市場の薬屋
ギルドのお姉さんに教えてもらった市場に行ってみる。どこの街でも市場という場所は賑わっていてブラブラ見るのが楽しい。食べ物の誘惑に負けそうな3人を引っ張って薬屋を探す。
「ないなぁ、小さいお店って言ってたけど、まだやってるのかなぁ」とウロウロ探していると、ラングが鼻をヒクヒクさせて「あっちで薬草みたいな匂いがするにゃ」と市場の隅の方を指さす。
「あっち?」と指す方を見ても日用品などの雑貨を扱う店ばかりで薬屋があるようには見えない。
ラングの鼻を信じて進んで行くと「あった。「ヒグレの薬屋」だって」
(『日暮れ』って薬屋さんでその名前はいいの・・・か?)
とりあえず店主らしき人を探そうと「すみませーん。どなたかいらっしゃいますか?」と声をかける。
「はい、はい」と返事をしながらのんびりゆっくり眼鏡のおじさんが出てきた。
「お客さん、かな?」と僕たちを見て迷ったように言う。
「すみません。買い物ではなく、ギルドで依頼を受けてきました。ワルムンドに行きたいのはおじさんですか?」とそのまま聞く。
「えっ、えぇー!きみたち僕がギルドに出していた護衛依頼を受けてくれるのかい?」とずり落ちそうな眼鏡を直しながらびっくりしたような表情。
「ずいぶん前に出してたんだけどなかなか受けてくれる人がいなくて・・・。そろそろ諦めるしかないかなと思ってたんです。実家から届く便りで体を壊しているという父親に孫の顔を見せてやりたいのですが、僕は見ての通り戦いに向かなくて・・・・子どもに怪我をさせるわけにはいかないですからね」と下を向く。
「大丈夫です。まだ子どもの僕ですが従魔たちはとても強いので、おじさんさえ良ければワルムンドまで護衛しますよ」と胸を張って言う。
僕の明るい声に顔を上げたおじさん。「そう言ってくれてありがとう。金額が少なくて申し訳ないが、それでも受けてくれるならお願いしたい」
「任せてください!無事に送り届けます。で出発はどうしますか?」
「うーん、恥ずかしながら馬車を借りるお金も厳しく、歩きで行くならずいぶん時間がかかるだろう。子どもたちの支度もあるし、明日でどうかな」とおじさん。
僕たちのやり取りを聞いていたココが「なんだ、今日の出発にはならんのか。ここからワルムンドなど走れば数時間で着くぞ。ワルムンドに入ってしまえばそこの街で良いのだろう?」と話に入ってきた。
「数時間ですか?」と驚きの顔で聞くおじさん。
(まぁ、そうなるよね・・・)
「子どもの支度と言うなら仕方がないが、数時間後には着くのじゃ、荷物などたいしていらんじゃろ」と追い打ちをかけるように言う。
ココの話にたじろぎながらも「ここで逃したら・・・・」とつぶやくおじさん。
顎に手を当ててしばらく考え「分かりました。1時間ほど待っていただければ出発できるように支度をします」と顔を上げる。
「いいんですか?そんな急に決めてしまっても」と僕の方が今度は慌てて声をかける。
「急と言えばかなり急な話ですが、せっかくここまで来ていただいたんですから大丈夫です。子どもたちに話をしてきます。1時間後くらいにまた来ていただいてもいいですか?」と聞かれ、
「分かりました。市場をウロウロして1時間後くらいにまた来ますね」と約束をする。
おじさんは直ぐ支度にとりかかるのか「では」と挨拶もそこそこに奥に行ってしまった。
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