかけられたことにびっくりして、湯船の中でツルッと滑り『ドボン』と湯に沈んでしまった。
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