手加減なし・・・です
光る頭に話を聞くとやはり盗賊の仲間だった。頭目(光る頭は頭目ではなかった)は別の街に出ていているらしくワルムンドとの国境付近にいるのは光る頭のグループだけということだった。
「本当の事を言わぬとどうなるのかのぉ。ひっひっ・・・」とどこぞの魔女のような言いぐさのココ。
「ひぃっ」とさらに汗を流しながら「俺、俺達だけだ。ほ、ほ、本当だ」とひきつった顔で言う光る頭。
「もう、それくらいにしとけ」とココをたしなめ、盗賊たちはワルムンドの衛兵に引き渡すことにする。
盗賊たちの登場で蒼白になりながら怯えていたヒグレ達はあっという間の決着に『ポカーン』と口を開けていた。
「もう少しでワルムンドなんですが、こいつらを連れて行かないといけないので、ここからはゆっくり歩いていくことになります。予定より時間がかかることになってすみません。新手の盗賊が出るといけないので、ヒグレ達にはそのままラングに乗っていてもらいたいのですが、大丈夫ですか?」と声をかける。
「・・・・すみません。あまりのことでボーっとしてしまいました。遅くなるのはかまいません。乗せてもらってばかりでかえって申し訳ないくらいです。子どもたちも大丈夫そうですし」と返事が返ってきた。
「ラングもすまないな」
「おいらも大丈夫にゃよ。でもここからまだ時間がかかるならちょっと休憩してから行きたいにゃ」と僕のマジックバッグをチラッと見る。
「それもそうだなぁ。飯とまではいかなくても何かつまんで腹に入れとくか」と答えながらココに寄っていく。
「何だお主。何の用だ」と訝し気なココ。
「いやぁ、マジックバッグを持ってるっていうのを知られない方がいいだろ?どこで目を付けられるか分かんないからな。だからココの体に隠れて出そうと思ってさ」
「童の腹にそんな便利なポケットは付いとらんぞ」と心外そうに鼻を鳴らす。
「じゃあ、食べずに行くか?」と意地悪く聞いてみる。
「ぐぬぬぬぬ・・・・」と歯をギリギリしながらもいろんな思いを天秤にかけている様子。
「ササッと出せよ」と体を伏せて尻尾をクルリと寄せ僕を包み込む。
「おぉ、フサフサのモフモフで温かいなぁ」と思わず笑みがもれる。
「サッサとせい」と文句を言いながらも尻尾がユラユラと動く。
(照れ屋め・・・。えー、何を出そうかな・・・・。ラングのリクエストで買ったベビーカステラがまだちょっと残ってたかな。この間買った焼き菓子も出そう)とマジックバッグからゴソゴソと取り出す。
「甘くて疲れは取れそうだけど、喉につまりそうだなぁ・・・・。そうだ、リュー、お前『ファイア』ができるなら『ウォーター』もできるか?」とフワフワ浮いてるリューに聞いてみる。
それを聞いたラングが「火と水はお互いを打ち消す属性にゃ。にゃのでそれは難しいと思うにゃ」と言う。
「それもそうか・・・。じゃあどうしようかな」と再びマジックバッグをゴソゴソと探していると、
「いいよー。ウォーターねー」とリューが天に向かって両手を上げる。
「えっ、できるのか?でも、ちょっと待・・・」と僕が言い終わらないうちに、空が暗くなり『ドシャー』と滝のように降る水・・・・・。
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「間一髪、リューの魔力の上昇を感じ取ったココがシールドを張ってくれてヒグレ家族を含め僕たちは事なきを得た。
さすがリュー。役に立ちます。たぶん・・・・。
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頑張って書きます!




