洗濯機だよな・・・
「ココ、お前はどうやって洗うんだ?」と視線を向けると、大きな水球がココの体を包みグルグルと回っていた。
「なんだそりゃ」
「おお、コータ。これか?これはいつの頃だったか忘れたが、ふと出会った魔法使いに教えてもらった魔法じゃ」
(え?それが魔法?なんか違う?)
「『センタクキ』と唱えて洗いたい部分(顔以外じゃな)を水球(湯船の湯でもOK)で包む。そうすると、水球の中が程よくかき回され、毛穴の奥の汚れまで掻き出してくれるのじゃ。手間もいらんし便利じゃぞ」と得意気なココ。
「そ、そうか。そ、それはよかったな」(すごいのかもしれないけど、大きな水球から天狐の顔だけが出てるって絵面が怖いよ・・・・)
僕も体と髪を洗い、服を洗って絞る。
「よし、今日こそのんびりつかるぞー」と湯船に足を入れる。湯に入り腰を下ろすと「はぁー――」と息がもれる。
「なんだかおじいちゃんみたいだにゃ」とラングに笑われたが、つい出てしまうのだからしょうがない。
後から湯に入ってきたラングも「はぁー――。いいお湯だにゃー―――」と言い、僕と目が合って笑う。
リューとココは?と姿を探すと、湯船の端っこで何やらコソコソやっている。(怪しい)
そっと近づいてみると、盆に乗った徳利があった。
「お・ま・え・ら」と怒りのオーラを背負って声をかけると、ビクッと振り返り『しまった』という顔をする。
「全然懲りてないんだな!次は助けてやらないからな!」と怒り、怒りモードのままザブザブお湯をかき分けてラングの所に戻る。
「しょうがないにゃぁ」とラングも再び呆れ顔。
「これぐらいでいいかなー」と珍しく空気を読むリュー。
「童もこの辺で・・・」と盆と徳利、猪口を戻すココ。
遠目でその様子を見て「はぁ」とまたため息をつく。湯船の縁に頭を乗せ空を見る。
今日もいい月だ。「明日からの旅が楽しみだな」とつぶやくと、
「こんなに旅が楽しいなんて思ってなかったにゃ。美味しい物もいーっぱい食べるにゃ」とラング。
「お前らしいな・・・」と笑う。
(僕一人だったらこんなに楽しい旅なんてできなかっただろうな)
久しぶりにのんびり入る風呂は体の芯まで温もり、疲れが解けていくようだった。
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