次に会う時は
「『あんこ』って言うのか。食べたことはないけど、じいちゃんが『久しぶりに食べたい』って言ってた気がする」と黒い塊をスプーンですくって食べてみる。
「甘い!けど嫌な甘さじゃないな。何か粒?みたいなのも入ってる。しっとりしてて抹茶のアイスと食べたら美味しいー」と目を丸くして思わず声が出る。
「そんなに美味しいのか。どれ、童も一口」(まだ食べてなかったのか。もしかして、僕の様子を伺ってたのか?)
ココは餡子・アイス・寒天をすくって食べる。
「おぉ、これはホントに美味いな。風呂上がりの火照った体に冷たくて苦いアイスと甘い餡子、プルンとした寒天が抜群の相性じゃ」と頬をピンクにしてご満悦。
リューはスプーンで食べにくそうにしているなと思ったら、顔から突っ込んだ。
「・・・おまえ、それ大丈夫か?」とあまりのことにびっくりして言うと、
皿から顔を上げ、クリームべたべたでにんまり笑いながら「あまーい」とご機嫌。
「しょうがないなぁ。また後で顔を洗うんだぞ。ラング、甘いもの好きとしてどうだ?」
とラングを見るとすでに皿は空になっていた。
「早っ!」
「美味しかったにゃ。アイスは解ける前に食べるのがお約束にゃ」と得意気。髭がヒクヒク揺れているところをみると、いろいろ我慢しながら堪能していたことが伺えた。
「よし僕も解ける前に食べちゃおう」と続きを食べる。抹茶のアイスも美味しかったが、練乳アイスの何だか懐かしい甘さも美味しかった。
「「「「あー、美味しかった」」」」と4人の声がそろう。
それを聞きつけて、「どうでした?」とコハル。
「すごく美味しかった。明日からの旅に元気をもらったよ」
「明日行っちゃうんですか?」
「うん、そろそろ次の町というかワルムンドに行こうと思って」
「えーっ、ワルムンドまで?」とびっくりしながらも、「そうなんですね・・・」とちょっと寂しそうなコハル。
「何かあった?」と聞くと
「『私くらいの子どもでも頑張れば冒険者ができるんだな』って思ってたんです。せっかく仲良くなれそうだったのに・・・・」と下を向く。
「おじいちゃんに会いに行くっていう目標が達成できたらまた会いに来るよ」
「え?」
「ここのダブルクリームあんみつは絶品だ。絶対また食べにくるよ」と約束をする。
「本当に?」
「あぁ。いつになるか約束はできないけど、絶対食べにくるよ」
「その時はスペシャルダブルクリームあんみつですね」と顔を上げて嬉しそうに言うコハル。
「それは楽しみだ」とニヤッと笑いながら言うと、
「絶対食べるー」「それは美味そうだにゃ」「童も食べたいぞ」と3人。
鼻息荒く言う3人に思わずコハルと二人顔を見合わせて笑ってしまう。
『クスッ』と笑って「そうだ、ちょっと待っててくださいね」とカウンターに行く。
戻ってくると「どうぞ、これ」と黒い物が入った器を差し出す。
「これ、ひょっとして『あんこ』かい?」
「そうです。今はお父さんが作ってるんですけど、次に会う時は『私が作った餡子です』って言えるように頑張ります。だから、忘れないように持って行ってください」
コハルの顔を見て、器を受け取る。
「ありがとう。これで長い旅も頑張れそうだ。次に会う時の『コハルのあんこ』楽しみにしとくね」
「はい!」
そんなやり取りをしていると、「おーい、コハルー」と厨房から声が。
「はーい」と返事をして「それじゃぁ」と行ってしまった。
もらった『あんこ』を大事にマジックバックに入れる。
(『次に会う時には』かぁ。僕は何ができるようになってるんだろうな・・・・・)
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ポイントしてもらえると嬉しいです。
頑張って書きます!




